月夜見
 puppy's tail 〜その80
 

 “雨あめこんこんも、楽しいぉ?”
 

 おねさん、おねさん、こんにちはvv
 雨あめの日が きょおこのごぉ ちゅじゅきましゅねぇ。
 (注;今日このごろ続きますね
    続きます今日このごろ…と言いたかったらしい)

 暑ちゅ暑ちゅだったり 寒さむだったぃして
 およーふくが大変でしゅよね?
 こんなときはね、わんこになればいいんでしゅよ?
 たかたか駆けっこして、
 おふよに入って おひゆねしゅればいんでしゅよ?
 うふふぅvv




    ◇◇◇



降ったり照ったり、暑かったり肌寒かったり。
相変わらずの日替わり天気に振り回されておいでの、
ただの人間たちとは微妙に異なり、

 「あんっ、わんっ!」

真っ白な毛並みに覆われた、
寸の短かな小さな四肢をぴょこぴょこと弾ませ。
そりゃあ軽やかに緑の芝の上を駆け回る小さなウエスティくんは、
今の時期はまだ、
そうそうは不快な目まぐるしさを感じていないようで。
庭木や茂みに近づいては、
随分育ったアジサイの葉の匂いにくしゅんとくしゃみをしたり、
ユズの木の硬い葉っぱの上、微妙にカラフルなアオムシがいたのへ、
鼻先が触れそうになった驚きに びくくっと判りやすくも震えてから、
バッと大仰に飛びのいて警戒態勢を取ってみたりと。
発見あり驚きありの、ある意味、なかなか楽しそうに遊んでおいで。

 「俺らって、あのカッコの時は汗をかく仕組みがないから、
  夏はそりゃあ暑くて大変だけどもさ。」

このっくらいの温度や湿気の変動なら、
さほどいちいち 元気へこたえやしないんだなと。
そう言うこちらさんは、
早くも…タンクトップにわざとローウエストにした短いパンツという、
夏も夏、真夏仕様のあらわな格好になっておいでの童顔なお母様が、
大好きなご亭主に寄り添って
“うふふvv”とすこぶる御機嫌な様子でおいで。

 「とはいっても、雨に打たれたりするのはさすがに寒いんじゃあ…。」
 「何言ってんの。」

俺らの毛並みがどれほど雨風に強いかは、

 「種類は違うけど、
  わざわざそれで人はコート作るくらいなんだから、
  判らない話じゃあないでしょに。」

 「おいおい…。」

この辺の感覚がよく判らんと、
こっそり思うゾロとても。
今日はちょっと蒸すほどのお日和だってのに、
小さくて柔らかな、奥方がすりすりと擦り寄って来るのは、
少しも厭わしいと思わぬらしく。

 「あんっあうんっ!」

一緒に遊ぼと、すぐの傍へ坊やが駆け寄って来るまで、
柔らかいお鼻へそちらのお鼻をつっくけるほどの睦まじさ、
甘く甘く くっつきっこしていたそうなvv

 「あ〜、えっとぉ。///////」

さすがに照れたのがパパならば、

 「よぉし、俺もわんこになるぞっ!」

立ち上がりがてら、タンクトップに手をかけて、
大きく背伸びしながらの、かなぐり脱ぎ捨てつつ、(どんな日本語…)
ふしゅんとその身を縮めたのがママさんで。
わっコラッと、誰かの目に留まってたらと、
パパが焦ったがそこは大丈夫。
人の気配や匂いのみならず、怪しいカメラの稼働音も、
ロビンさんから教わってのこと、
聞き分け嗅ぎ分け出来るようになってるママさんです。
それでも一応はすぐ後ろのリビングに飛び込みながらの変身をし、

 「あうっ、わうっ!」

ふさふさの絹糸のような毛並みも愛らしい、
小型シェルティが ばびゅんと飛び出して来たのへと。
往生際の悪さ見せ、うっすらかかってた雲も晴れての、
芝草がきらきらの緑に光る中、
お元気親子が“ここまでおいで”と鬼ごっこを始めてしまい、

 「あらまあ。」

おやつですよとのお声を掛けそびれたツタさんが、
カステラと枇杷の実、トレイに載せたまま、
それは微笑ましげに笑っておいで…。





   〜Fine〜  11.06.07.


  *ウチの庭先では今、ドクダミが一番元気です。
   次がアジサイなんですが、
   やたらと威勢よく葉っぱがついての、
   三畳間ほども幅取って育つ割に、
   花はハンドボールくらい大きいのが1つか2つしか咲かない、
   何とも燃費の悪い株です。
   それでも、毎年きれいなので、咲くのが待ち遠しい限りです。

めーるふぉーむvv ご感想はこちらvv

bbs-p.gif**


戻る