月夜見
 puppy's tail 〜その42
 

 “なぜなぜな〜に?”
 

  あのねあのね、このごろカイは、いろんなことが気になるです。
  昨日はポカポカしてたのに、今日はいきなしサムサムで。
  雪こんこまでふったの、ねぇどーして?
  ま〜まやカイみたいに“風のによい”までは判んない ちゅたさんが、
  あのね、明日は晴れですねとかいつもいつも当てちゃうの。
  お膝がちょこっとだけ“痛いたい”だから、サムサムになりますよ、とか。
  ひこーきが お尻尾かいて飛んだから雨ですねとか。
  どーして判んの? ねぇどーして?
  カイもママもパパも大好きな、おちゃかなのふかふか、
  あまくてからいの、おーしーのvv
  おナベに入れたら、あおいのがちゃーろになんのは、ねぇどーして?




            ◇



ちなみに最後の数行、判りやすく翻訳いたしますと、

 『お魚のふかふか、甘くて辛いの、美味しいのvv(煮物のことです)
  お鍋に入れたら、
  (生だと)青い(お魚な)のが茶色になるのは、ねぇどうして?』

と、訊きたい海
(カイ)くんらしいです、念のため。
このところのカイくんは余程のこと色々なものが気になるらしくて、
ママやパパやツタさんを相手に“ねぇどうして?”を連呼しまくり。

 カボチャの蒸しパンがこんな甘くて美味しいのはなんで?
 パパのまゆまゆ(眉)の真ん中、たてたてになってるのなんで?
 マ〜マがカイの真似っこしたら、パパがそわそわしゅるのな〜ぜ?

訊かれてもなかなか答えられることじゃないようなことまでも、

  ――― なぜなぜどーして?

答えを下さいと、小首を傾げてのそりゃあかわゆく、
おねだりおねだりするもんだから、
大人たちはちょっと大変な今日このごろ。

 「いい加減なことは言えませんしね。」
 「あのうるうるのお眸々で“な〜ぜ?”って訊かれるとなぁ。」
 「ゾロはどんなお顔されても弱いんじゃんか。」

大体ゾロってば なんで俺がカイの真似したらそわそわしてんの。
しかもカイに読まれてるし。

 “てゆっか、
  そうなんだってこと、俺、今まで気がつかなかったけど…。”
(おいおい)

いらない余波まで招いてる、小さな皇子様の“なぜなぜな〜に”。
そういうお年頃になったんですねぇと、
ツタさん辺りはそれでも余裕を見せており。

 『そうですねぇ、なんででしょうねぇ。』

専門家じゃないとちょいと難しいことへは割とあっさり降参しもする、
ムキにならないところがまた大人。

 「調べればそれなりの答えが判るものはまだいいんですが。」
 「そうなんだよね。
  理屈が難しいものは、判んな〜いってカイの方でも逃げ出すし。」

困りものなのが“そういうもの”なこと。
大人になったら判るからとしか言いようがないことって結構あるし、
判らないから誤魔化してる訳じゃなく、
感覚的なものはどうしたって、説明しにくくって、
小さなボクに判るようになんてとてもじゃないけど説明出来ない。

 ――― どうしてダメメなことする大人がいるの?
      ゴーヤってにがにがなのに、パパにはどーして おーしーの?

まずは手前の2つ3つが身をもって判らないと、
それを踏まえたことだけに、口で言ったって判らないこと、
訊かれてみると結構あって。

 「そうだってこと改めて数えたら、世の中って難しいことだらけなんだねぇ。」
 「そうみたいですねぇ。」

何も全部へ通じてなくたっていいんだのに。
坊やから訊かれて判らないことがあったりすると、
う〜んなんて唸ってたりする、かわいい小さな奥方の様子もまた。
旦那様やツタさんには眼福だったりするんですが。
(笑)

 「奥様はウソだけはおつきになりませんからね。」
 「そうなんだよなぁ。胸張って“判らんっ!”だもんなぁ。」

どうだ参ったかって言わんばかりなのがまた、
愛らしくってたまらないと。
ゾロパパは別な方向へも、ニマニマ困って
(?)しまうそうですが。


  「じゃあ、どーしてママはパパが好きなの?」


おやおや?
今日もまた、何だかまた、微妙な“なぁぜ?”が飛び出してるみたいですね。
でもでもルフィママは動じもしないで、
むんって胸張って答えます。

 「それはな、ゾロがゾロだからだっ!」
 「………うにゃ?」

ふかふかラグの上にちょこりと座り、
お指くわえたカイくんの頭の上には、
みえない“?”が ぽぽぽぽぽんっといっぱいいっぱい弾けているらしいですが、

 「ふふ〜んvv

えいっと思い切り胸張り腹張り状態のママには、一向に気にならないみたいで。

 「うーっとぉ。」

小さなカイくん、
う〜んとえ〜っとと お首をかっくりこと傾けてから。

 「カイもっvv
  カイも、パパもママもちゅたさんも、
  パパでママでちゅたさんだーら、大ちゅきっvv

にこぱと笑ってのよいこのお返事。
ママと お揃
(そろ)でお腹を張ります。

  ――― そか、カイもかっ。
       うっ、カイもっ。

なぜなぜな〜には いつだって、
こんな風にハッピィな締めとなるのがセオリーなので。
ここのお家に限っては、ちょっとしたお遊びの一種なのかも知れません。

 「知的エンターテイメントってか♪」
 「…そんな難しい言い回し、どこで覚えたんだ?」
 「Morlin.さんが、少し前のお話で使ってたvv

  こらこら、あんたら。
(苦笑)





  〜 どさくさ・どっとはらい〜  07.4.05.


  *なんで?どうして?
   育ち盛りのお子様が、色んなことへの好奇心を持つのは
   脳の成長過程へも勿論いいことだそうですが。
   でも大人はついつい、忙しいから面倒だからって、
   邪険になってしまったりするんですよねぇ。
   そんな下らないこと、どうでもいいでしょとか、言ってませんか?
   子供のころに“こんな大人にはなるまいぞ”って、思った大人に
   気がつきゃ…知らぬ間に なってるかもしれない。
   それが一番怖い、今日この頃です。
(う〜ん)

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