“寒いけど ホカホカにvv”
　

おねさん、こんにちはvv
寒い寒いだたり、ホカホカだたり、
朝だけ寒いだたり、ずっと寒いだたり、
なんかし、バラバラなまいんち（毎日）でしゅねェ？
そいでかし、
パパは いっぱいぱい着なちゃい言うし、
ママは あちぃからヤー言うし。
どっちが イと思いましゅか？




　　　　　　◇◇◇


ゾロパパからの“いっぱい着込め”というのは、
どうやら海（カイ）くんへだけのお言葉でもないようですね。
というか、わざわざ言い聞かすということは、
ルフィさんへの窘めであるようですが、

　「そうは言うけど、体を動かしてるとすぐ暑くなるんだもん。」

朝も早よからお散歩にとご町内を一周して来ての
汗かいたからというお風呂上がりの会話ならしく。
ごっそり着ていると尚のこと汗をかくだろーがと。
あくまでも間違ったことは言ってないぞと、
Ｔシャツに大きめぶかぶかのドルマン袖カーデを羽織り、
足元は七分丈パンツという、
ちょっと先取りファッションがお気に入りらしいルフィさんとの、
軽い追っかけっこを始めているのを、
ちょっとした背景に眺めつつ、

　「さぁさ、坊っちゃまはご飯ですよ。」
　「あいvv」

玉子サンドに、プリンみたいに とろんとろんのフレンチトースト。
レタスとハツカダイコンとプチトマトのサラダに、
コーンのスープか 大根の千六本のお味噌汁と、
いちごジャムかオレンジのママレードを垂らしたヨーグルト。
ツタさん特製のカリカリカラメルも掛かってるフレンチトーストは、
あれがいいってお願いしたらば、
大きめ、薄いアメちゃんみたいなカラメルを作ってくれて。
やや覚束ぬ手つきながらも、小さなお口へ自分で運び、
それは嬉しそうな満面の笑みにて カリリといい音立てて齧っていたらば。
そこはおさすが、わんこでもあるルフィさん。
リビングの端から端まで使って
“こっちだこっちだ・や〜い”という追いかけっこの最中だったものが。
ぴたりっと身動きすべてを立ち止まらせると、

　「あっ、俺もカラメルのアメ欲しいっ！」
　「はい、作りますねvv」
　「あ、こら。話はまだ…。」

終わってないぞと言い掛かるパパの口許へ、
テーブルの上から何かをひょいと摘まんで振り返る。
玉子サンドを作って出たのだろ、
パンの耳を揚げたのへ砂糖をまぶしたのをほれと突き出し、

　「朝ご飯は大事なんだぞ？　しっかり食べないと。」
　「う…、おお。」

カイくんが間近で“わあvv”と見ているとあって
やや鼻白んでしまったゾロだったものの。
言ってることは正論だったその上、
実は以前にゾロ自身が言ったことのある言い回し。
なので、邪険になるワケにもいかず、
思わぬ間合いで
“はい・あ〜んvv”をさせられてしまったパパだったりし。
口にものを入れた時点で、
立ってるのはお行儀悪いぞとされるため、
渋々ながら“お食事開始”と相成って、
お説教だったのか、意見の主張だったのか、
どっちとも言えない“言い合いっこ”もここでお預け。

　ツタさんのフレンチトースト、サイコーvv
　ちゃいこーvv
　ありがとうございます。
　ああほら、口の周りにいっぱい垂れてるぞ。
　うやうやや、パパ取って。
　おお♪

あっと言う間に団欒の図が出来上がるところは、
いつも通りの調子でもあったが、

　「……あー、ツタさん。
　　今日は出来るだけ急いで帰って来るので、あの…ですね。」

今日はジムへの出勤だったパパさん。
食休めをしてから背広モードにお着替えし、
ネクタイを結んでいただきつつ、
こっそりこっそり何かしらを仄めかせば。
まま、今日は14日ですしねと、そこはツタさんも抜かりがなくて。

　「判りました。デザートはお任せしてよろしいのですね？」
　「ええはい、夕食に間に合うかどうかが微妙なもんで。」

春休みであり、シーズン前でもあるせいか、
この時期は予約が多数入っているらしく、
しかも週末とあって、今日はダブルかトリプルか。
まさか、家族サービスがありますのでと断る訳にもいかない話で。

　　でもでも、
　　バレンタインデーに手型のチョコ(大小)を貰ったお返し、
　　おいしいと評判の
　　特製チョコケーキは予約してあるのだとか。

なので、少しほど遅いめに食べ始め、
デザートも待っててねというお願いへ
よござんすと応じてくださった、頼もしいお母様。
今日はちょみっと寒い日になりそうだけど、
晩にはホカホカな団欒が待ってるご一家。
明日からの春めきを前に、
温ったかいホワイトデーを過ごしてくださいましね？







　　　　　〜Ｆｉｎｅ〜　　14.03.14.

　　＊ホワイトデーですが、
　　　何ですか、今日までは寒波が居座るそうで。
　　　もしかして妬いてるのか？　冬将軍。（笑）

めーるふぉーむvv

＊＊