“はっぴ・はろいんvv”
あのねあのね、おねいさん知ってたぁ?
あしたの晩はハロインってゆって、
子供はみんな、お菓子をネ? もらえりゅんだって!
マキちゃんとことか、リクんチとか、
お窓や玄関へ大っきいカボチャが置いたあったの、
そえの目じゆしなんだってvv
ママもパパも知ってたって。
ちゅたさんも知ってたって。
大人はそやって じゅゆいです、ぷんぷんっ。
◇◇◇
「だって海(カイ)はさ、」
大晦日もそうだけど、10時過ぎたら起きてられないじゃないか。」
大人げなくも真っ向からの物言いをしたルフィママの頭には、
とんがった先が中折れになっている、
つば広の真っ黒なお帽子が乗っかっており。
「でも、でもぉ〜〜〜。」
「まあまあ、そう怒るな、カイ。」
小さな王子様が小さな拳をぎゅうと握って、
今にも地団駄踏みかねないお声を出したのへ。
ゾロパパが大きな手をその脇へと差し入れ、
ひょ〜いと抱え上げて掻っ攫い、
広さと頼もしさに満ち満ちた懐ろへと抱え上げてしまわれる。
「もうちょっと大きくなったらって思って話さなかっただけだ。
七五三のお参りみたいに、お昼間にって行事じゃないからな。」
リクくんから聞いて判ったんだって?
うん、リクちゃんチにカボチャが届いてね?
「お孫さんが、幼稚園で色々とお飾りを作られたんですって。」
「ふ〜ん、最近じゃあハロインまでお祝いするんだね。」
そちらさんではお茶会をする程度らしいのだが、
そのついでに“ハロウィンっていうのはね?”と、
おばあちゃまに話してもらったあれこれを、リクちゃんから伝え聞き、
お菓子の下りで“うわぁ〜〜vv”とお目々が輝いてしまったカイくん。
マキちゃんチでもカボチャの置物やキャンディを飾ってるそうで、
なんでウチはやらないの?と言い出しての、
『ママもパパも知ってたって。
ちゅたさんも知ってたって。
大人はそやって じゅゆいです、ぷんぷんっ。』
という騒ぎになってしまったというわけで。
「ほれ。今年からはウチでもするから。
だからそんなおっかないお顔はなしだ。」
「む"〜〜〜〜。」
よいよいよいと、抱っこされたまま軽く調子をつけての揺らされると、
そんな赤ちゃんじゃないですっと、
ますます膨れて、だが、いやがらずにパパの胸元へお顔を伏せるところが、
「〜〜〜〜〜っ。//////」
「ゾロキラーだよねぇvv」
「…奥様。」
だって誰も教えてないのにああまでツボを心得てるんだもん、
ゾロってすりすり頬擦り攻撃に一番弱い…うにむにと。
語尾のほうはツタさん特製カボチャ入りの蒸しパンに封じられたママなところも、
ある意味では相変わらずだったりし。
別段、焼き餅焼いてるママじゃあない。
嫉妬するならむしろ、相変わらずにパパの方。
週に何度か、隣町のアスレチックジムまでという出勤をこなしているパパなので、
『あのね、うまうまはこーで、しかさんはこーこーなの♪』
それは楽しそうに、頭の上へお手々をヒラヒラさせて見せ、
お昼間ママと遊んでて出来上がったマイブームの断片だけを見せられちゃあ、
その場では、一応“かわいい可愛い”と喜んでやりながら、
夜が更けてから、小さなママさんを懐ろに、
―― あれって結局何だったんだ?
後から訊いてることもしばしばで。
リビングでの団欒のお話を、
んむんむ好き好きvvとまったりしてから訊かれても、
『何のことだか、判んなくてもしょーがないよねぇ?』
こっちはもうもう眠いってのに、
ホンっト、ゾロって我儘なんだからぁvvと。
困ってると言いたげな割には嬉しそうなお顔で語る奥方だったりするのは、
はっきり言って余談ですね、すいません。(あっはっはっvv)
「とりあえず、仮装しようね。カイくんは何がいいの?」
「ぷや?」
衣装箱には誰がいつ使ったものなやら、
魔法使いのとんがり帽子に魔法のつえ、
吸血鬼の黒いマントやコウモリの羽根つきのシルクハット、
肉球つき手ぶくろもありの狼男の着ぐるみに、
大きなボルトが右から左へ突き抜けてるように見えるカチューシャまでと、
色々とりどりに揃っており。
「最後のはフランケンシュタインですね。」
「うんvv ナミさんが来てたときに使ったんだよ?」
大仰な変装も何なのでって、これだけ髪に飾って済ましたの。
言いつつ自分の頭へつけて見せ、
「ほらほらカイくん、凄いだろー。」
「凄ゅごい凄ゅごいっ!」
パパの懐ろから身を乗り出すと、
うわぁと うるうるのどんぐり目を真ん丸まで見開いた王子様であり、
「〜〜〜。」
「…? ゾロ?」
ライバル心あおっちゃった?と、
かっくりこと小首を傾げたルフィママだったが。
こちらさまとて、そのお姿は、
カイくんというお子がいるとは思えぬほどに、
無邪気な笑顔も瑞々しいまでの、
若さと愛らしさを保ったまんまと来て。
「…カイがいる前でそのポーズは反則だぞ。/////////」
「??? はい?」
陽だまりの中は暖かいからと、
まださして厚着じゃあないしなやかな肢体は、
目映い陽に縁取られてそれは嫋やかで。
七分丈のボトムから伸びたすんなりした脚の回りには、
ごちゃごちゃと衣装やリボンやらが散らかっていたのでと。
踏まないように片方だけ浮かせての、
カシューシャがずり落ちないよう、
両側から緩く手を当て“どーだ”のポーズ。
「…奥様、それって。」
「悩殺ポーズだったらしいねぇ。」
あからさまに前かがみにまでなっちゃあいないけど。
そんな具体的なこと言っちゃあダメですよ、奥様…と。
女性陣(?)が可愛らしいことよと思っちゃった純情っぷり、
パパの方とて進歩してないらしくって。
いまだに こ〜んなラブラブなご家族へ、
割り込む度胸のある怪物や亡者がいたもんだろか。
窓辺へ吊るされたカボチャの形のキャンディのレイが、
クスクス笑いをしてるかのよに、
ゆらゆら揺れた晩秋の昼下がりだったそうですよ。
HAPPY HALLOWEEN !
〜Fine〜 08.10.30.
*確か、カイくんが赤ちゃん時代にハロウィン話書いてなかったですかね?
ゾロのパパのミホークさんが、
息子のためにと狼の着ぐるみ買ってた逸話を覚えてるんですが。(笑)
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