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2月14日の夜 


 私は子供の頃からチョコレートが好きである。カカオ中毒ではないかと言われたこともあるが、試しに70%のチョコを100グラム食べてみたら、何日かチョコレートを食べたくなくなったので、中毒ではなさそうである。(笑)
 さて、そんな私が最も辛くなる日が2月14日である。基督教のことはよく分からんが、「主よ、聖ヴァレンティヌスは堕落して悪魔となってしまったのか?」と叫びたい心境になったことが何度もある。まあ、日本のチョコレートメーカーが西洋のお祭りを適当に利用して始めた商戦が定着しただけなので、ヴァレンティヌスやキリストに文句を言っても筋違いであるのだが。
 この日の夜は、クリスマスイヴ同様、独りで酒でも飲んで寝てしまうのが一番である。しかし、ウイスキーやブランデーはいけない。チョコレートが食べたくなる。ワインも要注意。ポートやバニュルスは厳禁であるが、トカイやソーテルヌも避けるべきであろう。普通の赤ワインもやめておいたほうがいい。ソムリエの教科書に書いてあることは大抵は嘘で、どれも意外とチョコレートに合うのである。こういうときは、極辛口の白ワインかシャンパンでも飲むことである。これでチョコレートを舐めたら苦くなること請け合いであるから。
 それよりも、自分でチョコレートを買ってきて食べるのはどうかって? それはあまりにも虚しい。事前に宅配便で日付指定して自分宛に送っておく。それは名案であるが、自分で買って荷造りして、コンビニで荷札を書くのがあまりにも惨めである。
 そうだ、こういうときこそITの力を借りよう!
 ネットショップで美味しそうなチョコレートを売っている店を探す。気に入ったチョコレートがあったら、納期、支払方法などをチェックする。そして、注文者と送付先が変えられること、支払方法にコンビニエンスストアでの支払い、あるいは他人名義のクレジットカードによる支払が可能であることを確認したら、以下のように注文すればよい。
 注文主は、チョコレートをプレゼントしてくれたら嬉しいが、絶対にしてくれる筈もない女性にする。住所、電話番号が分からなければ、適当に書いておく。送付先は当然自分の住所・氏名・電話番号を記入する。支払方法は、他人名義のクレジットカードが使えるのなら、自分のカードにしてしまう。それが駄目なら、コンビニエンスストアでの支払を選択する。後者の場合、支払番号が通知されるので、それを持って期日までにコンビニで支払を済ませる。配達日は2月14日。その日、自分が帰ってくる時刻を考えて、時間帯も指定しておこう。
 あとは、注文したことを忘れて、普通に生活していればよいのである。



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