月夜見
 puppy's tail 〜その68
 

 “師走、しゅあっち☆”
 

 
  ハロインと いちごさんが終わったから、
  次はネ、あのね、くいすますなのvv
  赤いボール、みどいのボール、キラキラきれいねぇ?
  大っきなお星様は、パパがてっぺん飾るのよ?
  しゃわしゃわいうモーリュは、
  ちゅたさんがツイィに巻き巻きするのだけど、
  どしてかな、
  キラキラするのがワクワクすゆの。
  ママのお眸々もキラキラしてゆから、
  お尻もひょこひょこしてゆから、
  カイだけ変なんじゃあないんだよね? ね?



    ◇◇◇



電飾という意味合いだけじゃあない“光り物”が、
ちかちかキラキラ、吊るされての揺れているツリーは。
坊やのみならず、
実はママであるルフィにも魅惑の存在だったりし。

 『そういや、昔はルフィも、あのカラーボール。
  片付けるときとか
  目許を潤ませてたほど好きだったもんな。』

懐かしい話だよなとゾロが苦笑混じりに口にすれば。
そんな古いお話しないのと、
海(カイ)くんの手前とあって照れるのか、
伴侶様への必殺猫パンチつきで、ルフィが頬を赤らめる。

 「いたた……☆」
 「あ、ごめん。」

顎に入っちゃった?
いやいや、なんのなんのこのくらい…なんて。
ソファーへ膝立ちになって、
大好きなご亭主の男臭いお顔、
手を延べてすりすりといたわるママの傍らで。
小さな王子は、気に入りのクマさんの着ぐるみ姿のまま、
二重コーティングしたことで、
グラスボールみたいにキラリンしているビニールボール、
小さなお膝にころころと転がしており。

 “どしてかなぁ。”

パパに“そ〜らっ”て投げてもらったボールの方が、
断然ワクワクするはずなのにね。
じっとしてらんないほど、ドキドキしちゃうのにね。
お部屋の中で、全然動かないツイィのボール。
ただ きらりらしてるだけなのに、
ドキドキしちゃうのは どしてだろ?
お手々が伸びかかるのはどしてだろ?
ママがツタさんと飾って、きれいきれいにしたからかなぁ。
ガラスみたいに つゆつゆのボール、
近くで見ゆと、1個1個にカイくんのお顔が映ってて、
他のにも映って いっぱいぱいになるからかなぁ?
りょびんおねちゃんは、

 『凸面座標上の、末広がりの不思議が此処には展開されているのよ?』

ほら、ぐんと近づくと映ったものの裾がどこまでも広がってしまうけれど、
じゃあその端っこはどうなっているのかしらね。
鏡を持って来て裏を見てみても、そこにはまずは鏡が映り込んでしまうから、
肉眼で確認するのは無理な話で。
それは凹面鏡の世界にも言えて、あの乱歩も…

なんてゆ、ママもカイもよく判んない呪文を、
いっぱいぱい教えてくえただけだったし。


  でもね? あのね?
  くいすますは早あく来てほしいカイなのでしたvv




   〜Fine〜  09.12.09.


  *幼子相手に何のお説を展開しとりますか、ロビンさん。(笑)

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