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「オマ−ン旅行記」〜夢とロマンあふれるオマーン〜
竹中 奉之 |
アラビア半島の南東に位置し、インド洋に面する国、それがオマ−ンスルタン国です。その変化に富む美しい国土は、さながら様々な伝説やおとぎ話に彩られた、オマ−ンの永い歴史を物語るかのようです。
私はその伝説とロマンを求めて今年1月、会員12名と共に再びオマ−ンを訪れました。首都マスカットは、ビルディングやハイウエイに象徴される、近代化の進んだ美しい街ですが、一歩郊外に出るとそこは荒涼とした砂漠と、雄大な岩山の連なる別世界が広がります。
マスカットから南西に約160kmの内陸に、古都ニズワがあります。ここは昔から名馬の産地として有名で、皇太子殿下ご夫妻がここを訪れた記念に、国王陛下から純血のアラブ馬をプレゼントされたところです。今でも毎週金曜日にはお城の回りで市が立ちます。
世界遺産に登録されているジャブリン城や、バハラ城もこの近くにあり、タヌ−フという廃墟の村には、湧水を利用したミネラルウオ−タ−の工場もあります。 ここからさらに南東に100kmのところからは、ワヒバ砂漠が広がります。ここは正に見渡す限りの砂の砂漠で、きめの細かい赤い砂の砂丘です。私たちはここにテントを張って一泊しましたが、砂丘に沈む太陽、360度の満天の星空、地平線から昇る朝日、どれをとっても感動ものでした。空気が澄んでるせいか、星明かりがこんなにも、明るいとは思いませんでした。またランドクルザ−でのドライブも圧巻です。
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この砂漠の入口から、北西に約100kmにワディ・バニー・ハーリドという渓谷があります。走ること約1時間、途中から舗装が切れてガタガタ道を山越え谷越え行くと、そこにはきれいな水の流れがありました。荒涼たる砂漠の真ん中に、「こんな豊かな水の流れがあるのか」と、感心していると雨が降ったら数10m水位が上がり、3日するとこの様になると聞いて、ビックリするやら感心するやらでした。
マスカットから東に約100km、オマ−ン湾の入口に、シャルキヤルと呼ばれる地方に、ス−ルという漁師町があります。ここにはダウ船と呼ばれる、シンドバットの時代からの木造船の工場があり、昔ながらの方法で炎天下、船大工が槌をふるっていました。しかし現在では帆船ではなく、日本製のヤンマ−エンジンを搭載した漁船です。このダウ船の工場は、今ではここス−ルと、インドの西海岸にしか残っていないそうです。
ここス−ルも開発が進められて、液化天然ガスのプラントが建設中で、大阪ガスへの輸出も決まり、現在急ピッチで工事が行われています。この工場のための新しい街並みが、近年中には、出来上がるでしょう。 |
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ス−ルから海岸線の未舗装道路を、25km西に行ったところに、カルハ−トの遺跡があります。14世紀頃まではインド洋の貿易の、拠点として繁栄した街で、その美しさと荘厳さには、かのマルコポ−ロやイブンバトゥ−タも感動したと言われるモスクが、遺跡として残っています。これは地震によって、廃墟となったといわれています。
このカルハ−トにも湧水の峡谷があり、この地方では一番大きな集落があります。村人はこの豊富な水を利用して、なつめ椰子、バナナ、麦やトウモロコシ、野菜などを栽培して暮らしています。
さらにガタガタ道は続きます、山から海までの幅が、わずか1km足らずの海岸線ですから、いたるところにワディ(涸れ川)があり、アップダウンをくり返して進みます。途中に『ガゼル』の保護地区もあり,かわいい姿を見せてくれました。まだ電気の引かれ
ていない、村々を越えていくと、突然おおきな穴に出くわします。ここは約5億年前、隕石の落ちた跡と言われているもので、周囲約400mの巨大な穴です。ここには海水と真水が合わさって、だれかが「大根ナマスにちょうど良いネ・・」と言っていました。
海岸線から別れを告げて、高原地帯(草木の無い)をしばらく行って、ようやく舗装道路に出たときは、日も西に傾いた夕方でした、半日悪路と戦ったことになります。 |
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マスカットから1.000km、飛行機で一時間、南部のサラ−ラは、ドファ−ル地方と呼ばれる亜熱帯で、ココ椰子やバナナの育つ、イエメンと国境を接する地方です。
ここは七月から九月までが雨季で、山岳地域は霧に包まれ一寸先も見えなくなる、緑の多いところですが、私たちの訪れたこの時期は乾季で、駱駝や山羊などが、放し飼いされていました。駱駝の数が人口より多いとか・・・。
また、ここにはシバの女王が住んでいた城跡や、かつて金と同額で取引された、乳香の木も沢山残っている、ロマンあふれる所です。
他にもオマ−ンには『ウバル遺跡』や、シンドバットが船出したソハ−ル、最北の『アラビアのフィヨルド』と呼ばれる、ムサンダム半島など、私たちのロマンを掻き立ててくれる所が、たくさんあります、機会があれば又訪れたいと思います。皆さんも是非どうぞ・・・。
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