※下記の投稿は2009年のもので、最近では、dna解析が進んでいるようです。
種の分類や下記の投稿は現在のものと相違していますのでご容赦くださいませ。

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マダラウミウシとクロシタナシウミウシについて 

●マダラウミウシ Dendrodoris rubra (Kelaart, 1858)
●クロシタナシウミウシ Dendrodoris fumata (Ruppell & Leuckart, 1831)


ウミウシは種類によってそれぞれ食べるものが決まっています。その食べ物を食すときに用いる
歯舌はウミウシの種類によって形が違うので、ウミウシの種類を調べるときの重要な手がかりと
なります。

よって、この二つのウミウシ、マダラウミウシとクロシタナシウミウシは、食べ物が同じで、同じ歯舌
だと確認されている・・・と思ったら、大間違い^^;;

クロシタナシウミウシは、漢字で書くと黒舌無海牛。文字通り舌が無いんです。彼らの属するデンドロ
ドーリス属は歯舌を持たないようで、種の特定が難しく、そのために学者によって種別混乱があるよう
なのです。


・マダラウミウシ Dendrodoris rubraはクロシタナシウミウシ Dendrodoris fumata」または
ホンクロシタナシウミウシ Dendrodoris nigraのカラーフォームである。

・上記の記載は、解剖学的な根拠に基づくものではなさそうなので、マダラウミウシ Dendrodoris 
 rubraをクロシタナシウミウシ Dendrodoris fumataのシノニムと決め付けるのは問題がある。


’本州のウミウシ’を見ると、「マダラウミウシとされていた斑紋のある個体は数が少なく、洞窟の奥など
光の差し込まない場所にいることが多く、動きは活発ではない。対して黒色や赤褐色の個体は数が多
く、浅所、日光の差し込む平坦な場所や壁面など広範囲に見られ、活発に動く」と書かれています。

5年前にkouchaが初めてゲットしたウミウシがマダラウミウシでした。その後、沢山のマダラウミウシ、
クロシタナシウミウシを見てきましたが、上記の’本州のウミウシ’の記述と全く同じ感想です。マダラウミウシ
は大抵、石の裏側にくっ付いているし、クロシタナシウミウシは明るい磯を歩いています。(ただマダラウミウシ
は三浦では沢山見られます)

これだけ生態を見ても違いのある2種を同じ種とするのは、ちょっと無理があるような気もします。


クロシタナシウミウシ(デンドロドーリス属 2007.2.10)


マダラウミウシ(デンドロドーリス属 2007.4.15)


ホンクロシタナシウミウシ(デンドロドーリス属 2008.9.28)
ホンクロシタナシウミウシは、クロシタナシウミウシに似ているが、二次鰓が小さくカップ状である。


ホンクロシタナシウミウシ(ゴールドバージョン)(デンドロドーリス属 2009.1.18)

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