おっぱいは正義


紅葉さん(@rion_vir_yume)の女審神者・真宵ちゃんと山姥切国広が出る話。
真宵ちゃんの設定→審神者設定(別窓)


それは、誰がどう見ても平均以上に育った、まさに天の恵みである。
見るからに柔らかそうな、鴇環(ときわ)の審神者の大きな胸。
それを触りたいと申し出てみたところ、意外にも彼女は照れ笑い程度で引き受けてくれた。
何でも、知人に良く甘えられるとの事だ。要は慣れているという事である。
おっぱいは母性なのだ。真宵は無駄に確信した。
「たゆんたゆんだ……!」
触ればすぐに分かる圧倒的な質量。
巨乳をメロンとはよく言ったものだ。
メロンと違うのは、硬い皮はなく表面も柔らかい事か。
思わず畏怖の念すら湧き上がる。
「そ、そんな風に言われると、さすがに恥ずかしいです……。」
「すまない。つい感動してしま――いたっ。」
急に頭を襲った軽い衝撃に、真宵は眉をしかめた。仏頂面の近侍の襲撃だ。
「そういう事を口に出すな。」
「ふん。自分は触れないからってみっともないぞ。」
「触ったら大問題だろうが。」
確かに男である以上、こういう状況でつい胸に目が行ってしまう事は否定できない。
だが、男が女の胸に触るなんて、異種族だろうが恋人か伴侶以外はご法度だ。
そもそも、触りたいとまでは思っていない。
触るなら、慎ましかろうが自分の主の胸の方が良い。
「大体、感心はしないぞ。いくら女同士といっても、破廉恥にも程がある。」
「23世紀の常識は変わったんだ。認めろ国広。」
適当な事を言って、真宵はぼふっと胸に埋まる。
その姿を苦々しく見ている山姥切に、
鴇環が先程からちらちらと所在無げな視線を送ってきているのだが、彼はその意味には気付いていない。
彼の視線が気になって、女の子同士の戯れに集中できないのだが。
と、廊下から足音が聞こえた。
がらっと開いた間仕切りの向こうから現れたのは、同源別個体の山姥切。
鴇環の恋人である方の「彼」、火輪の山姥切だった。
真宵の山姥切に負けない位、いや、それ以上に露骨な嫌悪を見せた彼は、
本丸の主である鴇環の断りなくずかずかと部屋に踏み入った。
そして、無言で自分の恋人の胸になつく不届き者を引っぺがす。
「あっ、何をする!」
「それは俺の台詞だ。
……おい、そこの『俺』。主のしつけ位真面目にやってくれ。」
「俺の主を子供扱いするのか?」
真宵を押し付けられた彼女の山姥切は、先程の自分の言を脇に置いて抗議した。
「いい年をして女の胸になつく奴なんか、子供扱いで十分だろう。」
同じ声が飛び交う同源別個体の喧嘩は、傍で聞いていると大変奇妙だ。
2人の審神者が、何とも言いがたい微妙な顔をしている。
「鴇環。あんたも甘過ぎだ。無闇に触らせるな。」
「ええっ……でも。」
「百歩譲って、女だけの場でやってくれ。男の同席なんて論外だ。」
不満たらたらに恋人に言って、自分の被っていたぼろ布を被せて抱き上げる。
日頃自分の容貌を厭って隠す「山姥切国広」が、このような行動に出る理由は1つ。
それ以上に見せたくないものがあるからだ。
真宵の山姥切の同席は、それ程癪に障ったらしい。
刀剣男士には良くある事らしいが、恋愛中の彼らが最も警戒するのは、
同源別個体であるという事といくらかは関連するかものしれない。
「えっ、あの、どこに連れてく気ですか?!
あの、お客さんを置き去りにしちゃうんですけど……!」
「少しくらい、待たせておいたっていいだろう。」
らしくもない傍若無人な言動をして、火輪の山姥切はそのまま恋人を抱えて部屋を出て行った。
言い草からすると、しばらくしたら鴇環を帰してくれそうだが。
「……悪い事をしてしまったなあ。」
真宵はさすがにばつが悪そうにする。あれは恐らく説教コースだ。
根っこの性格は共通しているだろうから、その程度の推測は簡単につく。
「そう思うなら、これっきりにしてくれ。見ている方が恥ずかしい……。」
「お前、見てたのか。」
「そ、それは……。」
「……むっつりスケベ。」
自分の所業を棚に上げて、真宵は理不尽なほど冷たく吐き捨てた。



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おっぱい要員として鴇環が登場。じゃれつかれるのは慣れてるので、割と寛容。