革漉き機のメンテナスと裏技テクニック(個人工房用)
個人工房でも必需品となってきた革漉き機のお話です。ここでは『取説』以外
の裏技テクニックなどを掲載しましたが、皮革の革質によって漉き上がり状態
にバラつきが出ます。メンテナスもしっかり行えば故障も無くなりますよ。
革漉き機 NIPPY (NP-1) メンテナンス 丸刃の研ぎ
国産メーカーではNIPPYの独断場。中古市場ではSEIKO、YAKUMO、NISIYAMA等が流通してる。画像はテーブル幅をカットして、漉きクズ排出を家電掃除機でバキューム構造にした物。 色点はミシン油補給箇所、赤点は作業毎に他は週一程度。丸刃と押さえ金の間隔ははがき1毎分、厚い革は広く、精密な漉きは狭くです。送りローラーは刃に当らない程度が基本です。Aの張り調整レバーは通常真中で堅い革は奥に掛けます。 火の粉の飛散防止にアクリルボードを作りました。丸砥石に付着した鉄粉はドレッサーで取り、高回転で止める事なく火花が出なくなるまで研ぎ、棒砥石で返り取りをして、回転したまま丸砥石を離します。とにかく革漉き機は『刃が命』です。
押え金 中間の漉き 漉き割り
押え金は用途に合わせて各種形状の物が市販されてますが、本来は自分で研り出します。押え面が完璧に無傷である事。傷の有る場合は水研ぎペーパーで磨きます。ニトフロンテープ(上左)やテフロンシートで滑りや送り跡も軽減されます。 途中からの漉き始めは押え金を上げて指定位置で押えを下げて漉き、途中で漉き終わるには、指定位置で送りを止め押え金を上げて、丸刃を回転させると良いです。札束入れやパスケース等のテクニックですが、応用範囲の広い作業です。 布ベルトなどの剣先を革で挟む場合は、厚革を指定の厚さと寸法まで漉けたら、丸刃回転を止めて押えを上げ、送りローラ(通称ビヤ樽)も下げて、慎重に革を引き抜きます。お魚の二枚下ろし状態ですね。厚革作業は押えと丸刃間隔は広めです。
くり抜きの漉き 中漉き 重ね漉き
押え金の下をくぐらせてからゆっくりと漉きます。クラフトした革(ラベル)を額縁状態で縫製する時のテクニックです。送りは革をビボットに回転させる(ムリヤリ回転させないで機械に回転を任せる?)へり返しは切込みを入れて返します。 通常は中漉き用の押えを使いますが、サンプル品などの場合は、押え金を極端に傾けて左右両方から漉きます。傾斜角度を返ると漉き幅も変わります。厚い革の折り曲げ部分に使いますが、精度は低いのでペディと併用すると良いでしょう。 あっと驚く裏技です。皮革の表革に2.5ミリ程度の堅い革を両面テープ等で仮止めして、張付け革の上を任意の高さで漉くと張付け革の形状通リに漉けます。中漉きやファスナー部分の返し、オブジェ風など特殊な押えが無くても加工出来ます。

ベタ漉き(大きい皮革を均一に薄く漉く)
このテクニックは当方も完璧ではありませんが、参考までに!
1)完璧に研ぎ澄まされた丸刃が絶対条件です。
2)押え金と丸刃間隔は若干広めです。
3)押え金は一番長い押えを使い、丸刃に平行にセットします。
4)革の裏面を指でなぞって下さい。革繊維が寝る方向(毛羽立たない)が有り、その革目に沿って一方通行で漉きます。
5)革をピンと張って、平面に送る工夫が必要です。軟らかい革は事前にアイロンなどをして張りを持たせる。革漉き機本体のテーブル面積をプラボードなどで広げる。
6)最初の一筋目の漉きが出来たら仕上がりを見て押え金の平行を確認の事。(この微調整は肉眼では調整出来ないので感覚が頼りです)
7)二筋目は一筋目に5ミリ程重ねて同じ方向で漉きます。

ファスナー用へり返し

8)同じ要領で漉いて下さい。

切り込みを入れる前に中漉きをする場合と、両端をY字型に切り込みを入れてから四辺を漉く場合が有りますが、後者の場合隅々で漉き残りが出ますので、ペディ等で修正が必要です。バックなどの胴部分のファスナー付けに使います。 9)押え金の形状で重ね目に細い山が出来る場合が有ります。これを一番小さな押え金に交換して山を漉きます。
10)山取りの漉き始めは押え金を上げて、刃先の上に革を2〜3ミリ乗せてから漉きます。(食込み部分で深くえぐれる事が有るので)
11)それでも山の線は消えませんが、一般漉き機では限界です。
12)nippyでは最大48センチまで漉ける機械もありますが、高価です。革問屋で大まかに裁断して厚みを変えて漉き加工を依頼する。

新品丸刃は外観で約44mmですが最後まで使えません。およそ残量22mmで交換時期です。要領が分かってれば1時間程度で交換出来ますが、ネジ類がきつく押したり引いたりするピン類がありますのでご注意を。砥石交換も同じに裏面にも革クズが貼付いてるので掃除もしましょう。要領は取説に詳しく記載されてます。

丸刃交換(丸刃価格は6000円〜7000円程度です)
■補足します■
▽革漉き機は丸刃の完璧な研ぎが必要です。丸刃を移動した時はそれまでの接地点がズレます。火花は通常に飛散しますが、これは刃の根元を研いでるだけで刃先は研げてません。刃先の斜部分に油性インクを塗り完全に消えるまで研いで下さい。良く研げた刃先は全体に斜の線状が付きます。
▽送りローラー(ビヤ樽)の金属軸部分に漉きクズが絡み付いて、回転しない場合が有ります。普段から漉き幅 に応じた押えを使い、ビヤ樽の真中付近で作業をすると、金属軸への絡み付きは軽減されます。丸刃内に溜まった漉きクズは刃を逆転させると下に落ちます。
▽丸刃が同心円状に歪みなく回転してる事、送りローラーに凸凹や傷、歪みの無い事。厚革や堅い革は二〜三回に分けて漉いて下さい。
▽細部の複雑な漉きはペディや革包丁などを併用します。
▽漉き作業時に指先も漉く?事故が頻繁に有ります。集中して下さい。
▽漉き作業後のコバ部分に、細かい革繊維が出る場合や荒れた時は市販ライターであぶる(焼くのでは無い)と滑らかになります。
▽当方のモーターテーブルはカットしたので、漉きクズ滑り台は撤去してクズ籠を付けてます。現行モデルはコンパクトテーブル主流です。
▽長年モデルチェンジは無かったのですが、最近は新機種も出てます。
 性能は同じですがメンテナスが楽になりました。又マイコン搭載機も発表されてます。
                    以上 04/08/25 掲載(クラパパ)
ニッピ機械     革漉き機以外の各種機械も掲載されてます。
田中ミシン機工   新品、中古取扱い。本体、パーツ類の通販も可能です。
セイコーミシン   サイト内代理店ページのミシン屋さんでは大概扱ってます。

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