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気にするだけ無駄なこと


 世の中には色んなことを気にする人がいるものである。そのことについて訊かれようものなら、、さも大変そうに語る。しかし、大抵のことはそれ程気にするものではないものである。そう言った話を適宜書いてみよう。


梅干の塩分

 梅干のパッケージには塩分10%だの7%だの、やれ減塩だのと書いてあるが、これはよく考えたら馬鹿々々しいことである。日本人の塩分の取り過ぎが高血圧の原因となり、それが日本人の死因のかなりの部分を占める脳疾患の原因となっている。それは事実である。
 食塩の所要量は定められていないが、およそ5〜7グラム程度であろうか。ところが普通の日本人は10グラム以上摂ってしまい、過剰摂取の状態である。したがって、梅干のように塩分の高い食品は、出来れば塩分を控えめにしたい・・・と、一見もっともらしい話である。
 さて、日本古来の梅干は塩分が15%を超えていたと記憶しているが、これは文字通り干したもので、現在のように水分の多いもの−正確には梅漬けと呼ぶ−に比較すれば一度に食べる量(質量)が少ないので、結果として摂る塩分に大きな差はない筈である。
 しかし、実はそういう問題ではない。あなたは一日に梅干を何グラム食べますか? 恐らく30グラムも食べる人は普通は居ない筈である。その梅干の塩分が5%違ったところで、その食塩の量の差たるや僅か1.5グラム。カップラーメンのスープを半分飲んだ量にも満たないのである。


ガソリンの値段

 原油価格の歴史的な高騰により、石油製品の値上がりが問題となっている。重油の価格が倍になれば多くの産業が打撃を受けるし、ジェット燃料の値上がりのために航空運賃を値上げする会社も出ている。
 こういう話になると、テレビはすぐにガソリンスタンドへ飛んで行って利用者にインタヴューする。

 −ガソリン価格がまた値上がりしましたが、いかがですか?
 「いやぁ、困りましたね。家計が大変です。」
 「車の利用を控えなきゃいけませんね。」

 では、あなたは一体ガソリンの値上げで毎月どれだけの負担増を強いられているのか? 普通の日本人なら、個人でガソリン代を払って毎月1000キロ以上走る人は多くないであろう。リッター10キロ走る車で1000キロ走れば100リットル。そのガソリンが30円上がったところで、負担増は3000円。車を保有し維持して行くコスト全体の中で、これは誤差として無視できるほどの金額である。
 また、ある運送業者がガソリンの値上げを理由に運賃の値上げを打診してきた。曰く「ガソリンが20円も30円も上がって、1個600円の運賃では難しいんです。何とか700円にしていただけませんか?」
 ちょっと待て。その荷物1個を配送するのにガソリンが何リットル必要なのだ? 100円値上げするということは、ガソリンを3リットル以上使ってないと計算が合わない。ところが、ガソリンを3リットルも使っていたら、そもそも600円で出来るはずがない。これは完全な便乗値上げである。

<追記>
 この記事を書いてから2年と数ヶ月、原油価格は倍以上、揮発油税込みのガソリン価格でも1.5倍ほどになった。ガソリンが10円くらい上がったからと言って運賃を15%以上上げろと言って来た業者も、流石に5割上げろとは言って来ないだろう。現在の価格なら、600円の運賃を700円にしろと言うのは至極妥当だと思うし、750円位でもいいのかも知れない。しかし、ちょっと上がったからと言って、それを口実に便乗値上げしようとした業者は顧客を失ってしまった。その業者は現在使っていないので、どうなったのか分からない。



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