あの頃の降臨祭



降誕祭。12月25日に行われる、年末の祭りだ。
今では24,25日の両日にわたって行われるが、正確に言えば24日は前夜祭である。
この日は家族、恋人、友人など親しい間柄の者達で、1年を無事に過ごせたことを神に感謝する祭りだ。
天界の神々がすべての生き物に祝福を与え、
いい子にしていた人間の子供には天使から贈り物があるとされている。
最初は1年間平穏に過ごせたことを神に感謝する儀式から始まっていたが、
今では国中お祭り騒ぎと化す大規模な行事だ。
ちなみにこの降臨祭という祭りの呼び方や日取りは、種族や地域で若干のずれが生じる。

ゼロムスとの死闘が終わり、世界に平和がやってきた初めての年の降臨祭。
バロン城のセシルとローザの私室で、ゼロムスと死闘を繰り広げた5人がささやかなパーティを開いていた。
「なあセシル。お前さー、昔は降臨祭どうやって過ごしてた?」
「藪から棒に何を言うんだよ……。」
唐突にエッジに話を振られて、セシルは苦笑交じりに答えた。
「昔かぁ……そういえば、色々あったわねー……。
なんだか懐かしいわ。」
ローザがシャンパンを口にしながら、懐かしそうに微笑んだ。
「あたしはお母さんと一緒にケーキを作ったりしたけど……。
ローザとかはどうしてたの?」
リディアがテーブルに身を乗り出して、ローザにたずねる。
その瞳は、好奇心でキラキラ輝いていた。
見た目の年につりあわないその様子に、ローザもセシルも苦笑する。
「そうねぇ……学生時代は友達同士でパーティとかもやってたわね。」
「そういえばそうだったね。」
「もうずいぶん前になるな……。」

5年前の12月24日。降臨祭を明日に控えた今日は、
12月に入ってから一番市場が混む日である。
何しろ降臨祭は1年でもっとも大きな祭りの1つであり、
準備は早ければ11月中に始める地域や家庭もあるほどだ。
ましてそれを明日に控えているともなれば、祭りの前の最後の買出しに、かなりの人が店に殺到する。
セシルとカインが通うバロン兵学校も少し前に冬休みに入り、
友達同士集まって開くパーティのための買いだしに訪れていた。
「うわ〜、すごい人だな。」
セシルは通りを埋め尽くす人々を見て、驚きの声を上げた。
一方隣に居るカインは、その反応を見てあきれる。
「お前なぁ……いなかっぺみたいな反応をするな。」
「……うるさいな、この時期にここで買い物をした覚えがないから、慣れてないだけだよ。」
自分でも恥ずかしいと思ったらしく、セシルは目線をそらして弁明した。
だが、彼とカインが通うバロン兵学校は全寮制なので、
元々外に出る機会が休日以外はほとんどない。
しかし生活に必要なものは大体寮の方で揃えてくれているし、
出入りの商人に金を払って注文すれば品物は寮まで届けてもらえる。
さらにすぐ外にはこじんまりとした商店街もあり、多少は欠ける品もあるががほぼ一通りはそろう。
だから大多数の学生は、セシルのように町の中心部の大通りで買い物する機会がほとんどない。
「ま、そんなことはどうでもいい。さっさと必要なものだけ買って帰るぞ。」
ぐずぐずしていると商品がなくなってしまう。
カインにせかされたセシルは、あわてて懐からメモを取り出した。
「わかってるよ……ほら、これがメモ。」
「どれどれ……なんだ、食べ物ばっかりだな。」
「他はもう、ロビンたちが買ったからね。」
ロビンとは、今回のパーティを企画した彼らの悪友の名である。
学生のパーティなのだから必要なものは大して多くないのだが、
それでも必要なものはいくつもある。
だが、皿やコップなどの食器、キャンドルなど細かいパーティの必需品は、
もう10日以上前にパーティを企画したロビンたちが揃えていた。
後はパーティのメインとなるケーキやローストチキンなどの食料だが、
豪華な料理を調理する腕がないので、セシル達が買いに行くことになったのだ。
「うーん……結構数もあるし、2手に分かれて買おう。
カイン、お金分けるから頼むよ。」
「わかった。じゃあ俺がここまで買うから、買い物が終わったらまたここに帰ってくる。」
メモをピッと半分に切って、その上半分をカインがもらった。
それからセシルがお金を半分渡す。
「うん、じゃあまた後で。」
2人はいったんそこで別れ、各々買い出しに向かった。
早くしなければ、お目当て物が売切れてしまう。ここからは時間との戦いだ。

―ローザの部屋―
「ローザぁ、セシル君に渡すプレゼント、できたー?」
バタンと大きな音を立てて、茶髪の少女が勢いよく部屋に飛び込んできた。
「あ、メイア。ちょっと来るのが遅いわよ。」
「ごめんごめん。出かける前に母さんに捕まっちゃってさー。
料理の仕込み手伝わされちゃったんだ。」
ローザに軽く非難され、メイアはあははと笑いながらローザに謝った。
彼女はローザの友人で、鼻の辺りにあるそばかすがチャームポイントの明るい少女である。
学校で出来た友達なので貴族ではないが、女友達なので家に上げてもローザの母はうるさく言わない。
今日はセシル達に誘われたパーティに持っていくお菓子の準備のために集まることにしたのだ。
「え?あんたのことだからいつもみたいに寝坊したんじゃないの?」
「ちょっとソフィー!『いつも』って何よ!たまに遅れるだけじゃない!」
ねずみ色の髪の少女・ソフィーの呟きを耳ざとく聞きつけ、
メイアはびしっと彼女に指を向けて怒鳴った。
ちなみにソフィーもまた、ローザの友人だ。彼女はどちらかといえば皮肉屋っぽい。
「え〜?約束したら5回のうち4回は遅れてくる人は、どこの誰だったかな〜?」
「なーんだとぉ〜〜〜!!」
怒りで瞬間沸騰したメイアが、何をしにきたのかも忘れてソフィーを追い回し始めた。
追いかけられるソフィーは、メイアの攻撃をひらりひらりと器用にかわして涼しい顔だ。
「もう2人とも、けんかしてないで手伝って!
パーティは今夜なんだから!時間がないのわかってるの!?」
『ごめんなさ〜い……。』
ローザを怒らせると怖いので、メイアもソフィーもおとなしく彼女に従うことにした。
時間がないのは本当なのだ。
それからは口げんかはしても、追い回すほどにはならなかったという。


―レンファー邸―
バロンでも有数の大商人・レンファー家。
町の中心部の高級住宅街の付近に屋敷を構え、バロンの商人でその場所を知らないものは居ない。
その傘下には多数の商人を従えているため、
バロン・トロイア・ダムシアンと営業範囲はとても広い。
今回パーティを企画したメンバーの1人、ロビンはこの家の3男坊。
上の2人はとっくに父の店の手伝いをしているが、
3男のロビンは上に2人も居るから同じことをするのはつまらないと、
バロン初等学校を出た後に兵学校に入った。
と、これがセシルの知っているレンファー家とロビンの経歴に関する知識である。
そんな屋敷の前に、早々と買い物を終えたセシルとカインはやってきていた。
「まさか、ここでパーティするなんて思っても居なかったよ……。」
「そうだな。……半端な貴族の屋敷よりでかいぞ、これは。」
自身は格式のある竜騎士の家系であるカインも、この屋敷の規模には感嘆するばかりらしい。
大商人、つまり悪く言えば成金の立てた屋敷とはいえ、
その門構えはその辺の貴族の邸と比べても遜色がなかった。
しかし、驚いているだけでは始まらない。
背の高い門の脇に立つ門番に話をつけ、中に入れてもらう。
枝をきれいに剪定されて春を待つ中庭の木々は、よく見れば葉がない木はみんな果樹だった。
季節が来れば、きっとこの木々に実った果物が食卓に並ぶのだろう。
そんなところにも、この家の主のしたたかさがにじみ出ている気がする。
しかしセシルもカインも、決してこの発想が嫌いなわけではなかった。
むしろ、頭がいいと感心する。2人とも軍人を志しているせいだろうか。
ともかく、広い中庭を突っ切って、目的の部屋へと急ぐ。


―ロビンの部屋―
外の中庭や通路の整然さが嘘のように散らかった部屋。
ここで今日パーティをするのだが、
まるでごみ捨て場をそのまま持ってきたような汚さである。
その散らかりように、セシルもカインも思わず嫌そうに顔をしかめた。
寮で見慣れている光景だが、これからパーティをする部屋ではない。
「よー、早かったじゃねえか。」
「待ってたぜぃ♪」
「こんな有様だけど、気にしないでその辺に座ったらどうすか?」
気にしないでと、ロビンの友人であるディベストに言われたが、気にするなというほうが無茶な部屋だ。
溜め込んだエロ本が部屋のすみに山と積まれ、
床には着替えと思しき汚れた服や食いカスが散らかり、ほのかに悪臭を放っている。
この年頃の男子らしい部屋といえばその通りだが、
この年頃の男子にしては部屋をきれいに保っているセシルとカインにはたまったものではない。
「ロ〜ビ〜ン〜……!!」
「んあ?……や、やべぇ!」
ゴゴゴゴゴという地響きがしそうなほど低い声で、セシルがつぶやく。
あまりにも汚い部屋に居なければいけないという現実が、セシルのリミッターを吹き飛ばしたのだ。
ロビンも友人のディベストとジャックが、腰を浮かせて逃げる体勢に入った。
その瞬間、セシルがすうっと息を吸い込んだ。そして。
「今すぐこの部屋を片付けろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
『ギャーー、風紀委員長がキレたーーー!!』
バロン兵学校に通うものなら、ある意味教師よりも恐れられる男。
校内の風紀を守る少年の怒りは、冬休みでもお構いなしに炸裂したのであった。


―3時間後―
午後も回って、今は4時ごろだろうか。
季節が季節なので、すでに太陽は傾いている。
簡単なお菓子を3人で作っていたら、約束の時間を20分も過ぎてしまった。
礼儀など知ったことではないとばかりに廊下を走り、
勢いよくロビンの部屋のドアを開けた。
「はぁ、はぁ……ごめーん、まっ、たぁ?」
「ふへぇ〜……どうしたの?メイア。」
「いや、その……信じられないものがあるんだけど。」
恐る恐るメイアが室内を指差す。
なんだろうと思ってローザとソフィーが覗き込むと、そこにはぴかぴかの部屋が3人を待っていた。
ただし、その中央には疲労困憊してひっくり返ったロビン・ジャック・ディベストが。
そして、一仕事終えたすがすがしさに満ち溢れたセシル、
最後にもうどうでもいいとばかりに座り込むカインの姿があった。
「何これ……わたしたち、夢でも見てるの?
それともこれは新手の罠……?」
「ソフィー……いくらなんでも罠って言うのは違うんじゃない……?」
部屋の中央の床にはテーブルクロスが敷かれたじゅうたんがあり、
テーブルクロスの上にはセシル達が用意したご馳走などが乗っかっていて、準備は完璧だ。
普段セシルなどからロビンの部屋の悲惨さを聞かされていた女性陣には、
まさしく信じられない光景である。
正直、夢や幻の類といわれたほうが信じられる。
「あ、3人ともいつの間に?」
ようやくローザ達の存在に気がついたらしく、現実に帰ってきたセシルが尋ねてくる。
今まで達成感に満ち溢れた理想郷に酔いしれていたようだが、
さすがというべきか切り替えは早かった。
「え、今来たところだけど……。」
「そっか。おーい4人とも、死んでる場合じゃないよ。
ローザたちが来たから、もうはじめよう。」
きれいな部屋に死屍累々の体で転がる3人と、座り込んだままのカインにセシルが声をかける。
すると、4人が億劫そうに動き始めた。
「どぅわ〜れのせいで、死にかけたと思ってるんだよ……!」
「僕たちが来る前に全然片付けてなかった君が悪いんじゃないか。
早めに片付けとけって、おととい言っておいたのに。」
「もうちょっとしたら片付けようって思ってたんだよ!」
いまさらな言い訳をロビンが始めるが、
これはいつものことなのでセシルはもういちいち相手にもしない。
「ロビンのもうちょっとは2時間か1日っすね。」
「お、ディベストいいこというじゃね〜か〜。」
ついさっきまで死んだように転がっていた人間とは思えないほど、
ロビンたち3人は元気に動いている。
パーティが始まる、イコールご馳走がやっと食べられるという方程式が、頭の中で出来ているのだろう。
一方カインは、深いため息をついてこめかみを押さえる。
「まったく……とんだ騒ぎになった。」
「いったい何があったわけ?」
恐る恐るローザがカインに聞いてみる。
かなり憔悴しきった様子なので反応があるか心配だったが、
幸いカインは億劫そうではあるが彼女の方に振り返った。
「風紀委員長の怒りが爆発した……それだけだ。」
もう何も言いたくないという空気を漂わせているカインに、ローザはそれ以上聞くのをやめた。
それよりもこの場のいまいちな空気を何とかしなければ。
「まーまー、しけた顔はやめにしよーよ!
せっかくのパーティなんだから、派手にいかないと、ね?」
ウインクを飛ばしたメイアのノリにやや引きつったメンツも居たが、
彼女の言うことはもっともだ。
「そーだな。んじゃ、どんちゃんさわぎといくか!」
「おー、そばかすちゃんもたまにはいい子というねぇ♪」
急にテンションが上がったロビンとジャック。
ころころよく変わることだ。
「そばかすはよけーだよ、このハリネズミ頭!」
「な〜んだとー?!」
今度は、メイアとジャックの口げんかが始まった。
こんなあほらしいやり取りが始まったせいもあり、部屋の中は急に騒々しくなる。
「ローザ、馬鹿2人はほっといて、うちらで楽しく盛り上がりましょ?」
ソフィーがこれ見よがしにローザに耳打ちする。
ついでに、声を潜めてこう付け加えた。
(セシル君とうまくやんなよ?)
「!」
ボンッと、ローザが耳まで真っ赤になる。
予想通りの結果に、ソフィーはこっそり笑った。
この特別な日にどこまで2人の仲が進むのか、楽しみにしている笑いである。


―2時間後―
パーティは大いに盛り上がり、佳境にさしかかっていた。
もちろん学生とはいえ未成年のパーティなので酒はなしだが、
酒の力を借りなくてもロビンたちやメイアが盛り上げまくっている。
もっとも、あまりに彼らのテンションが高すぎて、
セシルやローザはとっくについていけなくなったが。
ちなみにカインは、盛り上がった彼らをからかって遊んでいるので意外になじんでいる。
「なんか……すっごいわね、みんな。」
「そうだね……。」
すでに取り残された風な2人は、図らずとも2人だけで会話をしていた。
当然、邪魔をするものは居ない。
ソフィーは時折ローザのほうを横目で見ているが、
何を考えているのか2人の会話には決して参加しようとしないし、
自分たちの会話に引き込もうともしない。
その理由が分からずにローザは首をひねるが、
ソフィーにその様子を見られてくすっと笑われただけだった。
―何よ、ソフィーったら……。
少しくらいかまってくれてもいいじゃないかと、ローザは少々むくれた。
しかし、彼女は計算高いので、何も理由がないのにローザを放っておくわけはない。
ローザは少し考えて、なんとなくその理由が思い当たった。
―まさか、ソフィー……。
おせっかいだと思うが、セシルと水入らずで話せるチャンスはめったにない。
これはソフィーのはからいだと思ったローザは、思い切ってセシルに提案することにした。
「ねえセシル、ちょっと中庭に行かない?」
「え?でも……。」
パーティを途中で抜け出すことに抵抗があるのか、セシルが口を濁す。
その反応は今までの付き合いで予想がついていたので、
ローザは顔の前で手を合わせてこうお願いする。
「ちょっとでいいから、ね?」
「うん……まあ、それなら。」
「ありがと、セシル♪」
他のメンバーが騒いでこちらを見ていない隙に、
2人は半開きになっていたドアからそっと出た。
この続きは、2人だけの内緒の出来事になったという。


「ほんと、あの頃は色々馬鹿なこともやったよ……。」
「そうそう。今だったら絶対出来ないことだって、平気でやってたもの。」
くすくすとローザが笑う。
「そ、そうだね……。」
逃げようとする悪友たちを捕まえて部屋の掃除を強制的にさせたことを思い出したらしく、
セシルは少々気まずそうに目を泳がせた。
その様子を見て、ふっとカインが鼻で笑う。
「お前は昔からドラゴンのうろこよりもお堅い奴だったからな……。
あぁ、あのエロ本の取締りに関しての鬼神のごとき変貌は、今でも忘れられん。」
しみじみとカインがうなずく。
実際に見たことがないリディアとエッジは想像するしかないが、
鬼神のごとく、というのだからさぞすさまじい変貌を遂げるのだろう。
普段、穏やかで柔和な笑みを湛える彼からは想像しにくいが。
「お、カインおめー取り締まられたクチか?」
「馬鹿言え。そんなものを読む暇があったら、俺はもっと有意義なことに使っていた。」
「あー、ナンパとか?」
いかにも合点がいったという様子で勝手に解釈したエッジに、
カインは氷より冷たいまなざしを向ける。
「……その程度の想像しかできんとは、お前はやはりその程度の人間ということか。
こんな品性下劣な人間が国王では、さぞじいや殿が嘆いておられるだろうな。」
ふうっと、わざとらしくカインはため息をついた。
当然エッジの逆鱗に触れる。
「な……!おいカインてめー、表に出ろ!」
「ちょっとエッジ!こんなときに喧嘩はやめてよ!」
「う……わ、わかったよ。」
相変わらずリディアに勝てないエッジは、怒られてあえなく引き下がる。
カインのセリフにはもちろん不満があるが、
大人気なく暴れるとリディアに嫌われるという事の方が彼にとっては重要なのである。
「そうだ、今度はエッジの昔話を聞かせてくれないか?」
「はぁ、俺の?!」
いきなり話を振られて、エッジは思わず声が裏返る。
そしてセシルのその言葉につられたのか、脳裏に甦るこの時期のさまざまな苦い思い出。
「な、内緒だ!」
「えー、何でー?聞かせてよ〜!」
あからさまに怪しい態度を見せるエッジに、不満そうにリディアが詰め寄った。
「な、内緒なものは内緒なんだよ!」
「あら、リディアでもだめなの?」
小悪魔的な笑いを浮かべ、ローザが身を乗り出した。
完全に楽しんでいる。
「だめなんだよ!」
「じゃあ、なおのこと吐かせてみたいものだな。
どんな恥ずかしいネタが出てくるか……。」
にやりとカインが笑って追い討ちをかける。
聞き捨てならないセリフに、エッジはまたもカチンと来た。
「は、恥ずかしいって決めつけんじゃねー!俺は――。」
『俺は?』
セシルを除いた残りのメンバーの声がダブり、うっとエッジは息を詰まらせる。
誘導尋問に自ら引っかかってしまったと、ようやく悟った。
「あー……ちょっとトイレに行きたくなっちまった。トイレトイレ〜っと……。」
言うが早いか、エッジは生理現象を理由に部屋から逃げ出した。
もちろん、その場逃れの下手な嘘である。
「あ、こら〜!」
「まあ落ち着け。10分以内に戻ってこなかったら連れ戻しに行けばいいだろ。」
不満げにむくれるリディアをたしなめるために、
さりげなく残酷なセリフをつぶやくカイン。
この後エッジは、過去の降臨祭にまつわる恥ずかしいエピソードを洗いざらい吐かされたという。


―完―  ―戻る―

ぎりぎりで今年中にアップです。ほんとにぎりぎり。
そして時間のなさと書く前のあらすじ練り不足で話がぼろぼろ。
もう……駄作確定ですが書くといった以上はとりあえず置いときます。
オチを考えた結果、ギャグ担当の(決め付け)若に任命。
こまったらギャグで無理やり閉める。これで決まりですな(最悪