マダラウミウシとクロシタナシウミウシについて
●マダラウミウシ Dendrodoris rubra (Kelaart, 1858)
●クロシタナシウミウシ Dendrodoris fumata (Ruppell & Leuckart, 1831)
ウミウシは種類によってそれぞれ食べるものが決まっています。その食べ物を食すときに用いる
歯舌はウミウシの種類によって形が違うので、ウミウシの種類を調べるときの重要な手がかりと
なります。
よって、この二つのウミウシ、マダラウミウシとクロシタナシウミウシは、食べ物が同じで、同じ歯舌
だと確認されている・・・と思ったら、大間違い^^;;
クロシタナシウミウシは、漢字で書くと黒舌無海牛。文字通り舌が無いんです。彼らの属するデンドロ
ドーリス属は歯舌を持たないようで、種の特定が難しく、そのために学者によって種別混乱があるよう
なのです。
・マダラウミウシ Dendrodoris rubraはクロシタナシウミウシ Dendrodoris fumata」または
ホンクロシタナシウミウシ Dendrodoris nigraのカラーフォームである。
・上記の記載は、解剖学的な根拠に基づくものではなさそうなので、マダラウミウシ Dendrodoris
rubraをクロシタナシウミウシ Dendrodoris fumataのシノニムと決め付けるのは問題がある。
’本州のウミウシ’を見ると、「マダラウミウシとされていた斑紋のある個体は数が少なく、洞窟の奥など
光の差し込まない場所にいることが多く、動きは活発ではない。対して黒色や赤褐色の個体は数が多
く、浅所、日光の差し込む平坦な場所や壁面など広範囲に見られ、活発に動く」と書かれています。
5年前にkouchaが初めてゲットしたウミウシがマダラウミウシでした。その後、沢山のマダラウミウシ、
クロシタナシウミウシを見てきましたが、上記の’本州のウミウシ’の記述と全く同じ感想です。マダラウミウシ
は大抵、石の裏側にくっ付いているし、クロシタナシウミウシは明るい磯を歩いています。(ただマダラウミウシ
は三浦では沢山見られます)
これだけ生態を見ても違いのある2種を同じ種とするのは、ちょっと無理があるような気もします。
クロシタナシウミウシ(デンドロドーリス属 2007.2.10)
マダラウミウシ(デンドロドーリス属 2007.4.15)
ホンクロシタナシウミウシ(デンドロドーリス属 2008.9.28)
ホンクロシタナシウミウシは、クロシタナシウミウシに似ているが、二次鰓が小さくカップ状である。
ホンクロシタナシウミウシ(ゴールドバージョン)(デンドロドーリス属 2009.1.18)