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大阪雑感


 大阪はパリに似ている,と言うと意外に思われる方も少なくないかも知れない。しかし,似ているのである。

1.川と鉄道
 中心部を川が流れている。川には橋が多数架かっており,中州が超一等地である。
 地下鉄は町中を縦横に走っていて,川の下をくぐっていたりもする。地下鉄は郊外まで伸び,近郊の私鉄に乗り入れているものもある。地下鉄やその他の通勤用鉄道は比較的空いている。
 新幹線の駅は町中にはない。新幹線に乗るために,地下鉄で新大阪駅まで行く人も多い。
2.人の歩き方
 赤信号でも車が来なければ渡る。
 エスカレーターでは,急がない人は右に寄って乗る。
3.食い倒れ
 うまいもんが安い。
4.ど真ん中に住める
 実際の人口はともかく,パリでも大阪でも中心部に住むのはそれほど難しくない。私は凱旋門から徒歩5分のところに住んでいたが,パリではもっと中心部に住む人も少なくない。大阪でも,船場辺りで中古マンションを買うつもりなら,2千万円もあれば3LDKくらいが買える。

 さて,よく考えたら,ここに書いたことの多くは東京の裏返しを言っているようなものである。国際的に見て,東京が如何に住みにくい都市であるのかが改めてよく分かった。
 世界の都市は基本的に川を中心にして発達している。江戸も本来は川を挟んで武蔵と下総の両側に発達した町の筈である。ところがいつの間にか牛込や内藤新宿,更には荏原郡のほうがお洒落だということになり,川のないところに町が広がってしまったのである。多摩川までの広い空間に建物が密集しているのであるから,夏は砂漠並の体感温度になるのももっともである。
 東京の地下鉄網の無節操な広がり方はむしろパリに似ている。しかし,料金はともかくとして,営団と都営と2系統に分かれているような町が他にあるのだろうか?
 新幹線の駅がど真ん中にあるのは殆ど奇跡である。新線開業に備えて東京駅の八重洲側にスペースを残しておいた先人の先見の明には恐れ入る。しかし,東武東上線が埼玉県の奥地まで複々線化用地を確保しているのは理解できない。(笑)
 さて,赤信号でも車が来なければ横断するのは合理的であるが,ドイツ人は決してしない。彼らは規則で導かれなければ生きてゆけない人種だからである。東京人も同じである。そのためヒトラーが全ドイツを狂気に駆り立て,大日本帝国とともに破滅に向かって進んで行ったのである。しかし,フランス人同様,大阪人は勝手に生きている。その証拠に第8聯隊は一番弱かったではないか。それはともかくとして,国が滅びようと,自分たちの生活と商売をしっかりと守って行く関西(京都は知らんけど)の人間は,お国の規則など,都合の良いときだけ守ればいいと割り切れるのである。
 エスカレーターは国際的には右に寄るに決まっている。東京だけおかしいので論外。
 うまいものを安く食うのは当然の欲求である。それを,体裁ばかり考えているものだから,不味いものを食わされたり,あるいは商売でも美味しいところを取り損ねたりするのである。
 東京の一等地の地価が異常に高いのは,それだけの商業価値がある訳ではなく(現に銀座で安くて美味しい店はすぐ潰れる),銭勘定もろくに出来んアホが,ただええかっこしたいだけやんか。

 ということで,大阪をうろうろしていたら,東京が異常な所であることを再認識してしまった。


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