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木を使うという贅沢


 日本でも時折、内装が木を主体にしている素敵な店を見つけることがあるが、ヨーロッパでは木を使うことが最も贅沢だとされることがしばしばある。地方都市のトップクラスのホテルなど、スイートルームの床は大抵は木である(最高級クラスはペルシャ絨毯だったりもしするが・・・)。木の床はよく手入れされているので、裸足で歩き回っても平気。年末に泊まったときには、さすがに寒いので靴下を履いていたが、湯上りは二人とも(ん?)裸足で歩いていたような気がする。
 高級レストランの床には普通は絨毯が敷き詰められているが、ある貴族の館を改装した高級レストランの床が木なのでよく見ると、見事な木組みであった。恐らく19世紀に作られて、今日に至るまで狂い一つないものに違いない。
 レストランといえば、船の内装を模した高級魚介類専門レストランがパリにある。ジョルジュサンク通りなんてところにあるため、観光客も多いが、16区住民の常連もいた(え、私だけ?)。大きなカジキの剥製が飾ってあるだけでなく、壁から天井から、店中釣具と釣の写真のパネルだらけで、おまけに白服が船員の格好をしてるのは流石にちょっとやり過ぎのような気もする。ここも木をうまく使った内装であるが、床には魚のデザインの絨毯が敷かれていた。
 車にも木が使われる。知人が私の車のウッドパネルを撫で回しながら、やはり昔の車は本物の木だからいいと言う。最近は世の中世知辛くなったようで、彼が乗っている新型Sクラスはウッドパネルに関してはかなりランクが落ちるそうである。近年メルセデスベンツはどんどん値下げしているが、こういうところにコストをかけても理解できる消費者が少なくなって来たため、コストダウンの対象にされたようで残念である。
 寝台特急サンライズ号の木目調の内装も、あるいはヨーロッパのデザイナーか、ヨーロッパ文化に造詣の深い人によるデザインかも知れない。あれは合板であろうが、乗っていると、何だかとても落ち着いた気分になれるのである。



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