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PL法について


 最近,食べ物にしても電化製品にしても,やたらと不愉快な表示が多い。瓶のキャップを見ると,開栓時に指を怪我しないように注意しろとか,ポテトチップスの袋にまで手を切らないようにだとか,あるいは電気製品には感電死する恐れがあるようなことが書いてあったり,とにかく見ていて気分が悪くなる。
 これらは言うまでもなく,いわゆるPL法,つまり製造物責任法とやらのせいである。その商品の欠陥が原因で不利益を被った消費者が,その商品の製造者に損害賠償を請求出来るという,ごく当たり前の話なのであるが,この法の精神が曲解されて,おかしなことになっているのである。
 尖った金属片やガラスは怪我をする恐れがある。電気は感電する恐れがある。当たり前のことである。そのようなことは,我々日本人は子供の頃から当然のごとく学び,あるいはしつけられて来た筈なのであるが,その当然のことが通用しない社会になって来ているようである。これは何でも明文化した契約を結び,そこに書いてなければあらゆる難癖を付けて金をふんだくることが出来るという,アメリカンスタンダードの影響によるところが大きい。
 我々がアメリカ人を揶揄する時に持ち出す話の定番に,電子レンジで猫を乾かした話がある。アメリカの主婦が猫を洗ってから乾かそうとして,猫を電子レンジに入れて温めたら死んでしまった。そこで電子レンジのメーカーを訴えて勝訴し,賠償金を受け取ったという話である。勝訴した理由は,電子レンジの説明書に猫を乾かしてはならないという表示がなかったためであったという。このような荒唐無稽な話が実話だとは信じ難いが,先日もハンバーガーの食べ過ぎで太って病気になったからと,ハンバーガーショップを訴えた男がいたそうであるから,あるいは実話かとも疑いたくなるのである。このハンバーガーの件も,ハンバーガーは脂肪分が高く,肥満および肥満による病気の原因になり得ることが明記されていなかったため責任を追及するとのことなのである。
 このようなことが罷り通っていては,世の中実に住み難くなる。そのうち,赤ワインを買ったら,このような説明書が付いてくることであろう。

第1条 飲料
 本製品,「シャトー・化け猫・ルージュ2010」(以下,「本製品」と記す)は,飲料であり,飲用以外の用途に用いないで下さい。目など,口腔以外の粘膜に触れると炎症を起こしたり,失明の危険もあります。

第2条 保管方法
 本製品の品質を保つためには,気温摂氏12〜16℃,湿度70〜80%で,光,振動,異臭のない場所に,瓶を横にして保存して下さい。

第3条 冷却・加熱時の注意
 本製品を飲用する際は,冷凍庫で冷やすと瓶が破裂して,ガラス片で怪我をしたり,シャーベット上になったワインがこぼれて庫内を汚す恐れがありますので,お避け下さい。また,本製品を瓶のまま加熱すると,瓶が破裂したりワインが吹き出して同様の問題を生じたり,火傷の原因になる恐れがありますので,お避け下さい。
 また,本製品を鍋などに入れて直火で加熱すると,蒸発したアルコールに引火して火災の原因となることがありますので,十分にご注意下さい。

第4条 開栓時の注意
 本製品を開栓する際には,キャップシールを切り取り,コルクを抜いて下さい。この際,キャップシールで指を切ったり,開栓時に瓶に無理な力を掛けると瓶が割れて怪我をする恐れがありますので,十分にご注意下さい。
 また,開栓時にワインがこぼれますと,衣服などにシミが付く恐れがありますので,十分にご注意下さい。

第5条 アルコール飲料
 本製品は酒税法に規定された果実酒であり,アルコール分を約12.5容量%含有しています。未成年者の飲酒は法律で禁止されていますし,発育中の体がアルコール摂取によって侵される危険性がありますので,絶対におやめ下さい。また,妊婦や授乳中の方の飲酒も,胎児または乳児への悪影響が懸念されますので,お避け下さい。
 法律により,飲酒の上で行うことが禁止されている業務(自動車の運転など)をされる前には,本製品の飲用はお避け下さい。

第6条 飲用時の注意
 本製品にはポリフェノールの一種,アントシアニン色素が含まれています。これは布につくと染色する作用があり,塩素系の漂白剤などでないと脱色出来ません。飲用時にはこぼして衣服等に付かないよう,十分にご注意下さい。
 また,本製品の飲用にガラス製のグラスを使用される場合には,グラスが割れて怪我をしないよう,十分にご注意下さい。

第7条 飲用後の注意
 本製品の飲用後は酔って判断力が鈍る場合がありますので,十分にご注意下さい。また,飲用後に瓶やグラスを割って怪我をする恐れがありますので,十分にご注意下さい。



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