*The Others*
No,5
Black Onyx Intaglio Ring
 15mm×22mm 年代不詳



陽刻の彫りのカメオに対し、陰刻の彫りを施したものを
インタリオと呼び、歴史的にはカメオより古くから作られて
います。インタリオは、彫刻時刻印面が見えにくく
実際にシール(印章)した時にレリーフがきれいに出る
ようにするため彫りが難しく高度な技術を必要とします。

このリングのモチーフはAchillesやHercules同様
ギリシャ神話のヒーローの一人Jasonと思われます。
Jasonは、アルゴー船(the Argo)に乗り金の羊毛
(the Golden Fleece)を捜しに遠征した事で知られています。

このインタリオは彫りが美しいだけでなく、リングを横から
見るともう一人の横顔が隠れているのがおもしろいです。




No,4
# Shell Cameo, 19th Century,
Demeter: Guardian of the earth's fertility



ヴィクトリアン(19世紀後半)の時代のイギリスで
サルドニコ貝やコルニオーラ貝などのシェルに
イタリアのカメオ職人がギリシャ神話などの
モチーフを彫刻したものである
シェルカメオに分類されます。
枠に、9CTとHBの小さな刻印が彫ってあります。
髪に穀物が飾られている事に
よりローマ時代の穀物の女神ケレスと
同一視される大地の実りの守護神であり
オリンポスの12神の一人であるデメテルだと思われます。
胸に衣類を留めるために使われたフィビュラと呼ばれる
ブローチが付いてあるのが興味深いです。
1860年代、古代エトルリアの発掘品が世に出ると競って
ジュエラー達がその金細工を復元しようとした
その当時の影響を受けているのでしょうか?

No,3
# Derby Stand  1785年 イギリス#









スタンドは直径16,5cm,高さ3cmで、その形状から
caudle cupのスタンドではないかと思います。
カップの形状は、ダブル・ハンドルに蓋つきで
チョコレート・カップと同じです。
残念ながら肝心のカップはありません。

縁の金彩模様はvandyke borderと呼ばれています。
その内側には金彩で羽模様が描かれていています。

マークはpuce markで、ダービーの黄金期のものです。
高台内側の2は、金彩師番号で、Joseph Stablesの番号です。

中央の小さな菊の花が可愛くてたいへん気に入っています。

この解説は、英国アンティーク磁器ギャラリーのemakiguさんに、
御教授いただきました。


No,2
# Moon Flask #



タルボット父子でいろいろお騒がせさせてしまいました例の花瓶です。
eBayオークションでの写真は小さく、届いたものは
色も質感も全く違うものでタルボットの息子の作品とも
全く違うものでした。


<現在、悪戯されてハクション大魔王の壷にされてます。>


No,1
# Gold & Turquoise Brooch, 1840年、イギリス #





英国史上もっとも華やかだったヴィクトリア時代初期
1840年頃に作られたブローチです。
トルコ石でできた忘れな草は、
真実の愛を表し、弓はハートを射るというような
ロマンチックな意味合いが表現されています。
フレーム部分のアイビーは打ち出しの金細工に
なっていて少ない金でボリュームがあるよう
に見える工夫がされています。
まだ金(おそらく15K)が大変貴重な時代でし
たのでこういった技術が発達したようです。
こういった金細工は簡単のように見えて作るのが
非常に難しく葉の部分などの仕上げは
見事に表現されています。
白い部分は、ホワイトカルセドニーでその半透明の質感が
金細工にマッチして効果的な装飾作品になっています。

この解説は、東京・自由が丘のアンティークジュエリーの専門店
リガード(03−5701−5571)オーナーの黒岩敏男氏に
御教授いただきました。