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「オマーン王国建国三十周年記念式典に参列して」

広島オマーン友好協会副会長　　藤井洋吉

陸海空三軍の精鋭を従え、騎乗抜刀した指揮官が、凛凛（りんりん）と玉座に進み軍刀一閃「捧げ銃かしら中」声高らかに最敬礼をした。２０００年１１月１８日、建国式典は、最高潮である。私は日本の観兵式・学徒出陣が一瞬頭をよぎり、涙滂沱（なみだぼうだ）として半世紀余の昔に帰った。
私達の招待席は、玉座の隣、外交使臣の横で指揮官の右前方の最前列であった。軍隊はよく訓練された近代的装備の精兵達で、洋々たる前途、祝福に充ちた青年の国オマーンの精華である。

国民の六割は、十八歳未満の愛国少年少女と云う。僅々三十年勤勉と忍耐力不屈の精神と試練に耐える強靭な精神力を涵養（かんよう）し、伝統と文化を維持し乍ら近代国家に育て上げたすばらしい国。

ワヒバ砂漠で乗った駱駝（ラクダ）の背中、砂漠の眞中で日本の我が家に電話を繋いで下さった、スワーダ先生の温情、忘れがたい思いである。
漆黒の夜空に美しい星座を仰ぐベドウィンの暮らしの中には、日本の「鉢の木」の心が脈々と流れていると聞いた。
更なる友好を希求して筆を擱く。