“かけっこは得意vv”
　

おねさん、こにちわ。
毎日しゃむいですね。風邪とかひーてましぇんか？
ましぇん？　そりはよかったです、うん。
あのね？　前の月からいっぱいぱい、
おにさんや おねさんが走ってるテェビがいっぱいぱいで、
カイもママもごきげんさんですvv
でもね、一ちゅだけ文句をゆえば、
もっと横からばっか映してくえたらいいのにねって。
ママと一緒に、ずゅいずゅいって言ってましゅ。
でも、何でこんな寒い寒いときにばっか、走るのかなぁ？




　　　　　　◇◇◇


日本は随分と狭い島国だが、
それでも徒歩で網羅するとなれば大変な大事業。
地図の測量をやってのけた学者さんの伝記が
映画になったこともありましたよね。
えっと…何て人だったかな？（おいおい）
とはいえ、アメリカほども果てしない訳じゃなし、
よほど峻高な山頂や絶海の孤島でもないかぎり、
本州に限れば、そこへ至る手立てもあって。
今時に早馬や飛脚の時代でもあるまいと簡単に思うなかれ、
電波での通信もまずはの中継塔が要る。
それをおっ立てる作業がこなせたほどには、
人がその足で実際に踏み込んでいたワケで。

　「駅伝ていうのは、馬であれ飛脚でであれ、
　　とんでもなく遠くまでの手紙や為替を
　　人が何人も引き継いで届けた事業の名残りだしな。」

　「そいで、あんなマラソンばりの長距離のリレーなんだな。」
　「ばぃばぃ。」

さよならバイバイではなく、
ばりの“り”を言い切れなくての“ばぃばぃ”、
つまりは“ばりばり”と言ってるつもりらしいカイくんも、
勿論のこと ルフィママも、
二人そろって駆けっこは大好きなので。
意外や意外、
この時期のマラソン中継は
ほとんどを欠かさず見入っておいで。
ただ、モノローグの部分でカイくんが零していたように、
選手の正面からではなくて、
駆けてる真横からという映像が少ないのがちょっとご不満。

　「何でだ？」
　「だって、その方が画面が勢い良く流れて、
　　一緒に走ってるみたいな気分になるじゃん。」
　「じゃん♪」

今日も京都での女子駅伝があったのを観戦していたご一家で。
次々にゴールするお姉さんたちへ
無邪気にも“きゃうvv”とはしゃぐ坊やをお膝に抱きかかえ、
コーデュロイのスモックに、フリースのパンツという
温っかそうな恰好のルフィがそんな言いようをしたものの、

　「う〜ん。だがなあ。」

こちらは、ちょいとルーズなセーターに
動きやすげなカーゴパンツといういで立ちのゾロパパが、
そうは言うけれどと ちょっとばかり渋面を作り、

　「そういう画面ばっかだと、
　　観てる人の中に酔う人が出るかも知れんしな。」

木洩れ陽の映像を観続けるとか、
フラッシュの点滅が激しい画面を以下同文で、
体調を崩す人が出るというのが明らかになって
もう随分になりますものねぇ。

　「それと、
　　画面の中に収まる人の数も
　　限られてしまいますものねぇ。」

　「？　そうなの？」

ミルクティーを淹れて来て下さったツタさんのご意見は、
出ている人 一人一人への応援団の心情を酌んだもの。
少しでも多くの人の姿をフレームの中に入れんとしたいならば、
正面少し斜め前から、引きながら映すのが一番で。

　「出ている選手の数だけ、それはたくさんの応援団がいますもの。
　　少しでもたくさんの選手を映してくれなきゃ不公平ですからね。」

雪国だったり遠かったり、
競技場や沿道へそう簡単には出て来られないご家族もあろうから。
せっかく中継するなら、満遍なく映すのが基本でしょうと、
あくまでも人の姿をという主張をなさるのへ。
あ・そっかと、今頃気づいて
“いっけない、てへvv”と微笑う無邪気なお母様を見上げ。

　「あ・しょーかvv」

そちらも“てへvv”をやって見せる小さな坊やへ、

　「うっ、何て可愛いんだウチの子は。」
　「そりゃあ、俺に激似だからなvv」

ちょっぴり小首を傾げつつ、
ルフィさんが“なー？”と坊やとお顔を見合わせれば。
カイくんの側も心得たもので、
やっぱり“ねーvv”と無邪気に小首を傾げてお揃いのポーズ。
カイくんはママとは色違いのスモックを
ワンピースのよに長々と羽織っていて。
瓜二つの愛らしいお顔同士が、
楽しい密約でも交わすかのよに
向かい合っての“ねー？ねーvv”と小首を傾け合っているのが、
何とも愛くるしいやら微笑ましいやら。
お外は厳寒の真冬の本番ですが、
こちらのお宅では一足先に春が来ているようなもの。
今年も仲良く、ほっかほかでお過ごしになること請け合いと、
マントルピースの上に飾られたガーベラの造花が、
春色を前倒しで告げていた昼下がりでした。






　　　　　〜Ｆｉｎｅ〜　　14.01.12.

　　＊そういや箱根在住です、こちらの方々。
　　　駅伝の賑やかさ、わざわざ沿道まで見に行かずとも
　　　体感はなさってるんじゃないのかな？
　　　ヘリとかバンバン飛んでそうですしね。
　　　（一昨年の神戸マラソンのコースが入院中の病院の近所だったんで、
　　　　ヘリもそうだし、結構な空気感があったもんでvv）

めーるふぉーむvv

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