堅実なサイト構築


前口上
 IT,ITと人馬は進む(古い! =^^=;;)御時勢で,どこの企業も団体も,やれホームページだECサイトだと,金を掛けまくって要らないものを作っている。まさに猫も杓子もという状況で,杓子はともかく化け猫までホームページを持つ世の中である。えっ,化け猫屋敷が一番要らないページだって? (=^^=;;
 化け猫屋敷のように個人のサイトは置いといて \(=^^\) (/^^=)/ ,企業や団体のホームページが必要とする要件とは一体どのようなものであるのか,一度冷静に考えてみよう。

企業サイトに必要とされる内容
 ちょっと有名な企業や団体のホームページがないかと検索してみて,出て来ないとがっかりする。やはりあったほうがいいに決まっている。しかし,検索して見つけたページが,Java,ASP,CGIにGIFアニメ・・・ごちゃごちゃして重いページで,無数のコンテンツがあって,欲しい情報がすぐに見付からない,その上欲しくもないものの販売や会員登録etc.で,まさに満艦飾であったとしたら,見る気力も失せてしまうであろう。そういうページは作るのに莫大な金と労力を掛けている。実に無駄な話である。
 では,どんなページが欲しいか。その会社や団体に関する基本的な情報と,主要商品や活動に関する情報,新製品や企画などの最新情報などが,分かりやすく整理されていればそれで十分である。この分かりやすくというのがなかなか難しくて,ある酒造会社のサイトなどは,先頭ページがデザインとイメージ優先で,どのカテゴリーにどういうコンテンツがあるのかさっぱり分からず,真っ先にサイトマップに飛んで行かざるを得ない有様である。おまけに,先頭ページの無駄なフラッシュをスキップすることができず,ツールをインストールしていないと中へ入ることすら出来なくなっているのである。
 その点,最近のフランスでは適切なサービスが提供されているようである。例えば有名なワインや醸造所の名前を適当に検索してみよう。しばしば(ワイン名).comのサイトが見つかる筈である。ところが,その中身たるや,大抵はワインの紹介や写真が数ページあるだけである。これは恐らく独自ドメインの取得と一定量までのページ作成,運用・保守を格安のパッケージにしたサービスが普及しているものと思われる。実際のところ,ユーザーとしてはこれで十分な情報を得られるので,これ以上複雑なページなど必要ないのである。

日本企業のIT革命幻想と無知
 さて,ではどうして日本企業はやたらと複雑で無意味なページを作るのであろうか。やはり1年位前まで存在したIT革命幻想により,先進的なサイトを構築してECをやらないと時代に乗り遅れて会社が存続できないとの強迫観念に苛まれたとしか考えられない。そして,通常の設備投資なら費用対効果を考えて採用しないような規模のものに対して,何も考えずに投資してしまっているのである。上述の酒造会社の監査役にヒアリングしたところ,情報関係の投資は業務監査の対象外にしているということであった。また,その会社の上層部にはシステム監査という概念を理解している人間もいないようであった。情報化投資は今のご時勢必要に違いないし,難しいことは分からないから触れないでおこう・・・これが多くの経営者や監査役の正直な心情であろう。しかし,今日の多くの企業の現状を考えると,真っ先に業務監査しなければならないのが情報化投資であり,システム監査の最も重要なポイントは効率性なのである。システムの信頼性や安全性が重要になるのは,そのシステムが必要とされるからであって,システムの具体的な性能を考える前に,そのシステムの必要性と効率性をチェックするのが最初の仕事なのではなかろうか。
 ウェブサイトに限らず,費用対効果を考えずに右へ倣えで情報化投資をすることは,何をするかを決めるよりも,何をしないのかを決める事の方が重要でかつ決断力を必要とする経営判断であるという,経営のイロハをすっかり忘れた愚かな経営者達の愚挙である。
 更には,情報化を手段ではなく目的と勘違いした愚かな例も少なからず見られる。ある鉄道会社のホームページで,定期券売場と発売時間の情報を見ようとした時のことである。その会社では,新しいドットコムサイトを立ち上げ,カード会員がネットで定期券購入を申し込み,最寄の駅で受け取れるサービスを開始していた。そして,その会社のサイトで定期券の情報をいくら調べても,そのサービスの説明しかなく,定期券売り場の営業時間等に関する情報は一切なかったのである。つまり,カード会員以外はその会社のホームページにアクセスしても,定期券購入に関する情報は一切得られないのであった。情報化そのものが目的と化し,本来の顧客サービスが欠落してしまった典型的な例である。
 そういえば,もう一つ面白い話を思い出した。次の週末に,ある女性とある観光地へ出掛けようと,二人でメールを遣り取りしていた時のことである。彼女が某電鉄会社(上述の定期券の例とは別の会社)のホームページを調べていて,英語のページのURLを送って来た。彼女曰く,日本語のページはあまりにも複雑でコンテンツが多すぎて欲しい情報が見付からなかったので,余計なコンテンツの少ない英語のページを調べたのだと。流石,伊那丸さんが紹介してくれた女性である。逃げられたのが実に惜しい。(=^^=;;



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