「今度、雑誌で俺の特集やるらしい」
帰宅後、寝室に直行し部屋着でリビングに現れた仙道が、いかにもめんどくさそうに言い出した。
「は? 何の雑誌?」
風呂から上がってきたばかりの越野に一瞥をくれると、ダルそうにソファーに腰をおろす。そうしてから越野の問いかけに答えたのは、ある20代向けの女性誌だった。黒いソフトレザーに、ダークレッドの脚がポイントのソファーは、仙道に合わせ五人は座れそうなほどの大きさだ。ダークレッドでそろえた毛足の長いラグに、仙道の足が乱雑に置かれる。
「ああ、SEX特集とかやる雑誌だっけ?」
「うっわ越野お前、エロい中吊り広告ばっか見てんだろ」
「ボケ、冗談真に受けてんじゃねぇよ。センスねーやつ」
仙道の皮肉を挑発と捉えたのか、おざなりに乾かしただけの髪をかきあげ、越野は裸足の足をソファーに向けた。
「ま、その撮影があるんだとよ」
大仰に肩をすくめ、ソファーで大きく伸びをする。
「仙道選手のセクシー特集?」
越野は仙道の前に立つと、険のある目つきでじっと見下ろした。
「そ。プロバスケットボールプレーヤー・仙道彰の衝撃セミヌード」
「なんだセミヌードかよ。何が衝撃だ。つまんねぇの」
言ってどっかり、仙道の膝の上に跨がった。両足を開き、仙道の太ももに当然とばかりにのしかかる。向かい合うと顔を両手でギュッと挟み込んだ。
「フルヌードが良かったか」
「男の癖にもったいぶってんじゃねぇよ」
あざ笑うかのような表情とセリフにも、仙道は面白そうに半笑いを浮かべただけで、越野の腰を抱え込んだ。
反撃とばかりに、越野は仙道のTシャツを勝手にめくり、割れた腹筋をなでる。伸び上がり喉元に噛み付いた。ガブリ。越野の唇と熱い舌が、喉をザラザラなぞっていく。
「向こうが勝手に決めることだ。ま、少なくとも……」
言いながら越野のTシャツに手を突っ込み、ためらいもなくそれを一気に剥ぎ取った。
「上は脱ぐだろ」
喉元から鎖骨にまで舌を伸ばした越野の胸を、思わせぶりな手つきで撫でる。
「当たり前だろ。つーかそんなんじゃ、いつものスポーツ誌とかわんねぇえじゃん」
「越野、Tシャツひっぱるな」
襟元を伸ばし肩にかじりつく獣の首根っこを、仙道はギュッとつまんだ。越野が上体を起こした隙に、自らTシャツを脱ぐ。
ソファーに膝立ちになった越野を抱き寄せ、唇を重ねた。すぐにどちらともなく舌をもぐりこませる。角度を変え舌を絡めあい、キスの間にも、仙道が越野の背中から尻をまさぐれば、負けじと越野は膝で太ももを締め付けた。仙道の首に回した手は襟足を握り、そして肩口へおりていく。
「で? どこまで脱ぐんだよ」
しばらく貪りあった後、さもおかしそうに越野が言った。その瞳が獰猛に光る。
「……さあ?」
獰猛な瞳には静かに燃える瞳を。
越野はソファーからズルリと落ちると、濃赤のラグに膝をついた。眼前にちょうど、仙道の腹がくる。
「かてー腹筋……」
そして腹筋にねっとり舌をはわせた。キュッと吸い付いては、痕を残す。
「うまいか?」
「分かりきったこと聞くな」
仙道の腹が、リビングのぼんやりとした明かりの下で濡れて光った。腹に噛み付かれている間に、越野の耳裏から首を愛撫する。首が弱い越野は、時々身をよじりながらも、腹から腰、スウェットを剥き仙道の下肢にたどりつこうとしていた。
「邪魔。脱げ」
簡潔に命じ、仙道にスウェットを下ろさせる。自分もさっさとパジャマのズボンを脱ぎ捨てた。
「……この辺まで?」
ボクサーパンツの境目に吸い付き、越野は仙道を見上げた。
「さてね」
片眉をあげ微苦笑で返す。
越野は太ももに唇をはわせ、キスマークをつける。ご丁寧に左右両方とも。ボクサーパンツをちらりとめくり、くっきり痕を。
「わざとだな」
「ちょーきわどいビキニパンツとか履くんじゃねえ?」
「お気に召すまま」
仙道は舌なめずりするようにゆっくり唇を舐めてから、越野のボクサーパンツに手を侵入させた。尻をなぞり、割れ目を辿る。じりじりと仙道の下着を下ろしては痕をつける越野が、息をついた。
「痕、見せつけてやるよ」
後孔の周りをじらすように往復させてから、指先をもぐりこませた瞬間、越野がこの上もなく男の顔をして、笑った。視線は相変わらず肉食獣そのものだ。
「俺はいーけど。お前こそ、俺の写真見ておっ勃てんなよ」
肉食獣の視線を余裕たっぷりに受け止め、後ろに突っ込んだ指を増やし、ぐいぐい深く侵入した。
「はっ……てめーこそ。撮影の最中、思い出してこんなにしてんじゃねーぞ……」
越野は仙道の下肢を取り出し、すでに硬くなったそれをほおばった。仙道の腹筋がピクリと反応する。柔らかい頬が仙道の陰茎で歪む。乳首をいじっていた手を離し、仙道が頬に触れると、目線だけあげ好戦的に笑ってみせた。
「ぺらい写真なんかで勃つか。本物よこせ」
「悪い猫だ」
クックックッ。面白くてたまらないといった様子で、仙道は呟いた。
勃ちあがりつつある越野の下肢には、あえて触れない。
指で突き上げられ、越野は肩を上下させ小さく喘いだ。吐息に、握りしめた仙道の陰茎がいっそう反応し、血管を浮きだたさせる。先っぽだけを口に含み、亀頭のくびれを唇で締め上げた。
「ここで?」
越野のパンツをずり下ろしながら、体をソファーに引きずりあげ囁く。
「第一ラウンドは、な」
越野は気持ち良いという顔を隠しもせず、膝に乗り上げ、仙道が固定する下肢へとゆっくり尻を落とした。
第一ラウンドは、という言葉どおり、まずはソファーで一発。
すぐさま直行したキングサイズのベッドに越野を横たえたとたん、仙道の首が引き寄せられた。
「もっとガンガン来れねーのか」
荒い息であっても、ギラついた眼差しと挑戦的なセリフはかわらない。
仙道は答えず、越野の足首を持ち上げ、仙道のものでしとどに濡れ誘うそこへ突き立てた。
「お前、外面と俺の前とで、キャラが違いすぎんだよ」
さげすむような口ぶり。でも、落とすキスは熱い。
「ッ、あ……てめー。こんな俺にしたのは誰だ」
「お前こそ……こんな俺に誰がした」
笑いながら、仙道はギュウギュウ吸い付く尻に抽送を早くした。越野がギリギリと仙道の背中に爪を立てる。いつもより容赦なく。
「……撮影、いつ……ァ!」
「二週間後」
薄く目を開けた越野は最後に一言だけ、呟いた。
「二週間……たっぷり……痕つけてやるからな。覚悟しろ」
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