とんだ"突貫作戦"になったおかげさまで、色仕掛けに一番不向きな筈の人物が餌を務めることとなり、
『これもチョッパーを救い出すためなんだからね。』
参謀長からそうと発破を掛けられて、仕上げに甘いけど酔っ払っちゃうチョコボンボンを"景気づけに"と食べさせられて。そんな成果か、ほよよんとほろ酔いのままに標的さんにおねだり攻撃を仕掛けて、まんまと食いつかせ、持ち場である宝物殿前から引き剥がしたは良かったが、
「…ちょっ…ゾロ、ダメって。」
一応のボディガード。ご本人様とてかなりがところお強いのに、相変わらずお酒に弱くて危なっかしいのと、昏倒させた張り番をそのまま元の場所まで担いで来て戻すという手筈になっていたその手勢にということで、ルフィの動向ににぴったりと張り付いていた剣豪さんだったのだが。この世で一番というほどに愛しくてやまない船長さんが…後にも先にもこれが最初で最後ではなかろうかというほど、それはそれはお珍しい"色仕掛け"なんてものを目の前でやらかして下さったものだから。そのお相手を岡焼き半分に張り倒しただけでは収まらなかった何かがあってか、すけべえなおじさんが引っ繰り返る寸前まで撫でていた柔らかな肢体へと掴みかかってしまっていた。
「蔵の前にこのおっさんを連れ戻さないと…。」
「良いんだよ、まだ。」
ナミに叱られちまうと言いつのり、何とか躱そうと身をよじるルフィだったが、
「今頃は扉を開いたり中を調べたりって、ごそごそやってる最中だろうからな。」
そんな場に連れてって半端に意識が戻っては剣呑だから、と。剣豪さん、聞く耳を全く持たないままでいる。傍らで伸びやかな幹を黒い影にしている木立ちに気づいて、そこへとマント姿のルフィの肢体を軽く押しつけると、
「あっ、や…っ。」
胸元近くへ擦り寄って来ていた分厚い肩を、何とか押し返そうとしていたルフィの手が、ひくりと止まる。肩の上、耳元へ、いつもの熱が匂いがふわりと寄って来て、一瞬目眩いに襲われたからだ。じわりと温かな唇が、黒髪の間から白く浮かぶように覗いていた耳朶に触れ、その輪郭をを甘く咬む。辺りはすっかりと開けている戸外。いくら夜陰という暗幕に閉ざされていると言ったって、解放感の中にはそのまま誰かの耳目が潜んではいないかという、どこか後ろめたい背徳が余計な刺激になってしまい、何となく落ち着けない。
「ゾロっ、やだ…。」
敢えて言うなら、ゾロが、ではなくて、こういう状況がイヤなのであり、相手にもそれは重々分かっているらしい。というのが、
「長くはかけねぇから…。」
彼の側でも場合が場合だというのは分かっており、それで気が急いているらしく。片手を背後の木の幹へと突き、忙(せわ)しくマントをまさぐるもう一方の手が、もどかしそうに前の合わせを掻き分けていて。蜜時をゆっくりと堪能するという風情には到底見えない、立派なまでの焦りっぷりだった。その指先が肌に触れ、やっとのこと すべり込むのに成功すると、そのまま腕へとマントの裾をからげ上げたものだから、
「や…やだって。///////」
その下は一糸まとっていない全裸でいたルフィが、かあっと頬を赤らめる。ゾロの腕が当たっている辺りから下、下半身の殆どをすっかりと外気に晒しているのが、いくら日頃は天真爛漫な彼でもさすがに恥ずかしくて堪らないらしい。密着しあっている二人だから、殊にゾロの側は気づいていないのかもしれないが、夜陰の中にマントの陰から晒された若々しい裸体が白く浮かび上がっていて。しかもそれを屈強精悍な青年の大きな手が、愛しげに…そして性急さに任せて忙しげにまさぐっているという図なのだから、充分すぎるほどに妖冶な見栄え。
「なあ、ゾロ、もうやめようって。」
それこそ必死になってねだったけれど、頼もしい胸元へ身を寄せて、しがみつくようになって か細い声で囁いたのが却って不味かったらしく、
「………あっ。」
するりと。もぐり込んでいた方の手が後ろへ回った。まだ子供っぽい証拠か、やわらかな感触のする双丘の狭間へと指先が押し込まれ、体内へその先が侵入して来て………思わず、身が震えた。さっきまでの"イヤだ"ではなくて、別な何かを期待しての反応。いつの間にそうしたのか、濡れていたので抵抗は少なくて。ついでにそのまま抱き寄せようとするかのようにぐいぐいと内へ内へと押し込まれる侵入は、あまり痛みはなく。少しずつ少しずつ快楽までにじり寄ろうとして、焦れったいようなまどろっこしさで浅瀬を掻き回す。ついさっきまでは"やだやだ"と駄々をこねていたくせに、
「あ…ん、んんっ。」
微妙に掠めるばかりというもどかしさからか、幼い仕草で自分から腰を擦りつけて来るルフィであり。いつの間にやら夢中になって、自分からも甘い鼻声を上げることで反応を示して誘導して、
「…ん、んんっ、あぁっあっ。」
良いところを知り尽くした指先が、たちまちの内にもそこへと届き、堪らず…小さな顎を反らしてまでの悲鳴を上げたルフィの反応へ、その指が2本に増やされた。性急な運びなのは"長くかけない"ためなのか。背条が痺れるほどの淫悦が這い上って来るのにつれて、震えが起こって力が入らず、萎えそうになる脚。背後の樹に凭れていたものが、まともには立っていられず。ずり落ちそうになるのを避けて、真正面に立つゾロの首へと腕を伸ばして絡みつける。雄々しくも頼もしい胸板に頬を押しつけ、切れ切れなそれになって来た呼吸を吐きつければ、すかさず指が増やされて、
「あっ、ああ…あ、やぁ…んんんっ!」
ついつい。のけ反りながらの甲高い声が喉奥を衝いて上がってしまったが、ゾロは特に咎めもせず。それどころか…あらわに反らされたルフィの首条へと唇を当て、擽るようなキスを這わせた。もう片方の大きな手のひらが背中を支えていて、いつの間にか立ち位置が入れ替わっており、ゾロの方が樹の幹へと凭れている。二人分の重さに何とか耐えてはいる樹だったが、迷惑なことだという抗議の代わりか、二人の動きへ反応しては、ゆさりと時折大きく揺れる。一方のルフィは、
「ひっ、あっ…ぁあ…んぅ…っ。」
擦りつける格好になっていた雄芯の先から、滴があふれ始めているのが分かって頬が熱くなる。こんな淫らな格好で、しかも戸外で。ただただ性急に、受け入れるところばかりを煽られているだけなのに。まだ直接には何の施しを受けてもいないのに、精を高ぶらせている自分なのが恥ずかしい。その"恥ずかしい"という想いがまた、ルフィの官能を過敏なものに炙り上げ、
「あ、や…っ!」
突き入れられていた指をまとめて動かされて。その抜き差しが挿入のまんまな力強さで、ルフィの腰ごとをぐいぐいと突き上げてくる。
「やぁっ、あっあっ、やめ…あっ!」
言葉にならないデタラメな甘い声が唇からあふれ出す。気持ちよすぎて涙が出て来た。目の前の男の懐ろに夢中になってむしゃぶりついて、それしか知らないかのように甘い嬌声を上げ続ける。早く早く、して欲しいのに。もっと熱くて堅いのが欲しいのに、なかなか動きを移してくれないゾロで。あんまり良すぎて しがみついている手から力が抜けそうになる。
「………あ。」
体中が熱くなってて気がつかなかった。全身で乗っかかるようになって凭れてたゾロの身体。片方の足を前に出し、そこに軽く跨がるようになってたルフィだったのだが、擦り当てている格好の自分の雄芯に、向こうからも堅い何かが当たっている。服で隔てられていても分かる堅さは、こそりと腰を擦り寄せればますますの堅さと熱さを増してゆき、
「あ…。」
思わずのこと、ルフィの喉がこくりと鳴った。後ろを散々に責め立てられて、意味をなさない声を上げながら、それでも…気がついたそれへと手を伸ばせば、
「………っ。」
頬をくっつけていた胸板がかすかに撥ねて、耳元で荒い息をつく気配。
「ん…ずりぃぞ、ゾロ。」
「何がだよ。」
響きの良い低い声が立ったのへ、はあぁ…と甘い吐息をつきながら、
「余裕ないのが俺だけみたいに思わしといて。」
幼い所作で相手の雄を擦り上げるルフィに、男が喉を鳴らして"くつくつ"と短く笑った。
「そっか。ずりぃか。」
「そ、だぞ、ずりぃ。」
こちらも ふふと笑って見せて、だがすぐにも切なげに眉を寄せると、ゾロの広い胸板へぐりぐりと頬を擦りつけた。
「ねっ、ぞろ…。もっ…や…。」
腰に力が入らない。もう限界すれすれで、幼い雄芯からは精液に近いものが溢れ出し始めており、勝手に脚が開き始める。早く来て欲しいと、自然に身体が訴えているのだ。体中が熱い、早く何とかして欲しい。泣きそうな声で懇願すると、後ろから一気に指が引き抜かれて、ベルトを外す音がした。それから、
「………あっ。」
ふわりと腰を持ち上げられたかと思った次の瞬間には、熱い先端が押しつけられて。
「ああっ!」
やはり一気に、堅いものが突き入れられる。侵入して来た勢いのまま、力強い律動が始まって、
「あっあっ、ああっ、あっ!」
押し込まれるたびに、声が出て止まらない。自分で自分の体をどうにも出来ないくらいに、熱に浮かされ、ゾロで一杯になっているからだ。無意識の内に腰がうねる。早く早く。もうそれしか考えられない。隧道をぐいぐいと力強く抜き差しされる熱の塊りが、もっと頂点へもっと高みへと、ルフィの感覚を際限なく追い上げてく。
「も…やだ…。」
苦しくての悲鳴が上がる。あまりに一気に上がった熱に、意識が焼き切れそうになっている。ひっく…としゃくり上げ始めたルフィに気づいてだろう、
"………あ。"
頼もしい腕が、ぎゅうと包み込むように抱き締めてくれて。それから、
「…あ、あああっ!」
灼熱を帯びた吐精の勢いに奥を叩かれて、それに合わせて自分の雄芯を擽られ、猛烈な解放感が下半身を満たした。勝手な反射で大きくのけ反る肢体。逞しい胸板がぎゅうぎゅうと突っぱねる腕を余裕で支えてくれるから。どこかへ飛ばされそうな不安も何も、受け止めてもらえて、安心出来て。
"ふや………。"
あんなにも激しく燃え盛っていた体内の炎が、ゆっくりゆっくり静まってゆく。こんな時だっていうのにと、半ば焦りながら突っぱねていたのは、ほんの小半時も経たない前のことなのにね。マントごとぎゅうって抱き締められて、体中をゾロで一杯にしてもらって。ふわふわと夢心地のままに、大好きな懐ろに擦りついていたルフィなのであった。
――― それにしても。
んん? なんだ?
――― お前、いつの間にあんな…挑発とか出来るようになったんだ?
ちょーはつ?
――― だから…色っぽく振る舞っておっさんのこと誘っただろうがよ。
ああ、あれな。あれはナミがさ、
ゾロだと思って明るいとこから引き離してごらんって言ったんだ。
――― な…っ!
何となく雰囲気が似てるだろう?ってサンジがゆってた。
遊んで遊んでって おねだりしてみなって。
そいで、成功したらば1週間ずっと、
好きなおやつをリクエスト通り作ってやるって。
――― ………ほほぉ、そうかい。
………とりあえず…危うし、シェフ殿というところでしょうか。(笑)
〜Fine〜 04.5.7.
*白状します。
久方ぶりに"裏"を書いてみたくなったがためのお話です。
その割に短くて、大したことなくてすいません。(苦笑)
これをお持ちの方は、
ご面倒でございましょうが"年齢制限の注意"を必ず掲げてくださいませです。

|