自己流料理レシピ集



 ここでは,家庭でも作れそうなフランス風料理のレシピをご紹介して行く。何れオードブルやスープからデザートまで充実させて行くつもりであるが,思い付いたものから順次載せて行くことにする。材料や分量を詳細に記すことはなるべくしないようにしているので,皆さんのお好みに合わせてアレンジしていただければ幸いである。


  ヴィシソワーズ

  魚介類は何でもグラタン

  舌平目のムニエル,きのこ添え

  シュークルート

  ブッフ・ブルギニョン

  簡単ステーキ

  オーブントースターで作るグラタン・ドーフィノワ

  洋梨の赤ワイン煮



ヴィシソワーズ
 日本ではよく見かけるが,フランスではあまり見たことのない冷製スープ。そもそも20世紀初頭の古い料理であるし,今日のフランスではスープを殆ど食べなくなったという事情もある。しかし,よく冷やしたヴィシソワーズは,蒸し暑い日本の夏にはぴったりの料理である。但し,作る時はかなり暑い思いをするので心して戴きたい。

<材料> 約2杯分
 ジャガイモ(男爵) あまり大きくないの2個
 ポロネギ(なければ東京ネギ)の白い部分 1本
 タマネギ 1/4個
 生クリーム(植物性は不可) 100ml
 牛乳 150ml
 ブイヨン(固形コンソメスープを水に溶いたもので代用) 400ml
 シェリー酒(フィノ) 30ml
 バター,塩,こしょう,あさつき

<作り方>
 厚手の鍋にバターをたっぷりと入れ,火に掛けて,薄切りにしたネギとタマネギを炒める。焦げないようにかき混ぜながら,しっかりと炒めるが,この間に隙を見てジャガイモの皮をむいておく。ネギとタマネギがすっかり柔らかくなったら,ジャガイモを豪快に厚切りにして加え,更に炒める。ジャガイモが透き通って来たら,炒め終了。
 炒め終わった鍋にブイヨンを注ぎ入れ,強火で煮立たせたらアクを取り,弱火で約1時間煮る。煮込み終わったらミキサーに掛け,塩・こしょうで味を調え,粗熱を取る。牛乳,生クリーム,シェリー酒を加え,よく混ぜてから冷蔵庫で冷やす。
 冷やした皿に盛り付け,あさつきを刻んで散らす。


魚介類は何でもグラタン
 魚料理をメインに据えたい時にお勧めなのが,グラタン。油脂やでんぷんによるカロリーだけでなく,蛋白質やカルシウムも豊富に含まれており,更に野菜をたっぷり入れれば,それだけで付け合わせから主食までを兼ねてしまうことが出来るのである。

<材料>
 魚,甲殻類,または貝を適量
 野菜・きのこ類を適量
 小麦粉,バター,チーズ,塩,こしょう,ナツメグ,パセリ,その他お好みで

<作り方>
 グラタン皿にバターを塗っておく。好みによって,にんにくをこすり付けておいても良い。
 魚は身を外してバターでソテーする。甲殻類はクール・ブイヨンかフュメ,と言いたいところであるが,白ワインで下茹でし,殻を外す。貝は白ワインで煮て口を開かせ,身を取り出す。何れにせよ,下ごしらえが終わった材料はグラタン皿に入れる。野菜・きのこ類はバターでソテーし,グラタン皿に入れる。
 次に,小さな鍋に1人分大匙1杯のバターを入れて火に掛け,溶けたら同量の小麦粉を加えて色づかない程度に炒める。ここに牛乳を適量加え,混ぜながら加熱する。滑らかなソースになったら,チーズ(できればグリュイエールとパルミジャーノ),好みによっては卵黄と生クリームを加え,塩・こしょう・ナツメグで味を調える。
 濃厚な旨味を楽しむには,魚の場合,骨とアラを野菜とともに白ワインで煮込み,漉して少し煮詰めてからソースに加える。甲殻類は殻を強火で炒め,身を煮た白ワインで煮込み,同様に少し煮詰めてからソースに加える。貝の場合も,煮汁を少し煮詰めてソースに加える。
 グラタン皿に入った材料にこのソースを絡め,上にバター,チーズ,パセリを散らしてオーブンまたはオーブントースターで焼けば出来上がり。


舌平目のムニエル,きのこ添え
 世間一般の人が持っている印象ほど,高級なものでも難しいものでもないのがソール・ムニエルである。

<材料>
 舌平目(なければ柳鰈)
 きのこ適量(マッシュルーム,シメジ,マイタケ等)
 タマネギのみじん切り少々(もしあればエシャロット)
 牛乳,小麦粉,バター,サラダ油,塩,コショウ,レモン

<作り方>
 指に塩を付けて,舌平目の表の皮をむく。裏の皮は鱗だけとっておく。頭と内蔵を切り落とし(斜めに切れば一度に取れる),しっぽも切り落としておく。表身は中心線に沿って切れ目を入れておく。これに牛乳を掛け,10分ほど置いてから水気を拭き取り小麦粉をまぶす。
 フライパンにバターとサラダ油を入れて熱し,バターが少し色づいたら舌平目を表身を下にして入れる。色よく焼けたら裏返して焼く。焼けたら温めておいた皿にのせて,素早く次の作業へ移る。
 フライパンの余計な油を捨て,バターを足して強火できのこを炒める。きのこに火が通ったら,タマネギを加えて少し炒める。
 舌平目の縁側を外してから表身を5枚おろしの要領で外し,中骨を取り除く。ここにきのこのソテーをのせ,表身を載せる。
 フライパンを火に掛け,バターをたっぷり溶かし,少し色づいたところでレモン汁を加え,塩・コショーして舌平目に掛ける。更にジャガイモの塩茹ででも添えると良い。
 なお,中骨などは捨てないで,フュメ・ド・ポワソンに流用することが出来る。


シュークルート
 言わずと知れたアルザスの名物料理は,材料さえ揃えば意外と簡単に作れる。ビールも良いが,折角だから,ちょっといいアルザスワインか,いっそハルプトロッケン位のドイツワインでも用意して楽しみたいところである。

<材料>
 瓶詰めのザウアークラウト
 ソーセージ各種
 ブイヨンまたは固形コンソメ
 ジャガイモ,塩,コショウ,粒マスタード

<作り方>
 ザウアークラウト適量を,全量が何とか浸る程度のブイヨンまたは固形コンソメを水に溶かしたもので茹でる。ソーセージとジャガイモも茹でておき,全部あわせて味を調えたら,粒マスタードを添えていただく。
 ちなみに,筆者は不精して,ブイヨンの中でソーセージを茹でてから皿に移し,ザウアークラウトを同じブイヨンで茹でて,最後にソーセージをもう一度戻して加熱してから皿に盛っている。ジャガイモもブイヨンで茹でてしまう手があるが,肉じゃがのような味になってしまうので,別途塩茹ですることをお薦めする。


ブッフ・ブルギニョン
 ビーフシチューを作る時は,ケチっていいのは肉の値段だけである,と言うと驚かれるかも知れないが,100グラム100円足らずの肉に,贅沢な材料とたっぷりの手間暇を掛けて作る,ある意味非常に酔狂な料理である。

<材料> 2人前くらいかな
 牛バラ肉 400g程度,200gの固まり2つに切る
 ベーコン 1.5センチ角切り100g,スライスは不可
 ニンジン,タマネギ,セロリ,その他好みの野菜 各1/2,薄切り
 ニンニク,ハーブ(好みで)
 バター,塩,小麦粉,コショウ,ケチャップ,固形コンソメ等
 ブルゴーニュ産赤ワイン 1/2本
 ブランデー,マデラ(マルムジー)

<作り方>
 まず,料理する前日に,牛バラ肉,野菜,ハーブをワインに漬けておく。温かい日は冷蔵庫へ。
 一晩置いた材料を取りだし,肉,野菜,ハーブ+ワインに分ける。厚手のフライパンにバターを入れ,ベーコンを炒める。ベーコンの表面が少しカリっとなったら,取り出して煮込み鍋に入れる。次にバターを少し足して,強火にして煙が立って来たら,軽く塩・コショウをしたバラ肉を加え,表面だけを焦げる一歩手前まで一気に焼き固める。ステーキを焼く要領で全面を焼き固めたら,ブランデーを加えてフランベし,煮込み鍋に移す。最後に火を中火に弱め,野菜を炒める。野菜がしんなりしたら,小麦粉を振り入れ,肉とベーコンをフライパンに戻し,小麦粉が色づくまでじっくりと炒める。このようにして炒めた材料一式を煮込み鍋に入れ,フライパンにマデラ適量を加えて火に掛け,残った旨味成分と小麦粉を溶かして煮込み鍋に入れる。
 ワインとハーブを煮込み鍋に加え,更にケチャップ+コンソメを加える。理想を言えば,ソース・ドゥミグラスにグラス・ド・ヴィアンドを少々であるが,ここは各自の好みで適当に味付けを考えてよい。塩・コショウもある程度入れておこう。鍋を火に掛け,煮立ったら暫く灰汁を取る。鍋に蓋をして,微かな弱火で3時間煮込む。
 煮込み終わったら,肉とベーコンを取り出し,煮汁をシノワ(なければザル)で漉す。煮汁と肉・ベーコンを鍋に戻し,好みによってマッシュルームのソテー,野菜の塩茹でまたはグラッセを入れ,温めれば出来上がり。グラッセを入れない時は,ガストリックかカラメルを入れると良いかも知れない。


簡単ステーキ
 昔はステーキのことをビフテキと言ったが,これはビーフステーキを略した,日本独特の造語だと思っている人も少なくない。しかし,実はこれはフランス語である。パリの人に安物のステーキを指差して,これはフランス語で何というのかと尋ねれば,「ビフテッキ」と答えるに違いない。余談であるが(以上も全部余談だが),筆者の母はステーキのことをビステキと言う。子供の頃から不思議だったのであるが,最近その語源が判明した。イタリア語のbisteccaとビフテキが混同されていたのである。見掛けによらず,若い頃イタリアに何度も行っていたらしい。
 さて,一番簡単な肉料理はステーキに違いないが,ちょっと工夫すれば俄然美味しくなる。牛フィレに限らず,鴨の胸肉や,いっそ仔羊の骨付き肉(あるいはきれいに掃除してフィレにすれば尚好い)などでも同様に焼くと美味しい。

<材料>
 牛フィレ肉150g程度(斜めに切ってないもの,霜降りは不要)
 バター,サラダ油,塩,こしょう
 ブランデー,マデラ(マルムジー),フォンドヴォーまたはコンソメ

<作り方>
 肉は日本では何を勘違いしたのか,スーパーなどで売っているものは斜めに切って大きく見せる(その分薄くなる)のが一般的であるが,これでは美味しいステーキは焼けない。必ず筒状に切ったものを選び,室温に戻しておく。
 厚手のフライパンを強火に掛け,バター(出来れば澄ましバター)とサラダ油を入れて熱する。その間に素早く肉に塩・こしょうをする。フライパンが温まり,煙が出るくらいになったら,肉を入れ,そのまま強火で暫く置く。肉の表面が焼き固められ,自然とフライパンから外れるまでは決して動かしてはならない。フライパンを軽く動かして肉が動くようになったら,肉を引っ繰り返して裏面も同様に焼く。側面が生焼けであれば,肉を立てて,転がしながら少し焼く。好みによってはこの後火を弱めてもう少し焼くのも良いが,火を通し過ぎると台無しである。
 肉が焼けたらブランデーを振り掛け,フライパンを傾けて火を付ける。火が消えたら出来上がり。皿の上に網を載せ,そこに肉を載せて,ボウルを被せて保温する・・・と本には書いてあるが,グラタン皿に網を載せ,生暖かくしておいたオーブンに入れておくのが確実である。
 その間に,フライパンにマデラを入れ,かき混ぜながら煮詰める。この間にフライパンにこびり付いた肉の旨味がマデラに溶け込むのである。半分くらいになったら,缶詰のフォンドヴォーまたは粉末のコンソメを加え,更に煮詰める。フォンドヴォーの代わりに缶詰のドミグラスを入れると美味であるが,これは百年前のレシピである。焼いた肉から汁がにじみ出ている場合は,それも加える。火を止めたら塩・こしょうで味を調え,バターを加えて,フライパンを動かして溶かす。肉を温めた皿に盛り,このソースを掛ければ出来上がり。
 付け合わせはジャガイモの料理が一般的である。生クリームたっぷりの
グラタン・ドーフィノワは勿論のこと,フレンチフライドポテト,塩茹で(普通は魚料理に添えるが,肉でもいける)まで,お好みによって何でもありである。また,きのこ(舞茸,シメジ,シャンピニョン)のソテーを添えるのも簡単で美味である。


オーブントースターで作るグラタン・ドーフィノワ
 フランスの高級レストランではステーキにかなりの確率で付いてくる付け合わせであるが,日本では滅多に見ないのがこのグラタン・ドーフィノワ。しかし作ってみると簡単である。ちょっと火加減を注意すれば,オーブントースターでも作ることが出来る。

<材料> 私が使っているグラタン皿1皿分(約2人前)
 ジャガイモ(メークイーンの細長い小振りのを3個くらい)
 牛乳 150ml
 生クリーム(植物性は不可) 100ml
 グリュイエールチーズ 適量
 にんにく少々,塩,こしょう,ナツメグ

<作り方>
 グラタン皿ににんにくをこすり付ける。鍋に牛乳と生クリームを入れ,火に掛けて,沸騰直前まで温める。その間にジャガイモの皮をむいておく。牛乳と生クリームが温まったら,塩(やや強め),こしょう,ナツメグで味を調え,グラタン皿に移す。
 ジャガイモを薄切り(1.5mm程度)にして,1枚ずつグラタン皿の牛乳の中に並べて行く。これをオーブントースターに入れ,約20分間,断続的に加熱する。連続して加熱していると沸騰し過ぎるし,表面が焦げ過ぎるので,適宜スイッチを切り,様子を見てはまた加熱するのである。そしてグリュイエールをすりおろして表面に散らし,更に10分間,同様に加熱すれば出来上がり。
 スプーンですくって,ステーキの横に豪快に盛り付ける。


洋梨の赤ワイン煮
 洋梨をそのままむいて食べてみると,味も香りも歯ざわりも変で,美味しくないと感じた方も少なくないと思う。あれはあれで慣れると美味しいのであるが,洋梨というものは本来加熱して食べるほうが美味しいものである。

<材料>
 洋梨(大きいのなら1個,小さければ2個)
 コアントロー 約50ml
 赤ワイン(ソーミュールなど) 約100ml

<作り方>
 洋梨は皮をむき,4つ割にして芯を取り,小さいものは更に2等分,大きいものは4等分して(櫛形に切る),小さ目の鍋に入れる。ここにコアントローを注ぎ,火に掛ける。これをフランベするが,危ないと思ったら少し弱火でアルコールを飛ばしてからにすると良い。火が消えたら赤ワインを注ぎ,好みによっては砂糖を少々加え,洋梨が柔らかくなるまで煮る。
 皿に洋梨を綺麗に並べ,赤ワインソースを掛けて出来上がり。好みによってはシナモンなどを使っても良いかも知れない。



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