月夜見
 puppy's tail 〜その43
 

 “はぴばすでー・まーまvv”
 

 あんねあんね?
 きのーはママの おたんじょびだったのvv
 ママがいつまでも かあいくてやさしいの、おめでとーっvvて、
 御馳走いっぱい並べてお祝いしたですvv
 とうきょのサーチャ兄ちゃとかナーミさんとかも、
 おめでとのプレゼントだよって、
 大っきなブーケ・いーによいvv
 ふっかふかのお昼寝用のお布団と、
 どっちもお手製の、お届けで送ってくれてvv
 ご近所のおばちゃまやおじいちゃまたちも、
 おめでとさんって言って、
 花束とか鉢植えとか、毛糸のおなか巻き巻きとか、くれてて。
 カイはあのね? パパとちゅたさんと一緒にね?
 今年は大っきなケーキを焼きましたvv えっへんvv
 でもね、ママはね、そんなのずるいな〜って。
 ママも一緒に こねこねとかして作りたかったな〜って言って。
 そしたらね、ちゅたさんがね、
 “しあげは おくさまがするんですよ?”って。
 とろとろのクリームはいった三角ので、
 お名前書いてくださいなって、はいっvvてしたの。
 こいのぼりと きえ〜な虹は ちゅたさんが、
 “ママ”はカイが、“おめでとー”はパパが書いたから、
 ママはじゃあって、皆 ありがとうって書いたのvv
 そいでそいで、凄っごい美味しかったの〜〜〜〜vv
 今度はカイのおたんじょびだよね? 早くこないかなぁvv





          ◇



そりゃあ楽しかった“お誕生日パーティー”が
盛況のうちにもお開きとなったのが、
昨夜のそれでも10時頃という早いお時間で。
祝ってもらう側のルフィ奥様が、
相変わらず早寝するお人なもんだから、そうなることを見越しての、
それではと始める時間を早い目に繰り上げたのも 例年通り。
『うきゃ〜〜〜vv
ケーキに焼肉、フルーツサワードリンクに、
頭も尻尾もカリカリと食べれますよっていう大きなエビフライと、
じゅわじゅわジューシィなチキンバスケットと、
これもサンジさんの伝手で
新鮮なネタを駿河から直送していただいた手巻き寿司…という、
まずは妥当なラインナップにて幕を開け。
お招きしたご近所の皆さんと一緒に、
“取って来てください輪投げゲーム”とか、
“ママのハンカチはどこ?ゲーム”とか、
お友達のわんこたちも一緒になって遊べるゲームを一杯楽しんで。
(時々こそりと、
 ママはシェルティに、カイはウェスティに変身して、
 あうあう・わうわうvvと混ざったりもしてvv
皆さんが帰ってからも、
ちょっぴり浮かれた晩餐会は引き続き。
『しゅご〜い〜〜〜vv
ルフィママと海
(カイ)くんの二人ともが大好きなオムライス、
実はゾロパパが、1週間ほどツタさんからレクチャーを受けて頑張った、
『ケチャップライスの仕上げに、
 バターをひとかけ入れるのが隠し味なんですよね♪』
ツタさんの秘訣入りっていう、そんな逸品が出されて盛り上がり。
お腹がポンポコリンになったカイくんが、
そのままうとうとし始めてベッドへと運ばれたのが、
それでも“記録的夜更かし”にあたるだろう、9時を回ってからのこと。
それからは…大人の時間ということで、
リビングにお夜食と飲み物を用意しての、
ツタさんも気を利かせての早じまい。
カーテンは引かないまんま、
お部屋の真ん中に敷いた初夏向けのラグに座り込み。
立て膝したゾロパパの、長くて堅い脚の間に、
小さなルフィママが ちょこりと収まりのして、
色んなことをお話ししたそうで。

「…何かあっと言う間だったなって。」
「? 何がだ?」
「だから。ゾロと此処で初めて逢ってから。」

そういえば。
それってこのっくらいの、雨の多い頃合いだったんだそうで。
しばらくほどはルフィママの秘密も知らないまんまでいたゾロパパは、
それを教えられても、あのね?
ママのことが大好きで、
特に態度は変わらなかったんだって。
でもね、あのね? ママの方はどんどん心配になっちゃって。
好きな人を困らせちゃいけないって。
そればっか、思うようになったって。

「あんな?
 シャンクスが…父ちゃんが、
 俺の親父と一緒に暮らせなくなったのもそのせいなんだ。」

別段、飼い主さんから追い払われたりした訳じゃあないのだけれど。
ベンといつまでも一緒にいてあげてって言われて、
むしろ可愛がってもらってたのだけれど。
育たぬ子供、それも何の犬種のが生まれるのかも判らないのに、
ご厚意に甘えてはいられないって。
何より、相手が困ろうしって。

「確か…ドーベルマンとか言ってたよな?」
「うんvv

シェパードとドーベルマンの間に、
こんな愛らしいシェルティくんが生まれるなんてのは、
実はシェパードじゃなくてミックスでしたと言われても…
ちょっとあり得ない事態だろからって。
それでと、
喧嘩した訳でもなく、周囲が騒がしくなった訳でもないのに、
ルフィを身ごもった父上は、何にも言わずに恋人の前から姿を消したのだそうな。

「そんな風に逃げたのって、相手を傷つけただけかも知れなくて。」

ちゃんと話をしなかったこと、
そこんとこだけ、ちょこっと後悔してるけどって、
ミホークのおっちゃんに言ってたと、
ルフィは小さく笑って見せる。

「………。」

それへとゾロパパが、何とも言ってやれなかったのは、
ルフィもまた、何にも言わないでゾロの前から姿を消そうとしたことがあったから。
大切な人を困らせたくなくて選んだこと。
でも、それが一番その人を傷つけることかも知れなくて。
好き同士なのに二人ともが傷ついてしまうなんて、
そんな不思議なことが起こってしまうのはどうしてだろうか。

「俺らみたいな立場じゃなくたって、誰かを好きになるのは大変で。
 でも、好きになったって気持ちは、忘れなきゃずっとの宝物だって。」

ママは大好きなパパの頼もしいお胸に凭れたまんまで。
パパは大好きなママのふわふわな頬に時々ちうを落として。
綺麗なお月様を眺めながら、
静かに静かにそんなお話をして。






*  *  *



 「二日酔い、ですか?」
 「う〜〜〜〜。」
 「飲むというより舐めてただけだったんだけどな。」
 「奥様、カルーアは甘いけどやっぱりお酒なんですから。」
 「うん、これから きをつける。」


甘い晩の翌朝は…大変だったそうでございますvv
(苦笑)




  
HAPPY BIRTHDAY!  TO LUFFY!


  〜 どさくさ・どっとはらい〜  07.5.12.


  *ちょこっと補足を一席。
   犬が酔っ払いに吠えるのは、アルコールの匂いが嫌いだからだそうで、
   彼らが本能で知っているその通り、
   ワンコやニャンコにアルコールは厳禁です。
   よく“ウチのポチはパパと晩酌するんですよvv”なんて話を
   動物番組なんかで微笑ましく取り上げてる場合とかありますが、
   犬や猫にアルコールを与えると致死の危険性だってあるのです。
   主には神経障害や呼吸困難が原因のそれで、
   例えば、アルコール度数10%のワインだと、
   体重に対して50cc飲めばもう危険。
   このお話に出て来るルフィの場合なら、
   シェルティの姿で大体6キロか7キロくらいですから、
   300cc強でアウトということになりますし、
   ビールなら500ccくらいでしょうかしら?
   ウチの子は嫌がりませんよ、ですって?
   それはあなたを信頼しているからで、
   自分のボスでありママであるあなたが、
   まさかそんな、ボクにとって毒となるものを与えるはずがないからと、
   心から信用しているから口にするまでのこと。
   酔っ払うのが面白いとか言って、
   お遊びみたいにして飲ませるのは止めましょうね?
   人間でも、モンゴル系民族は
   欧州系の方々に比べるとアルコール分解酵素が少ないと言われていて、
   九州男児だとか
   高知のいごっそい…でしたっけ?(ツッコミ歓迎・こらこら)だとか、
   武勇伝が山ほどある どんな酒豪でもあろうとも、
   日本人である以上、体の組織的に言やあ、
   実は呑んだら危険な、耐性の弱い体をしている訳なんですよね。
   何であれ無理強いする奴ァは最低で、
   パワー・ハラスメントで告訴してやっていいくらいです、はい。

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