月夜見
 puppy's tail 〜その103
 

 “ままの日が2回vv”
 

おねさん、おししゃしぶりでしゅね、こにちはvv
やっぱしアツいついだたり、サムいむいだたりしてますが、
元気してましゅか?
もーりんさんみたに、お風邪こんこ引いてましぇんか?
そですか、だいじょぶなら よしでしゅ。
お風邪なら、こんなの読んでないでネンネでしゅ。(おいおい)
カイ? カイは元気でしゅよ?
ママもパパも、ちゅたさんも、皆みんな元気してましゅ。
どーだ、まいったかっ。





     ◇◇◇



一部、お子様ゆえの意味不明な言動がありましたことを、
当人に代わりお詫び致します。(苦笑)

箱根の旧別邸集合区画の一角、
今は穏やかに定住なさっておいでの方々がお住まいの住宅街にて、
それは伸び伸びと日々を過ごしている、
微妙に平均年齢を下げる若さで満ち満ちてもおいでのご一家が、
こちらロロノアさんチの皆様で。
腕白な坊や、いやさ男の子がはしゃぐ声と、
それを後追いするよなもっと幼いお声がしたかと思や、
元気溌剌なわんこの吠える声が大小で聞こえもし。
それは優雅な毛並みをふさふさりと揺らしたシェルティさんが、
ご主人様にリードを任せて出て来るときもあれば、
いかにもすばしっこい純白のウェスティくんが、
若々しい学生風の少年と一緒に駆け出して来るときもありで。
それは賑やか、それは闊達に生き生きと、
マイペースの毎日を過ごしておいで、ではあるが。

 「まぁまvv」

寸の足らないあんよを とてちてと振り出し繰り出し、
お昼寝していた子供部屋からリビングへやって来た小さな王子。
まとまりの悪い、だが軽やかで良いつやの黒い髪を弾ませて、
ぴょこたんと跳びはね、えいやと飛びついたのは、
お行儀悪くもソファーにごろんと寝転んでいた、坊やとそっくりのルフィママ。

 「おう、おっきしたかvv」

背中に乗っかった小亀ごと、むっくり身を起こして見せれば、
あやあやと転がりかかるおちびさんだが。
そこは自然児、反射や膂力も案外お持ちで、

 「びっくりましゅた。」
 「そか、すまんすまん。」

はっしとシャツを掴んでぶら下がったのへ、
それ以上は落とさぬよう、
立ち上がり切らず、座面からも離れずにいてあげるのが、
こちらも野生児なママなりの心遣い。
今日は連休中とあって、
ゾロパパも毎度の例に漏れず、スポーツクラブへのお勤めにお出掛け中で。
世間様が行楽だと賑わう時ほど忙しいのだから困ったものだが、

 『それ以外の日は ほぼ好きにしていいんだから、
  まあ贅沢を言ってちゃ いかんわな。』

案外と子供っぽく見えるルフィさんの方が達観しており、

 『なので、思う存分鍛えてやって来いな。』
 『な。』

愛しいとこまでそっくりな二人の、お揃いのお顔二つに見送られ、
すごすごと出勤してゆくパパの、
日頃はあんなにごっついのが、何とも頼りない、もとえ、力ない背中よ。

 「今日は早くに帰って来るって言ってたけどな。」

窓の外には日頃は無いポールが見えて。
その上には、結構立派なこいのぼりが
吹き流しつきで悠然と五月の空を泳いでおいで。
箱根はまだそれほどではないけれど、
下界は時々蒸し暑いほどともなるそうなので、

 “さぞかし美味そうな蒸し焼きの鯉だらけになってんだろうなぁ。”

もしもし、お母様?
風にはためくこいのぼりを
そうまで食用へ直結させる人は滅多にいないと思いますが。

 「マァマ、おしゃんぽ、しゃんぽvv」

お庭に気をとられておれば、
小さなお手々がシャツをつんつんと引っ張って、
お出掛けお出掛けと、
帽子まで手にしている小さな坊やがお誘いをかけるので。

 「そっか、うん。」

じゃあその辺を歩いて来ようか、と。
ママもお揃いの帽子をローテーブルの下から引っ張り出すと、
小さなボクの手を取り玄関へ。

 「ツタさん、ちょっと出掛けて来るよ。」

何か買い物とかある?と聞けば、
ああいえいえ、大丈夫ですよと言いつつも。
スリッパをすたすたと静かに鳴らしてお見送りに来てくれて。
小さな坊やが くっくを履くのを手伝いつつ、
お気をつけてと玄関先まで見送って下さって。

 そういや今朝は地震があったねぇ
 うや? じちん?
 そだよ、カイは気がつかなかったみたいだけど。

そうと言いつつも、実はルフィさんも自分では気がつかなんだ。
まずはゾロが気づいて、だが、ここいらは大きな揺れでもなかったので、
一応はスマホで情報を一通り検索してから、
そのまま二度寝しちゃったほど、筋金入りの豪傑一家であり。

 「本当に危ない地震じゃなかったから、
  目が覚めなかっただけだもんねぇ。」
 「ねぇ。」

どこまで通じているものなやら、
そんな微妙な会話をしつつ、表の生活道路へと出て、
そのまま公園までの道を進み始める二人だが、

 『パパが早いめに帰っておいて、ママをびっくりさせるから。』

お昼寝が済んだら、
ツタさんが“お散歩に行ってらっしゃい”って言うのへ
良い子のお返事して、ママとお出掛けすんだぞ、よしか?と。
お庭で鬼ごっこしてる真似しつつ、相談したのが昨日のことで。

 だって5月は、あのね?
 ルフィママを大切にする日が2つもあるからねvv

他の日だって毎日、ママは大切なんだけど。
まずはの今日は、こいのぼりが目印の、ままのお誕生日だから。
次のママの日、カーネイションの日をうっかり忘れちゃうほどに、
ママをいっぱいぱい喜ばせるのが皆の目標。
ツタさんは、今評判のパンケーキの特別シロップをサンジさんから教わってて、
勿論のお肉料理やバースデイケーキとは別に、特別なスィーツとして焼く予定。
パパさんはそんな御馳走に使う、
特別のお肉の塊を専門店で仕入れて運び込むのがお役目で。
ママへのプレゼントは、
カイくんと二人で型抜きしたのをツタさんに焼いてもらって、
皆で砂糖のアイシングクリームでくっつけて組み立てた、
クッキー製の このお家のミニチュアだ。

  パパが帰って来たら、何して遊ぶ?
  うっとねぇ、鬼ごっこvv
  カイはそれ好きだなぁ。

ほのぼの、のほのほ、
何も知らないお母さんの手を引き引き、
公園までのオトリを努める小さな坊やが、
今年は大活躍のお誕生日になりそうですよvv


  
HAPPY BIRTHDAY! TO LUFFY!




      〜Fine〜  14.05.06.


  *毎年恒例と化しつつある、
   四月かGWに風邪を拾ってしまう病が、
   今年も勃発しております。
   日にち的には“ゴムの日”のアップになって申し訳ございません。
   でもまあ、五月中は“ルフィ誕”月間ということで♪

めーるふぉーむvv ご感想はこちらvv

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