天上の海・掌中の星

    “あけました!”


この冬も結構な極寒の冬となり。
機能性下着が飛ぶように売れているとか、
軽いのが売りのファッショナブルなダウンは、
だがだがこうまで寒いとあんまり暖かくはないぞとか。
北の各地では大変な積雪や道路の凍結で
はやばやと難儀な毎日を送っていなさるとか。
冬と言えばの話題が
師走に入った途端という勢いで
あちこちから聞こえて来だしていて。

 「そんなの
  ちゃんと用心してりゃあ大丈夫じゃんか♪」

冬と言えばのインフルエンザも大流行しているが、
今年は特に、胃腸で大暴れをするノロウィルスが
選りに選って病院などで猛威を奮っており。

 「俺様が目ぇ光らせてんだ、
  そんなもんに付け入らせるもんかよ。」

 「お前、いつからウチの調理長になった。」

今日のお昼はあんかけ焼きそば。
中華麺と丸鷄ダシにそれから、
ハクサイやニンジン、シメジにタケノコ、
豚肉にイカにむきエビなどなどを、
下ごしらえしつつという破邪さんからの突っ込みへ、
読者の皆様の側を向いていた聖封さんが
おや居たかと注意を戻し、

 「麺は軽く焦げ目をつかせるまでいじるなよ?」
 「知っとるわ、そのくらい。」

特にご親戚が集まるでなし、
その上、今年は、あのお父上も兄上も
それぞれの出先や滞在地から戻って来れずのお正月。
それでも一向に寂しくなんかなかったルフィだったのは、

 「天聖界でも雑煮を食うとは知らなかったなぁvv」

元旦こそ自宅で迎えたものの、
午後にはチョッパーが迎えに来たため。
誰も知らない奇跡の世界、
妖精や聖獣たちが遊ぶ、緑豊かな天聖界にて。
どこまでも続く青々とした草原を、
高みを飛ぶ大きな聖犬にまたがって散歩したり、
宙に浮かぶ島の泉で、大ナマズと鬼ごっこしたり。
キラキラ燦めく翅をはためかせる蝶々たちと、
羽のように軽い絹をひらひらと取りっこして遊んだり。
勿論のこと、サンジの実家の天巌宮にては豪勢な御馳走をいたいて、
そりゃあ伸び伸びと思い切り遊んだ正月でもあったので。

 「こっちの世界のあれやこれやへの
  時差ボケを直すのが大変だってか?」

大きな災害が起こってちゃあ、
そんな呑気などころじゃないけれど。
起こってないならないで、
ご町内で交通事故があったとかぼや騒ぎがあったとか、
身近な範疇でも何事もなかったかを、
やはり拾っての刷り込んでおかないと、

 『え? 消防車が何台も来て結構な騒ぎだったぞ?』

なんて話に追いつけなくても困りもの。

 「ま、そういうドタバタもなかったらしいけど。」

良かった良かったとの御機嫌さんで、
とことことリビングからキッチンへ入ってくると。
盛り付けの済んだの見計らい、
長身な破邪様の腕の隙間、肘の下からボソッとお顔をねじ込んで、

 「ゾ〜ロ♪」

ムギュウッと横からしがみついてくるのは、
遊べのおねだりだと判るから、

 「まあ待て、飯を食ってからだ。」
 「おうっ。」

 「……凄げぇな、お前ら。」

どうせなら可愛いお嬢さんとの以心伝心の方が嬉しいがと。
片手には、あんかけ焼きそばの大皿と
かき玉スープを満たした こちらも大鉢を乗っけたトレイを
危なげなく掲げ。
もう片方の腕では、しがみついたまんまの坊ちゃんを
ひょいと抱えてリビングへ戻る精悍なお兄さんを見送って。
金髪痩躯の名シェフさんが、
正月早々から相変わらずな奴らだねぇと
苦笑をこぼした松の内。

 「あ・そだそだ、アメフトの試合があるんだ。」
 「落ち着け、2時から中継があろうよ。」

うまうまと御馳走に食いつきながらも、
気の多い発言が飛び出すのがこれまた通常運転な、
何とも手のかかるルフィさんなのへ。
きっちりと対策は取れているお兄さんの側もまた、
そりゃあ幸せそうに見えるから不思議。

  始業式の前に寒稽古があるんじゃなかったか?

  おうっ、剣道部と合同で裏山まで走ってくんだ。

  そうか、じゃあ
  汁粉か豚汁でも作ってって炊き出ししてやろうか。

  あ、それいいっ♪

温かい御馳走も嬉しいけれど、
練習が済んだら即逢えるのがもっと嬉しいということか。
尻尾があったら千切れんばかりに振っていそうな、
やはりやはり相変わらずの
ラブラブと言っても何ら過言のない、
性懲りなくも暖ったかい彼らですが、


    どうかことしもよろしくですvv




   〜どさくさ・どっとはらい〜  13.01.06.


  *こちらさんも秋から時間が止まってて、
   学園祭ネタとかすっかりの全部がお蔵入りでございますが、
   め、メゲてなんかないんだからね。


   「久蔵もいい年越ししたんか?」
   【 みゃうにゃうみぃvv】
   【 にゅうみぃ、みゃうvv】
   「そか、クロと一緒に遠くまでお散歩したんか。」
   【 にゃんみゃうvv】
   「うん、寒いけどこっちも大丈夫だぞ。
    そっちも
    七郎次さんとか勘兵衛さんと一緒だとヌクヌクだろ?」

   【 みゃお〜んvv】×2

   それは可愛らしい合唱に、
   電話の傍らで
   萌え過ぎてうずくまってるいい大人がいることなぞ、
   ルフィ坊ちゃんはまるきり知らなかったのであった。
   (他のお部屋のネタですいません。)

ご感想はこちら*めるふぉvv

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