天上の海・掌中の星

     “神聖にして厳粛な…?”


諸外国ではクリスマスは神聖な日として家族で静かに過ごし、
新年の到来をこそ、カウントダウンして賑やかに大騒ぎするそうで。
日本では 年明けこそを神様の引継ぎが行われる神聖な日とし、
クリスマスは大人の納会や忘年会が重なることもあって
パーティーだチキンだケーキだとにぎやかだったのと裏腹、
元旦の町中は何とも閑として静か。
まま、繁華街に出れば、店もはやばやと営業しているし、
映画館だのイベントホールだのといったアミューズメント施設もあってのこと、
することもないと暇を持て余した、でも、リゾート地にまでは出かけてない顔ぶれが、
繰り出していたりもするのだろうが、

「もしかして、ここのご近所の人たちはみんなで出かけてんのか?」
「う〜ん、角の本多さんとこはセブ島に行くって言ってたし、
 坂の下の本山さんチは鹿児島の実家に帰省するって話だったけど。」

他はウチと一緒で遠出はしてないはずだぞ、だって大晦日に商店街で会ったし、
シモツキ町の寺に除夜の鐘つきに来てたしと。
説明をしながら せぇのと長いめの板のラケットをルフィがぶんと振れば、

 か・こーんっと

小気味のいい堅い音がして、根元は白いが羽根先は可愛らしい紅色の羽が、
ふわんと宙に弧を描いて飛んでゆく。
卓球の真剣勝負みたいに直線コースの打ち合いなんてやらかすと
かんこん・かかこん、うるさいばっかで情緒がないのでと、
そういうところはちゃんとした楽しみ方というもの、父上や兄上から教わってたルフィであり。
あくまでも何回ラリーを続けられるかを楽しもうと、
ふんわりと上へ打ち上げた追羽根を、

「わっ、た、とっと。」

蹄で器用に羽子板を支え、
わたわた慌てて追いかけ、右往左往しつつも何とか打ち返してきたのが、
天聖界から遊びに来ていたトナカイの聖獣チョッパーだったりする。
彼のお誕生日であるクリスマスを、サンジ特製のケーキで祝ってから、
年末のバタバタも大掃除も含めて一緒に堪能したそのまま、
ヒト世界のお正月も堪能していけとルフィが引き留めてのこの状態。
サンジとゾロとで競い合うよに作った年越しそばや年明けうどんも食べた。
お節も堪能して、食べてばっかで苦しいというので、
それではと腹ごなしにお正月らしい遊びに繰り出したわけで。

「そぉらよっ、と。」
「わ、わっ、高い高いっ。」

腕白小僧のルフィにしちゃあ、随分と手加減している方で。
いやいや、きっと“ラリーを続ける遊びだから”という点を、
何とか完遂したいのかもしれず。

「次は凧揚げもするとか言っとったぞ。」
「じゃあ、おやつは焼き芋か肉まんってとこだな。」

フレンチドッグの方が食べやすいだろうよ、
なんのこっちはスィートポテトのパイ包み焼きだ、と、
お兄さんがたがお外で食べやすいおやつで またぞろ競い合う気配を呈していたりし。
何だか妙なお正月、でも、楽しけりゃいっか♪という、この初春だったそうでございます。





    〜Fine〜   17.01.01.


 *今年の書初め、お正月風景を一席。(笑)

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