月夜見

    冬尽春隣  "蒼夏の螺旋"より

 
          




 買い置きの食材やら調理用の調味料の入れ物などが、あちこちの棚や調理台の隅に適当に散らかりつつも、食器や道具類はきっちり片付いている。毎日きちんと主
あるじが磨いていてステンレスはピカピカつやつや、棚やテーブルにも埃ひとつ油染みひとつない、陽当たりのいい、清潔で明るいキッチンにて、
「ん〜〜〜〜。っかしいなぁ。」
 小さなティースプーンで、フライパンの隅、少しばかり出るスープを掬ってお味見をして。だがだが、何かしら足りない気がしてしようがない。前々からもいつも気になってた。それなりの味にはなるのだが、自分の記憶しているこのメニューの味は、もう一つというか"もう一枚"ほど、ベールのような仄かで微妙な加減で…何かの風味が加えられていたような。
「? どした?」
 1枚布のシンプルなエプロン姿にて、コンロの前でうんうんと何やら唸っている若妻に気づいて。トレーナーの上下という、何とも気を抜き倒した恰好の旦那様がその肩口からひょいっと顔を出す。そのまま、背後から腕を回して"きゅうっ"と抱き締めてきたのは、お腹が減ったからではなく、キッチンから戻って来ない奥方だったのが詰まらなくてのことだろう。
「あ、こら。火ぃ使ってるから危ないってば。」
 手際良くあおりながら振っていたフライパンを五徳
ごとくへと戻すと、甘えたなことをするご亭主を窘めるルフィだが、
「くく…vv それ、俺がさんざん言ってた台詞なのにな。」
 苦笑混じりにそんなことを言い出すゾロだったものだから、
「そうだっけ?」
 あれれと小首を傾げる若奥さん。そういえば、当初はずっとゾロがご飯を作ってなかったかと、自分でも思い出して"ああ"と納得顔になる。
「だったら尚のこと。危ないって分かってる筈だろ? もうちょっとで出来るから。座って待ってて。」
「はいはい。」
 一丁前な言いようをするルフィに逆らわず、素直に手を引き、再び居間の方へと戻ってゆく大きな背中を見送って。色違いでお揃いの、こちらもトレーナースーツという…実はパジャマ姿のまんまでキッチンに立っていた若妻は、
「…う〜ん、ま・いっかな?」
 配膳台の上、用意した大きめのパスタ皿へほかほかと湯気の立つ完成品を盛りつけ始める。副菜はツナサラダとオニオンスープ。それと、ホウレン草のゴマ和え。
"グリーンサラダにした方が良かったかな?"
 ちょっとカロリーが高いめかもなと、点数の辛い評価がつい出る辺り。なかなか理想の高い奥様であるらしい。



 今日は日曜で、ゾロが昼も居る。昨夜の天気予報で"この冬一番の寒さになる"と聞いていたので、特に外出する予定も立てなかったため、せめて。だからこそのちょっと奮発…というのも大仰だが、きちんとした昼食を作ったルフィである。自分だけなら"作り甲斐がないから…"と、昨夜や朝の残りものとお漬物だけとか、もっとずぼらしてついつい菓子パンとかカップめんで済ますこともあるほどで。
『小さい頃はさ、大きくなって何でも作れるようになったら、大好物ばっかり作ってお腹一杯食べたいななんて思ってたんだけどもね。』
 不思議だよね、自分しか食べる人がいないってなると、面倒だから何にもしないってこと、選んじゃうんだもんね。そんな風に言って旦那様に苦笑をさせた幼妻。自分がこんなにお料理が得意になったのも、全てはゾロに喜んでもらいたいがため。だからこそ、一番美味しいお味で食べてほしいのだが…。
「ん。美味い。」
 にこにこと嬉しそうに堪能してくれる様子に過剰なお世辞がないのも分かっている。けれど、でも…。
「ん〜〜〜。」
「どうしたよ、さっきから。」
 眉をハの字に何だか考え込んでいるルフィであり、もぐもぐと味わっては目線を斜
はすにして唸るところをみると、その原因は自作のこの料理にあるらしい。
「何か失敗したのか?」
 そんな風には思えないがと怪訝そうな顔でフォークを進めるゾロへ、
「う…ん、失敗って訳じゃあない。でもね、何かな、何かが足りてない気がする。」
「そうなのか?」
 今日のメニューはカルボナーラ。生クリームと塩こしょう、卵黄を熱しながら手早く混ぜてパスタにからめるという、シンプルだからこそ手際の良さが要求されるお料理で。ルフィが作るそれにはベーコンと椎茸も加わる、コクのあるスペシャル Ver.だ。
「こないだ商談の関係で外に出てた時にさ、評判だっていう専門店で食ったけど、ルフィのこっちの方が数倍美味かったぞ?」
「ホント?」
 ウソなんてつきませんよと、にんまり笑う旦那様には、ルフィも何とか考え込むのはやめたらしい。うふふんと笑ってフォークの動きも早くなり、
「お代わりあるぞ? あ、ツナサラダも食べないとダメだぞ?」
「ああ。」
 小さな子供が懸命に親代わりの世話を焼こうとしているかのような。そんな微笑ましい様子へ、旦那様は…お料理以上に美味しいものを頬張ったかのような、たいそう嬉しそうな顔をして見せたのであった。



            ◇



 昔風の言い方で所謂"ベッドタウン"というのだろうか。JR沿線の小さな新興住宅街…に差しかかる、ちょいと手前辺りの小さなマンション。そこに住居を構えているのがこの若夫婦で。表向きは"従兄弟同士の同居"ということになっているが、いや…本当にそうなんですがね。
(笑)ご本人同士はもうもう目も当てらんないくらいの熱愛関係にあり、事情があって"見た目は中学生"の小さなお元気な奥方がルフィ、大きなのっぽの商社マン、頼もしい旦那様がゾロという。奥方の方の"事情"というのが大きに影響しての同居ではあるが、それがなくてもお互いのことを憎からず想っていた彼らであり、それはそれはドラマティックな再会をして…早や1年と半年。それでもまだまだ、新婚気分は抜けてはいないご様子である。
「今夜は何作ろっかなぁ♪」
 食器を洗って片付けて、さてと居間に戻りがてら、据え置き電話の傍らに置いているメモ用紙の束を手にソファーに腰掛けたルフィではあったが、
「まだ"何が食べたい"って気分じゃないか。」
 隣りの椅子から立って来て、わざわざすぐ傍らへと座り直した旦那様のお顔を見上げて"くすすvv"と微笑う。確かに、ついさっき美味しいお昼を堪能したばかり。舌もお腹も充足し切っているから、
「そうだな。まだちょっとな。」
 頷きつつ苦笑しながら腕を回して来て、ぎゅううっと小さな奥方を抱きすくめる。今日はいやに甘えてくるご亭主で、
"うう…。やっぱ、パジャマのままってのが良くないんだろうな。"
 ルフィの側も甘えるのは大好きだが、ちょっと気を抜くと軽々と抱え上げられて、そのまま寝室まで攫われてしまうから…昼間っからそこまで至るのはちょっとどうかと。(おやおや /////)そこはやはり、ちょっぴり恥じらいが出る。日頃お互いにそれぞれで忙しく日を過ごし、朝と晩にしか一緒にいられないのが何とも歯痒いのは二人とも同じなのだし、好かれていればこそのこと、本音を言えば"嬉しい"のだが、
「ゾ〜ロ、ダメだってば。…まだ昼間だよ?」
 大きな手にがっしり捕まえられて、首元に鼻先をくっつけられて。深い懐ろの中、冴えた男臭さとでもいうのだろうか…実はこっそり大好きな匂いの中にくるまれて、くすぐったいようと身をよじる。
"今週は残業多かったしなぁ。"
 それを"寂しいよう"とルフィが愚図らなくなったその代わりのように、不意に思い出したような…という唐突さで、いきなりやたら甘えたがり触りたがる旦那様なものだから。大きくて力も強い相手に易々と翻弄されてしまうこともしばしばな、小さな小さな奥様としては、
"なんか、でっかいゴールデン・レトリバーか何か飼ってるみたいだな。"
 レトリバーって…そんな人懐っこい犬種ですか?
(笑)せめてシェパードとかハスキーとか、もちっと恐持てのする種類を想起してやんなさいな。
「ダ〜メって。なあ、ゾロってば…。」
 …恐持て…してないか、このシリーズのゾロさんだけは。
(笑)











          



 ゾロと暮らすようになって一年と半年。それより前は。ずっとずっと、7年もの間のずっと。それはそれは優しいお兄さんと一緒にいた。蜂蜜色の金髪に、宝石の中へ深色を封じ込めたような水色の瞳。色白で背が高くて、すらっと細身だったのにいざという時には喧嘩も強くて、とっても頼もしくて。何でも知ってて仕草がカッコよくて、とっても器用で。そいでそいで、良い匂いがしてお料理が得意で、ルフィには特に優しくて。とってもとっても大好きだった。……………でもね、好きって想いはね、過ぎると別な想いを運んで来るんだ。それを知ったのも、そのお兄さんと一緒にいた頃だった。



 朝と夜が引っ繰り返るほどまで不規則な訳ではなかったが、それでも…決まった時間に起きて支度して、学校なり会社なりに遅刻せぬよう出掛けねばならないという生活は送っていなかったから。一応は保護者殿が無茶や羽目外しには注意してくれていたものの、ついつい夜更かしをした翌朝なぞは、どうしても陽が高くなるまで眸が覚めなかったりもして。
"…あや?"
 部屋の中が随分と明るいことに気づくまで、何だか"ぼや〜"としていたが、
"…あやや?"
 シーツを髪の端で叩くみたいにして、ぱたぱた鳴らして左右を見回す。まだ早い時間帯なら、起こさないようにと構えてくれるサンジだから、厚い方のカーテンが開けられてあるということは、これはかなりのお寝坊さんをした自分らしいと判るのだが。お隣りのベッドは真っ平らで、カバーもぴしっと、まるでアイロンを当てたんじゃなかろうかと思えるくらいにきっちり掛かっている。それとはまるで正反対に、毛布や羽毛の掛け布団やら、乱れるだけ乱したふかふかの海の中から身を起こし、
「…サンジぃ。」
 正座を崩したぺたんとした座り方、肩を落とした力ない格好にて、ふやふやなお声で呼んでみたが、
「………。」
 返って来る声や気配はない。ここはホテルじゃあない。数日ほど前に着いたばかりの、短期間滞在向きの所謂"コンドミニアム"というタイプのマンションで、しばらくは此処で腰を落ち着けようということになっている。仕事の方でも直接出掛けたり出向いたりする予定もないしと、そんな風に言ってたサンジだったのに、
「サンジ?」
 ぺたんと。ベッドから足を降ろすとフローリングの冷たい感触。冷やってしたけど構わずに、スリッパを探すのももどかしく、裸足にパジャマのままという恰好で、足元に見えていたドアに飛びつく。
「サンジ。」
 廊下の向こう、ドアのないフロアは、まだ使いようを決めていない がらんとした空間で、そこへと続いているリビングにも求める人の姿はない。

   『ほら。起きたんなら顔洗って来い。』

 小さい子供じゃなかろうがとか何とか言いつつも、やわらかく笑ってくれるのに。洗面所まで来てくれて、袖をめくらないかとか、タオルは此処だからなとか世話を焼いてくれるのに。
「………。」
 ぺたぺたと素足を鳴らして次に向かったのは、家財道具がまだ殆ど揃っていないせいで、こちらもやはりがらんとしたキッチン・ダイニング。生成りに白い壁や胡桃色のテーブルを明るく照らす、窓からの陽射しの中には、だが、誰もいないから。
「………。」
 何だか心細くなった。まだ夢の中にいるのかな。こんな夢は嫌だなぁ。サンジ、いつも居るのに。なんで? なんで? どこ行ったの? まさか何かあったのかな。そういう時は此処に電話して伝言を聞きなさいって言われてるとこがあったけど…何か怖いな。ホントに何かあったんならどうしよう。

   「サンジぃ…。」

 なんか、なんか。鼻の奥がツンてして来た。一人はいやだ。ただでさえ皆に置いてかれてるのに。お家にも帰れなくて、大好きだった人たちにも逢えなくなって。そんなな上にサンジまでいないと、この世に一人しかいないみたいで凄く嫌だ。すっかり冷たくなった足に気づいて、ぺたぺたと寝室に戻る。ベッドの下に片っぽがもぐり込んでたスリッパ。サンジが選んでくれた、赤みがかった茶色のふかふかムートンのだ。でも、履いてみても暖ったかくならない。窓際の椅子の背にかけてあったカーディガンに気がついて、パジャマの上から羽織ってみる。仄かに。甘くてちょっと癖のある香料の匂い。バニラとかブーケガルニとか、お菓子とお料理と両方の、甘いのと辛いのとすっとするのとが良い方へ混ざった香料の匂いがして。でもね、温かくないからやっぱり違う。ベッドの上に寝転んで。でもね、体が自然に丸く丸く小さくなる。

   「…さんじ………。」

 どうしよう、どうしようって。怖くて怖くて。胸の奥が、喉の奥が、きゅってなって苦しい。口の中が苦くなって酸っぱくなってカラカラで。羽織ったカーディガンの前立てのところ、ぎゅうって掻き合わせて。自分で自分を抱き締める。怖いよう、寒いよう。何だか苦しい。どうしたら良い…? もうもう我慢出来なくなって。涙が出て来そうになったその時だ。


     ――― …っ!


 表からのドアが開く音がした。がさがさという音とともに響くのは、こつこつという小気味のいい調子の革靴の音。

   「…っ。」

 がばっと顔を上げて身を起こし、ばたばたばたって駆けてゆくと、
「よっ、起きてたか。」
 何事も無かった顔をして。いつもの平生の顔をして。金色の髪を陽射しに温めた彼がいる。嵌め殺しになった窓の傍ら、ちょうど斜めに射し込むやわらかな午前の光のスポットライトの中にいて、両腕にはクラフト紙の大きな袋を二つほど抱えた、いつもと何ら変わりない彼がいる。

   「ルフィ?」

 濃色のシャツに浅い色のジャケットという軽装。お買い物に行ってただけなんだと、その恰好ですぐに判った。家財道具だけじゃあない、食器だとかフライパンだとか洗剤だとかも揃ってないし、冷蔵庫も空っぽみたいなもんだったし。そいですぐに要るものを買いに行ってたサンジだったらしいって、それは判ったんだけれども。
「どうした、今起きたところか?」
 口の端に煙草を咥わえたまま、にかって笑ってキッチンへと向かう。長い脚、しゅっとした背中。
「………。」
 それを無言で追っかける。
「………。」
 冷蔵庫へと食品を詰める間も、
「………。」
 洗剤やらトイレットペーパーなぞを棚に並べる間も、
「………。」
 ずっとずっと後をついて回っては、
「………。」
 傍らでじっと待っている。
"…やれやれ。"
 しょうがないなあと、サイドボードの引き出しから小さなペンチ型の鋏を取り出し、居間の出窓の縁に腰掛けると、
「おいで。」
 自分の腿辺りをペンペンと叩いて見せる。途端に、
「…っvv」
 どうかすると拗ねたまんま、今にも泣き出しそうでもあったお顔がぱあっとほころんで。そのまま"ぱたぱた"っと寄って来て、あっと言う間に前からお膝へ乗り上がって来る。
「おいおい。こっち向いちまうと…。」
 手にしていた"爪きり"を見せようとするのだが、ふりふりとかぶりを振って、
「…や。」
 脇から肩から回した腕で、懸命な様子でぎゅううっと抱き着かれては。
「ルフィ…。」
 これまた"やれやれ"と。お返事のない坊やの猫っ毛の載った頭に鼻の先を埋めて、こちらからも抱き締め返してやるよりないサンジだったりしたのである。



            ◇

    『なあ、ルフィ。』
    『………。』
    『どうしたよ? お留守番とか、ちゃんと出来てたろうが。』
    『…だってさ。』
    『んん?』
    『何にも言ってかなかったじゃんか。』
    『メモ、見なかったか?』
    『そんなの無かったもん。』(※後でテーブルの下に飛んでいたと判明。)
    『…携帯の番号とか教えてあるだろ?』
    『そいでもさ、なんか、ヤだったもん。』
    『イヤ?』
    『怖かったんだも…ん。』
    『怖かった?』
    『うん。…置いてかれたって………思ったんだもん。』
    『………ルフィ。』
    『怖いのは、もう、ヤだ…。』






"………。"
 思い起こせばあの頃は。存分に甘やかされてばかりいたと思う。見かけがいくら子供のままでも、7年も経てば多少は"慣れ"というものが身につくというもの。英会話もマスターしたし、飛行機のチケットの取り方も、国境をまたぐ旅での"彼らなりの段取り"も覚えた。ホテルやレストランでのマナーも、アイロンの掛け方もサンジからきちんと教わった。そうやって確かに、生活上のあれやこれやには達者にもなったが、それでも。刷り込みの抜けないひな鳥のように、サンジの姿がないと落ち着けず、それはそれは心細くなった。

   『俺が犯した罪はな、お前を独りぼっちにしたことだ。』

 時々サンジはそんなことを言っていた。一人でも生きてけるようにと様々なことを教えながら、その傍らで。無性に寂しくなっては愚図る自分へ、ずっとずっと一緒にいるからと、繰り返し繰り返しそれは根気よく囁き続けてくれた、やさしかったサンジ。望めばいつだってぎゅって抱っこしてくれたし、添い寝だってしてくれた。何よりも誰よりも…自分自身よりも優先してくれた。だのに…本当に不意に不安になっては、泣き出しそうになって。まるで確かめるみたいに、
『どっこも行かない? ずっと一緒?』
 いつもいつもサンジに訊いていたと思う。さすがに、自分が泣くのはそのまま彼を苦しめることだからと気づいてからは、何とか頑張って我慢出来るようにもなったが、
"………7年かかっても抜けなかったのにな。"
 一人でなんていられなかった、それはそれは寂しがり屋だった自分だったのになと思いつつ、
「…ん、もうっ。」
 ぺちっと。胸板の前で抱え込みのままになってる大きな手の甲を、軽く叩いたルフィである。結局…じっくり堪能なさったご亭主は、くうくうと安らかに午睡の旅へ。
「ぞ〜ろ。」
 せめて離してくんないかなと、アイロン掛けたいし夕ごはんの下ごしらえも始めたいのにと、肩越しに様子を伺えば、
「……………。」
 気持ちのいい寝息が聞こえてくるばかり。残業続きで疲れてもいたのだろうなと、それはルフィにも重々判る。だのに…自分のことも欲しかったから。眠いけどご飯も食べたい幼子みたいに、らしくなく しゃにむに甘えかかってきたゾロなのだろうと、そうと思うと、
"…ま・いっかvv"
 何だか頬が緩んでしまうから正直なもの。随分と逞しくなった坊やは、母性にも似た優しい想いに胸の底からほこほこと温もりつつ、大好きな匂いにくるまって自分も午睡の中へと身をゆだねることにした。………おやすみなさいvv







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    「ベ〜ルちゃん。
     このお兄ちゃんが"ルフィ"っていうお兄さんだよ。
     そっちの怖い怖いお顔のお兄さんよりも、ずっと可愛くてずっと優しいんだよ〜?」

    「………サンジくん。そういう教育はよくないと思うのだけれど。」





   〜Fine〜  03.2.2.〜2.6.



   *カウンター66666hit リクエスト
     みか様 『"蒼夏の螺旋"の設定にて、
           サンジとルフィが二人で暮らしていた頃のお話。』


   *甘いです。
    まるで何かを取り戻すかのように
    ベッタベタに甘い話になってしまいました。
(笑)
    ウチはサンジスキー様にもご贔屓にしていただいておりますが、
    こういう話が多いからなんでしょうね。
    今回はいかがだったでしょうか?


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