月夜見
 puppy's tail 〜その71
 

 “ごるでんうにぃくvv”
 

  あんね? あんね? おねいさん知ってた?
  今日から“ごるでんうにぃく”ってゆうんだってよ?
  ガッコとか会社とか行ってゆ人、何日もおやしゅみになるんだって。
  カイんチは、パパもママもお家にいつもいゆから、あのね?
  あんまし関係ないねって。
  でもね、外から来ゆ人はいるかもだからね。
  ちらない人に ついてっちゃメェよって。
  カイ、ちらない人ってちらないもん。
  どゆ人が“ちらない人”なの? ねえねえねえ?




     ◇◇◇



これこれ、お客様への無理強いはおよしなさいと。
シャルティになってた るひママが、
お洋服の裾を軽く咥えて引っ張って、
それこそ“メェよ”との教育的指導をしたのだが、
それはさておき。

 「さすがに此処いらでも桜は終わりましたねぇ。」
 「そだねぇ。」

それは愛らしくも高貴な姿、絹糸のような毛並みをふさふさたなびかせ、
手入れのいいこと思わす わんこの姿で、お外を一回りして来たルフィが、
その頭に桜の花びらくっつけており。
それを取ってやりつつというツタさんのお言葉には、
ルフィもうんうんと頷いて見せたし、

 「アスレティック・ジムの回りでも、次はとツツジが咲き始めてたぞ。」
 「あ、そうなんだ。」

今年は箱根でも微妙な気候に振り回されており。
夏間近かと思わすよな陽気の日もありゃ、
台風みたいな大風に荒れた晩もあり。
仔犬さんたちはせいぜい“あうわう”と遠吠えし倒しもしたそうで。
それでも、箱根といえばの大島桜や枝下桜の有名な銘木とか、
それは見事な満開には至ってて。
こちらの皆様も、お弁当提げてのお花見と洒落込んだとか。
例年どおりな部分はそれへの対処も慣れがあるが、

 「今年は何でだか、箱根って旅番組でも結構取材されてるよね。」

  もっとも、
  たいがいは日光とか芦ノ湖とかと一緒くたにされてるけど。

  東京からだと電車一本で近いからじゃね?

  でもさ、今年のGWは“安・近・短”から
  少し脱却とか言ってなかったか?

何でそんなこと知ってんだと、旦那様が眸を見張れば、
今朝のワイドショーで特集してたも〜んと、
もっと小さい子供のようなお返事を返す奥方だったりし。
意味も分からぬまま
“も〜ん”の部分だけを真似っこしたカイくんへは、
ご夫婦そろって あははと笑ったものの、

 「笑ってばかりもいらんないか。」

お出掛けを控えていたお宅は、
少なくとも親戚のお宅への遠出は復活させるかもで。
この何年か、微妙に油断していたご一家だったが、

 「もしかして夏休みと同じノリで、
  小学生とかが親御さんと一緒に来かねないんだ。」

となると、

 「カイに新しいお友達が出来るかなぁ?」
 「おともらし?」

何ですか、そりゃ。(笑)
携帯プレイヤーのイヤホン公害の音漏れでしょうか?

  ………じゃあなくてだな。

 「るふぃ〜〜〜。」
 「ごめん すいません、悪かったって。」

カイくんが真に受けたらどうすんだと、
ゾロパパさんから恨めしげなお声で注意され、
もう一回の仕切り直し。
パパのお膝に抱っこされてた王子様へ、
出来るだけ鹿爪らしいお顔を向けて、

 「あのな? カイ。
  来週は もしかして
  知らない人がいっぱいぱい来るかもしれない。」
 「おともらしに?」
 「いや、そうじゃなくて。」

はややぁ?と小首をかしげる小さな坊やへと、
お外での“変化
(へんげ)”やお茶目は控えるようにとの、
彼らならではな諸注意を授けるお母様の頭越し、

 「…、…?」
 「………♪」

ツタさんとゾロパパが内緒の目配せしてたりし。
だって、GWといや、その最後を飾る子供の日は、
こちらのお宅じゃあ、特に大事な記念日だからね。

 ケーキや御馳走の算段や準備は、既に出来ておりますよ、
 じゃあ、こっちは合同のプレゼントを、と

みんなの大好きな、小さなお母さんへのお誕生日会、
豪勢に開かなきゃとの準備も着々。
行楽には出掛けなくとも、待ち遠しいGWはすぐそこですvv




   〜Fine〜  10.04.29.


  *ちょみっと突貫ぽくてすいません。
   いやぁ、そうだったルフィのお誕生日も間近なんだと、
   やっとこ気づいて、これでも焦っております。
   サンジさんのBDをすっぽかした以上、
   ルフィのはちゃんとこなさないと罰が当たるかもですよね。
   ががが、頑張ります。

bbs-p.gif**


戻る