蜜月まで何マイル?
     “団栗椎の実、背くらべ?”
 


 同じ航路の上と下、どっちも“ひとつながり”の同じ空と同じ海な筈なのにね。とりどりの海域ごとの様々な季節によって、よくもまあこんなにと思うほど、色も匂いもご機嫌も違う。

  「なあ、ゾロ。どんくらい待てば良いのかな。」
  「さあな。あいつら任せだからな。」

 彼らが辿り着いたる今回の中継地は、秋島海域のど真ん中に位置し、農業・漁業を産業の中心としているらしい のんびりとした豊饒の島。しかも季節自体もジャストの天高く 牛も馬も人も肥ゆる“秋”の最中であったがため、豊かな実りを祝うと同時、他の島から買いつけに訪れる商船をターゲットにした“収穫祭”が港のイベントとして催されているという賑やかさだったのだけれども。

  『あんたは例によって“お留守番”よ。』
  『え〜〜〜〜?』

 底をついてた食料や消耗品、備品に資材に、これからはキッチン以外でも必要になる燃料に…といった諸々の物品を揃えるべく、毎度お馴染みの補給に上陸することとなったものの、
『外海に向けてのカーニバルなんか構えてるくらいだから、人の出入りが多いのへの監視も多少は緩くなるのかもしれないけれど。あんたは そんなスカスカな監視態勢でも大丈夫なほどの大騒ぎを、必ず起こしてくれるでしょうがっ。』
 ナミからこれ以上はないほど分かりやすい説明をされて、
『それに。航路の関係で、商人の商船ばかりじゃあない、海軍からの買い出し部隊の船も来るらしいのよね。』
 まだまだ幾らでも“上には上”がいるとは言え、この若さでは最強かもというランクにて…今やグランドライン全体へ行き渡るほどの賞金額になってしまっているルフィだから。一般住民のみならず、そんな連中まで出入りする、しかも騒ぎを起こしそうな環境下に連れてく訳には行かないとの厳命が下り、

  『幸いにして、
   本島にほど近いところに、人は住んでないらしい無人島が寄り添ってるから。』

 そこで船番しがてら骨休めして、あたしたちが帰って来るのを待ってればいいからねと、ありがたいお言いようをされ、ゴーイングメリー号を着岸した孤島にお留守番として置いてかれた船長さんと副長さん。三艘のボートで本島へと向かった仲間たちを見送って、さて。ボートの陰がまだ見えているんじゃないかというのに、もうそんなことを訊く船長さんであり、
「ナミが言ってたろう。今日中には戻るって。」
 次の島はもっと大きいのかそれとも近いのか、ログは1日で溜まるらしいから。住人たちはのんびりしていても…少なからず海軍の匂いのする島なんか、用を済ませたらとっとと離れるに限るというよな言いようをしていた彼女であり、
「こっちだって結構な深さのありそうな島だからな。何だったら弁当持って冒険とやらに出てっちゃどうだ?」
 これも例によって、留守の間の食事をと、サンジが有りったけの食材を使い切る勢いで作っていってくれている。
『目ぇ離すと普段以上に食いやがるからな。』
 暗に、ゾロが甘いから無制限に食わせるに違いないと見込んで、日頃より何割か増しという量を作って行くシェフ殿だが、
“勝手なことを言いやがってよ。”
 本当は。自分がいないからと言って、口寂しさから素性の分からない木の実や何やを不用意に食べてしまわぬようにという、彼なりの親心。
『買い物が済んだら、真っ直ぐ帰って来るからな。』
『何か面白いもん、探して来てやっからよ。』
 チョッパーもウソップも、すぐに帰って来るからいい子で待ってなと船長さんへの“言い聞かせ”を忘れなかった辺り、相変わらずの“お子様”扱いだったりしもして。皆が皆で甘やかしまくっている船長というのが何ともはや。この荒らぶる海原の、世界で一番危険な航路にあって、そんなお暢気な会話を成立させてしまえるという辺り、考えてみれば随分と余裕があるというか、世間様を舐め切っているというか。
「冒険か〜♪」
 煽るような言いようをわざわざしてからにと、こんな場合に烈火の如くに怒り出すだろうナミがいないからではなく。どうやらこの島は本島の側からバカンス用のリゾート地として使われているらしいと、そのナミから直々に聞かされていたゾロであり、
『さして起伏もないし、危険な場所はなさそうだから。』
 この時期には本島のカーニバルが忙しくなるから、人はまず来ない恰好の隠れ場所。人伝ての情報だから絶対確実とまでは言い切れないけれど、まま、あんたたちなら海賊だの猛獣だのっていう大概の“危険”も退屈しのぎのイベント代わりになっちゃうってトコなんでしょうし、と。情報通の彼女が からから笑っていたくらいだから、疫病や異常磁場、神隠し系統の伝説などなど、掴みどころのないような種の危険という心配は要らないらしいというところかと。
“確かにな、実体がある相手なら負けやしねぇし。”
 自分は元より、キッチンに作り付けの戸棚からいつものリュックを引っ張り出してる、一見 それは稚
いとけない容姿をした船長さんしかり。………って、

  「何で二つなんだ。」
  「え?」

 テーブルに並べられた大きなリュックは2つ。それへと“何で”と訊いたゾロだったが、そんなゾロへ“何でそんなことを訊く?”という顔をすかさず向けたルフィであり、

  「…判ったよ。俺もついてくんだな?」
  「おうっ♪」

 それは嬉しそうに笑った船長さんへ、雄々しい肩をがっくりと落として見せた剣豪殿であったりする。残念だったねぇ、お昼寝出来なくて。
(笑)







            ◇



 その、引き締っていながらも隆とした筋肉の載った体躯の、巌
いわおのように雄々しい頑健さと、戦闘隊長としての頼もしき腕っ節から…というだけでもなかろうが。こういう時の船長さんの“お目付役”というか“相棒”というかには、必ず剣士殿が付き合わされるようになっており。好奇心旺盛で、何かを見つけて走り出したら止まらない反射や機動力も、ついでに傍迷惑な破壊力もピカイチというルフィを、素手で制止出来るのはあんたくらいのもんだわよと。そんなルフィとゾロと、もう一人という“戦闘班三大巨頭”をまとめて蹴り飛ばせるナミは言い切って憚らない。単に力の問題だけではなくて、ルフィの側からも言うことを聞くだろうし、とんでもない不測の事態が彼を襲ったら…何がなんでも助けるゾロだろうということまで見越されているらしく。だが、

  “どっちもどうだかな。”

 自分なんぞの言うことを、唯々諾々ちゃんと聞き入れるようなルフィではないことくらい判っていようにと。先程のやり取りから察するに、その半分くらいは…自分がルフィに甘いせいでもあるのを棚に上げて鍵かけといて。相変わらずにいい加減な女だよなと心の中にてぶつくさ ごちる。力づくでの制止という方にしたって、海賊団随一の馬鹿力はどっちかと問われれば…微妙なところだし、もしも怒らせれば あの細腕でゾロだって容赦なく吹っ飛ばすだろう男でもある。
“…そうでなきゃ見込まねぇって。”
 服従という格好で下についてるという意識はないが、彼が決めた指針には従うのが原則。それが最初の約束だし、根本的な気質などなどを鑑
かんがみて、そうして良い対象だと自分で自分に認めた男だから。………とはいえ、

  「…だ〜〜〜っ、こら。目についたもん、何でも口に入れんじゃねぇよ。」

 屈託がない無邪気さには、時として…幼児レベルで手を焼かされるので、油断も隙もありゃしない。今も、船を着けた入り江の奥向き、浜辺から連なっていた小さな林の中にて。がさがさと分け行った細い小道沿いの木に生
っていた、さくらんぼに似た赤い実を、早速 それは無造作に摘んで口に入れたルフィであり、後から続いていたゾロが目ざとく見つけて窘めの声をかける。リゾート地に命にかかわるほどの代物が放置されているとも思えないが、代々の年寄りから知識を受け継いでいる地元の人間にしか判らないものだってあろうから、こういう不用意は避けるに限るというサバイバルの基本からして判っていない節がある困った船長さんだけれど、
「これは大丈夫だぞvv
 おやや、いやににっぱり笑って振り返ったルフィであって、
「アセララグミって言ってな。俺のいた島にも夏から秋にかけてたくさん生
ってた。ちょっと酸っぱいけど、疲れた時なんかに食うと元気が出るんだ。」
 いかにも自慢げに言うものだから、どらと目の前にあったのを1粒摘まんだゾロもまた、不審いっぱいながらも口へと放り込む。
「…ふ〜ん。」
 確かに、咬みしめた途端に…ほのかな酸味が心地よい風味づけとなった、程良い甘さの果汁があふれ出して来る、なかなかの美味な果実であり、
「知らねぇもんは知らねぇが、知ってるもんなら任しとけだ。」
「何だ、そりゃ。」
 随分ずぼらな言い回し。どうやら、知ってる範囲の危険なものへは幾らなんでも手は出さないと言いたいらしい。そこへと、

  「シャンクスから叩き込まれてっからな。」

 邪気のない顔で“にししvv”と笑って付け足された一言へ、だが、
「ふ〜ん…。」
 途端に剣士殿の方は…少々渋い顔つきにもなったりして。最近はさほど口にしなくなってた名前だったのに。ほんのちょっとした切っ掛けであっさりと、埋没していた記憶の中から掘り返されて再びの輝きを鮮やかに増す存在。

  『あら。私も、逢ったことはないけれど、噂は聞いたことがあるわよ。』

 つい先日、何かの折にロビンがそうと言い出したばかりなものだから。掘り返されたその名も綺麗に磨き直されて、ルフィの記憶や知識の引き出しの、見やすい手前の方へと居場所を移し直している状態にあるのだろうなと。その辺りの背景はゾロにも重々判っており、
『このグランドラインを往く海賊には珍しく、仲間をとっても大切にする船長で。肝が座ってるせいか、凄腕の腹心たちがたくさん集まっていて。まだ、そんなにも古株っていう年齢でもないのに、随分と名前も知れ渡っている人よ。』
 物知りな彼女の口から“お褒めのお言葉”ばかりが出たのへ、自分の父親がその腹心の一人であるウソップまでもが やんややんやと喜んで見せて話が広がり。その日の夕餉の席では、ルフィが小さかった頃、故郷のフーシャ村にてどんなに可愛がってもらっていたのかという話に終始沸いたほど。
「……………。」
 彼にとってのその大海賊がどんな存在かは、これまでに聞いた細かい話を拾い集めて何となく判ってはいる。些細なやり取りまでもをいちいち覚えているということは、それだけ温かい思い出であり、慕っていた相手だということ。そしてそれらが統合された人物像の、なんとも魅力に満ちていることか。気さくで剛毅で、豪放磊落。お堅いことは言いっこなしという、いかにも海賊らしき自堕落な男であり、幼いルフィが相手でも容赦なく、さんざんからかった少々大人げないところを持ちながら。なのに、そんな小さな子供を庇って、利き腕の左腕を海王類に食いちぎらせた。それは鋭い一瞥で山のような怪物を追い払い、しかも…そんな惨事の直後でさえ、ルフィへは穏やかに笑って見せ、腕の中に守った子供に要らぬ心配をさせまいとした剛の者。そんな鮮烈な記憶の向こうにいる、ルフィにとっての言わば“英雄”でもあって。

  “………けどよ。”

 今の今、此処にいる奴ではないのにな。そうと思うと何となく。ちりりと胸に閊えるものがなくもない、まだまだ青い剣豪だったりもするのである。







 探検と言っても、ほんの小半時も歩けば林の中ほどの広場のようになった空間に出る。林の中もそんなに密集して木が植わってはいなかったし、此処は本当に安全で何にもない島であるらしい。普通だったら危険でなくて何よりだろうに、冒険好きな船長さんには少々不満であるようで。ふぬぬと頬を膨らましかけていたそんなお顔へ、

  「…あ。」

 ひたりと、何か冷たい感触が。何だろうと思うのと同時くらいに次のが落ちて来て、
「雨だ。」
 木立の中をくぐっていたから気がつかなかったが、雨雲が頭上に湧いていたらしい。船まで戻るのも面倒だからと、手近な大きめの木の枝の下へと駆け込んで、雨宿りをと構えた二人だったが、

  「あやや。」

 駆け出した瞬間の風に煽られ、ルフィの頭から麦ワラ帽子がふわりと舞い上がる。彼らの後方へと高く舞った、古ぼけた小さな帽子は、されどさして遠ざかりもしない間に、
「よ…っと。」
 持ち主の伸びる腕と手で難無く捕まえられて、元の定位置へ。
「あ〜、びっくりしたっvv」
 しししっと笑うお顔は楽しげで、やっとのこと胸が少しは弾んだ刺激と出会えたものだから、むしろ面白かったと言いたげにも見えて。こちらも少しほどはギクリとしかかったゾロをついつい苦笑させる。あちこちで失
なくしかけたり踏まれたり裂かれたりと、散々な目に遭って来た麦ワラ帽子。そのたびにナミが器用にも修繕してやっているのだが、もしかしたらもうほとんど原形を留めていないほど、最初の麦ワラは残っていない代物かもしれないのに、それでもルフィにはこれが“宝”に違いなく。

  『凄げぇ仲間を集めてワンピースを手に入れて、
   立派な海賊王になって、それから…シャンクスにこれを返すんだ。』

 そうだったよなと、唇を擽ったほどのかすかな笑みが剣豪の口許にふわりと浮かんだ。ルフィにとっての海賊王への夢の始まり、彼に“海”を知らしめた存在。そんな男に、誰が勝てようかと思う。自分にとっての“和道一文字”のようなもの。誰にも何にも譲れない“野望”へのストレートな道標であり、掛け替えのないパートナー。脇目も振らないルフィに比べて、そんな彼の言動に時々嫉妬めいた感情を持ってしまう自分は、
“余裕が出来たか、それとも…。”
 知らず満たされているがために、切迫感が薄れているということなのか。だが。満腹になった獅子は獲物を捕らない…とはいうけれど、野望を求める魂を鋭いままにしておくためにと、常に飢えていなければならないなんて思うのは実に短絡的な発想であり、俗に言う“ハングリー精神”も、これとはちょっとばかり違うもの。最初の気概や初志の持つ、脆いほどにも鋭く冴えていた、峻烈極まりなかった鮮烈さを忘れてはいないかと、今の泰然とした自分の中ではそれが希薄になってたことへ、焦ったり苛立っていた時期もなくはなかったけれど。幸いなことに…この破天荒船長の傍らにいれば、どんなに腕が上がろうと、そんなのまだまだ足りはしないと思わせてくれる窮地が、幾らでも降りかかって来るもんだから。日々、生きてる実感とやらを堪能させていただいてもいる。そんなこんなと理屈を転がすことで、慣れぬ感情が波立ち“ちりり”とかすかに痛んだ心と苛立ちを、自分なりに“…どうどう”と静めていると、

  「こっち向いてねぇと詰まらんってのは、別に悪い感情でもないと思う。」

 あまりにも。自分の胸の裡
うちに蟠わだかまっていた想いへの、的を射ていた一言だったので。ギクリと、その雄々しい肩が跳ね上がりかかったゾロが、それでも何とかクールさを保ってやり過ごしたそのまま、

  ――― 今、何か言ったのは、もしかしてあなたでしょうかと。

 目顔で…お隣りに立つ、雨宿りの相棒へと問いかければ。
「んっ。」
 こっくり、幼子のような仕草でもって、無邪気に頷いた童顔の船長さん。時々 梢の傘の先へと足を突き出しては、わざと脛や膝を濡らして遊んでいたものが、今は それも辞めて何かしら言いたげに…唇を尖らせている。
“…?”
 何か言いたげな、そして。何かに………不満げな顔?
「ゾロは時々、此処にいながらどっか向いてることがある。もしかして俺も随分とそうかも知れんから、お互い様ではあるけどさ。」
 ちろりと向けて来た視線は、こちらの腰の刀へと向いていて。

  「いつだって、それに触れてるし。」

 おやおや。自分がなぞっていたような想いを、彼もまたその胸中に転がすことがあるということだろうか。彼へと最初の呪文をかけた男。輝かしい評判ばかりを聞かされて、自分は逢ったこともない、ルフィの英雄。それへと思うようなジレンマを、ルフィもまた、この白い鞘の刀に感じていると?


  「……………。」


 向かい合ってたお顔の、まだまだ子供な面影の濃い するんとした頬へ。こめかみ辺りからすべって来た雨粒のひとしずく。大きいばかりな乾いた手のひらをそこへと伏せるように当てがい、掬い取るように拭ってやれば。手の温みへと嬉しそうに眸を細めて、てへへ…と少し照れて見せ。そんな彼の黒い前髪越し、虹色の散光が不意に弾ける。

  「…あ。」

 降り出した時と同じくらいに、唐突に上がった驟雨のベールを縫って。せっかちな光の矢が、まずは一射と落ちて来たらしくて。木洩れ陽に眸を細めていると、思いつきの駆けっこをさっさと始めて、先に駆け出す小さな背中。一呼吸遅れてそれを追いつつ、ふと。今なら聞けそうなこと、本人へと問うてみる。


  ――― なあ、俺んことも。

       んん? なんだ?

       先でもし別れても、俺んこと、
       その帽子の奴みたいに覚えててくれるのか?


 今なら さらりと答えてくれそうな、そんな気がして訊いたのに。何を思ってか、こちらを振り向いた後ろ向き、
「……………。」
 足は止めぬままに、だが、何故だか表情が少し止まったルフィが。ひたと立ち止まると…頬を膨らませて、こんな一言を投げ返す。


   ――― 馬鹿ゾロっ、いつか別れてくつもりでいるんかよっ!


 ずっと一緒に海賊だろうが、そうって約束したじゃんか。ゾロが野望を叶えるまでは、俺が海賊王になるまでは、一緒に海賊でいてやるって言ったのにっ! 体の両脇に拳を握って。それこそ子供みたいにムキになって。思い切り力んでのお言葉に、

  ………あ、そうだったな。

 遅ればせながら思い出し、そして。…そうかそうだよなと、何だか妙に可笑しくて。ずっと一緒なら、ずっと傍にいるのなら、思い出すも覚えてるもないよな、うんうん、まったくだ。感慨深げに頷いていたら、馬鹿ゾロっと繰り返した船長さんから手近にあったアセララグミを投げられた。熟した実が当たった胸元、かろうじてまだ白いシャツに薄淡い紅の跡を残して。それを見て“妙に色気のあるコントラストだ”と言ったのは、サンジだったかロビンだったか。およそ“色気”とは縁のない、思い切りのあかんべを残して駆け出した船長さんの、小さな背中に弾けた陽光は、そのまま開いて大きく羽ばたく翼にも似た煌めきを帯びて…ただただ目映くて。自分の方こそ、いつでもどこかへ、何もかも惜しげもなく置き去りに飛んでゆきそうな存在なのだと、果たして判っているのかどうか。どんどん明るさを増す木立の中、木洩れ陽のモザイクがまるで、飛び散り舞い上がる純白の羽根のように見えて。林を先に駆け抜けたルフィの小さな背中がハレーションに溶けて見えなくなるのを恐れるように、こちらも草を踏みしだく足をいきおい速めた剣豪である。






  〜Fine〜  04.10.21.〜10.26.


  *カウンター 154,649hit リクエスト
    cika様
    『シャンクスのことを口にするルフィに、ちょっぴり焼きもちを焼くゾロ。』


  *物凄くお待たせして申し訳ありませんです。
   完全な言い訳ですが、
   別館の方でちょいと心揺れる1週間だったもんで。
(苦笑)
   シャンクスさんはホント“永遠の英雄”にして、
   なんと今も何やら活動なさってる現役の人らしくて。
   もしも出会ったとして(ルフィには“再会”ですが)、
   ある意味でゾロには油断も隙もない人になりかねないと思われます。
(笑)

ご感想はこちらへvv**


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