天気のいい日だった。 越野と海を見に行った。 越野は、水平線の先をまっすぐ見てた。 オレは、風が越野の髪を撫でてくのを見てた。 越野は、こんな日がすげー好きだ、と言ってた。 ほんとそうなんだろうなーと思った。 何でこんなことになったんだろうな、と、越野がふとこぼした。 まあ、確かにそうだ。 分かんないもんだ。 オレと逢うことがなかったら、越野はきっと誰かと普通に恋をして、誰かを抱いて。 誰かにとっての「頼れる彼氏」になってたんだろう。 「おい」 不意に腕をつかまれた。 ん? けたたましいクラクションが目の前を過ぎていった。 信号 赤だった。 「危ねーだろ。またボーっとして」 …まー、確かに頼れる彼氏だな。 なんか、嬉しくて笑えた。 「たく、何考えてたんだよ」 不機嫌そうに顔を見上げてくるから、オレがそのまま 「越野のこと」 と笑って答えたら、 「…バカかお前は」 越野は律儀に照れ隠しした。 おかしくてまた笑ったら、みぞおちに一発お見舞いされた。 何か、言いにくそうにためらった後、越野は 「…ここに、」 ん? 「別に、考えなくたって、オレならここにいるだろ」 と、目の奥をじっと見つめ返してくる。 あー、越野だなーと思って、なんか頬が緩んだ。 そんな不安そうな目しなくていいって。 「うんうんいるいる」 笑って越野の髪をクシャクシャかき回したら、ちょうど信号が変わった。 歩き出した越野も、イヤそうに笑ってた。 ほんとは、眉寄せた眉間にキスしたかったけど、外だったし。 まあ、今してるからいいか。 |
| 終 |
ひとくちメモ
アレ…このオチは何…?(笑)