何ということもない話
えぴそーど・FOUR 〜声
伏し目がちになると緑の眸がより深く濃くなる目許とか、
時々だけ見せてくれる、やわらかい微笑い方とか、
顔を見てるだけで嬉しいから。
向かい合ってる時は気がつかない。
大っきな背中、大きな手。
頼もしい肩や力持ちの腕。
ぶっきらぼうだけどホントはやさしい、
温みと匂いに触れてるのが気持ちいいから。
すぐ傍にいる時は気がつかない。
遠いと気がつく、暗いと判る、もう一つ。
〜◇〜
昼寝したから眠れなくって、
夜の甲板でぼんやりしてたら、探しに来た。
「ルフィ?」
………あれ?
こんな声だったっけ。
皆を起こさないように、オレんこと驚かさないようにって、
低く静かになってる声が、
こんなやさしいって知らないでいた。
「どうした?」
あんまりまじまじと顔を見上げたら、
怪訝そうな声になっちゃったから、
「んーん、何でもない。」
慌てて首を横に振って誤魔化すと、
そっかと短く言ってすぐ傍に座り込む。
「なあ。」
「ん?」
「なんでいつも探しに来るんだ?」
「寝ぼけて海にでも落っこちてたらコトだろが。」
そんなドジは踏まないよと口唇を尖らせて…幾刻か。
「…なあ。」
「ん?」
「何か喋ってくれよ。」
「何かって?」
「何か。何でも良いから。」
「…そんなこと急に言われてもなぁ。」
ちょっと困ったような顔になったのが声で判る。
「何でも良いからさ。なあ。」
「喋るの得意じゃないんだって。」
波の音より聞きたいもの。
顔とかに見とれてて気がつかなかったもの。
「なあ、ちょっとで良いからさ。」
………………………………………
〜Fine〜 (01.7.7.)
*久し振りの(でもないか?) 甘甘"ゾロ×ルフィ"です。
ウチはこういうのが持ち味だということで…。
でも、ホントにこういう会話をしているカップルがいたら、
蹴りを入れてるかもしれないわね、多分。

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