天上の海・掌中の星

     “寒中お見舞い申し上げちゃう♪”


15日の小正月には鏡開きをして、
それを使った ぜんざいを食べたり、若しくは小豆粥を食べる
…と思っていたらば、関東では1月11日が鏡開きだそうですね。
元は松の内が終わったら…という風習だったので、
全国的には松の内が15日まで、鏡開きは20日だったものが、
関東では、20日が家光の命日となり徳川の忌み日になったことから
1月11日が鏡開きと変更になった。
11日が鏡開きなのに松の内がそれより長いのは収まりが悪いということで、
松の内は7日までとなったそうで。
ところが そんな変更、関西には伝わらなかった…か。
それとも、そんなん知ったことやあらしまへんと思ったか(笑)
関西地方では、鏡開きは15日という風習が今日まで居残ってたりするわけで。
もーりんは関西の人なので ここまでずれた話を持ち出しちゃったけど、
まあまあ堪忍してや。(こらこら)
ずれたついでに、
関東で ぜんざいというのは汁気の少ない小豆餡の甘味のことだそうで。
関西で“ぜんざい”と呼んでいる、粒あんで作る汁気の多い甘味は、
“田舎汁粉”っていうんだそうですね。
この違いを訊いた折は、田舎で悪かったなと ちょっとムカッとしたもんです。(笑)
ちなみに、関東流のぜんざいは 関西地方では“亀山”と呼ばれております。

 「うわ、なんかどれも食べたいなぁvv」

枕にあたるお話へ、早速食いしん坊が食いついておいでで、

 「小豆の餡は滋養もたっぷりだし、乾燥して保存も利くしで、
  冬場を乗り切るには持って来いの食べ物だったんだろうが…。」

今日のお楽しみ、おやつへの思案中だったか、
どっちも“作る側”からはやや遠そうな見栄え風貌の男子二人が、
ムックタイプのスィーツレシピの本をローテーブルに広げ、
左右から覗き込んでおいでだったりし。
簡単カップケーキやパンケーキへのトッピングにという
ジャムやソースのページを観ていたはずが、
点けっぱなしだったテレビから、
小豆粥だのかぼちゃと小豆の炊き合わせだの、
冬の風物の話が流れて来たこともあり、
あんこが食いたいと、大きに脱線したルフィさんだったのへ。
一応はお付き合いしてのお言葉を続けたゾロだったが、

 「砂糖をたんまり使わにゃ、今時の甘い餡にはならんそうだから、
  随分な贅沢品でもあったんだろうなぁ。」

 「昔の人はそんなまで甘党じゃなかったと思うぞ?」

そうと応戦してくる坊ちゃんだが、

 “カボチャの煮つけはずんと甘くしないと“なんか違う”と箸が鈍るくせによ。”

もうすっかりとそういうところにまで目が届いておいでの破邪様が
一丁前なことを云ってからにというそれだろう、こっそり苦笑をこぼしてみたり。
暖冬だったこの冬も、さすがにこうまで暦が進めば
本格的な級の寒さもやって来るというもので。
関東地方は暖冬からの落差も著しいレベル、
低気圧が大きに発達中とのことで、
例年の冬でも注意を呼びかけるだろう級の厳寒の中へ突入中。

 「暦って言ったら、次は何だろ?」
 「そりゃあ、一番寒いっていう あれだろう。」

えっとぉとスマホの液晶画面とややたどたどしい指使いで操作して、
アプリで調べ始めたルフィの様子へ、
寒の入りも同じように調べてたなぁと、
最近の同じ光景をゾロが思い出しておれば、

 「大寒だ、だいかん。」

今年の大寒は21日だって。
そいで、大寒に産み落とされた玉子は
ふ、風水? 的に金運にいいとかで、
大寒玉子って呼ばれてるんだって、と。
食べるものまつわりのフレーズをついでに調べるところが彼らしい。

 「金運というか、懸賞に当たりまくるくらいで
  お前はわざわざそういうのに肖らずとものクチだろうが。」

あやかるって“肖る”って書くんですね、初めて知りました。
じゃあなくて。
妖異への当たりがいいこととの相殺か、
懸賞やくじ引き福引へのくじ運が
凄まじいほど恵まれておいでのルフィさんであり。
書く隙がありませんでしたが、
年末の福引ではまたぞろ豪華賞品を当てまくっていたらしく。

 「まあ そうなんだけどもな。」

加えて言えば、本人にあんまり物欲がない。
何となれば父上の口座から好きなだけ引き落として使えるぞという
クレジットカードを与えられてもいるが、
せいぜい買い食いにとコンビニで使うのが関の山だったし。
そっちの方も 最近は主夫様の腕が上がったせいか
ずんと減ったくらいで、

 「だから〜。」

うんうん、今日はまだたくさん残ってる餅でぜんざいを作ってやるからと。
話の持ってきようというか、ゴールを見失ったらしい坊やが、
このヤロ―と抱き着いて来てうやむやにしかかるのへ、
どうどうどうと
まとまりの悪い髪をポンポン叩いてやりつついなしてやる手際も手慣れたもので。

 「それより そろそろ節分のネタが出てないか? コンビニとか。」
 「そうそう、出てるぞvv」

恵方巻のラインナップとか、
豪勢なやつだと予約制ならしいからって、今からもうメニューが出ててと。
そりゃあわくわく、
ゾロの頼もしい首っ玉に腕を回して
おぶさるようにしがみついたままでご報告下さる。

 テイクアウトのすし屋のも豪勢だし、
 デパートも何かワケ判らないの予約受付中ってなってたしvv

なんて、一応は情報を集めていたらしい話を並べつつ、
だがだが この抱き着いたまんまでのはしゃぎようは、

 “…なんかびっくりするようなのを御所望ってことかな。”

本当に専門店のに太刀打ちできるものってわけじゃあないのだろうが、
彼のために奮闘しました感のあるのを期待しているのがありあり判るので。
うんうん、考えとくよと生返事をしつつ、
グル眉に美味いネタを取り寄せさせとかねぇとと、
腹の底で算段を始めておいでの
案外と尽くすタイプの破邪様だったりし……


  「………
  「ゾロ、そんなにも―りんさんのこと睨んだら可哀想だぞ?」


石になりかかった書き手だったりいたします。(笑)

 「楽しみだなぁvv 歳の数は食うからな、俺。」
 「ちょっと待て、それは豆の話じゃなかったか。」

いつから恵方巻もそんな食うことになったんだ、
高齢者を片っ端から卒倒させる気かと
豪気な坊ちゃんの言いようへ 破邪さんがやっと閉口したのはまた別のお話。







  〜Fine〜  16.01.17.


 *取り止めのない話ですいません。
  このあとの祭事、ひな祭りのお話の中で
  ひなあられを歳の数だけ食べるというネタを
  昔あちこちで使っておりましたが、
  恵方巻をというのは盲点でしたね。
  つか、これはさすがに
  ルフィさんほど大食いなキャラが相手でないと使えないって。(笑)

ご感想はこちら めるふぉvv

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