ロロノア家の人々
     “お久し振りに…” おまけ

    *R−12でございます。
     中学生以上のレイディじゃない人は、読んじゃダメですよんvv

 
 中学校主催の二泊三日の修学旅行。大町というちょこっと遠い都会の町へ、宿泊学習にと出掛けた坊やとお嬢ちゃんであり。大切な大切な子供たちが、彼らだけで泊まりがけの外出、旅に出たのは、ロロノアさんチの短い歴史の中、思えば初めてのことではなかったか。中学生になった今の今まで、二人ともが揃って甘えただったこともある。だが、それ以上に。親御さんの持つ肩書というか事情というか、いつどんな"刺客"が襲い掛かってくるか…という物騒な立場にあった人たちでもあったので、幼い子供たちにまで波及するやもしれないそんな危険を慮
かんがみて、片時も…は大仰だったが、出来る限りはひとっ走りで駆けつけられる範囲でしか外出を許さなかったせいもあり。その傍らから離れようとしなかったのは、果たして子らの方なのか、それとも親の方だったのか。ともあれ、陽が落ちても帰って来ないんだなぁと思うと、そこはやっぱり何だか寂しくて。午睡から覚めてからも、ご亭主の膝元からなかなか離れなかった奥方だったりしたのであった。



 ツタさんやお手伝いさんをお昼下がりという早い時間からお家に帰して、門弟さんたちも"自主トレ"扱い。
おいおい 久方の"二人っきり"になって何を堪能したのかと言えば、昔懐かし、海賊時代に着ていた装束を引っ張り出して、何にもしないで昼寝するだけの"グータラな海賊ごっこ"。お腹いっぱいお昼のごはんを食べた後、涼風も心地いい縁側にて、相変わらずに若々しかったご亭主の頼もしい懐ろへともぐり込み、くうくうと午睡を満喫し。それからそれから、ツタさんたちが用意していってくれた晩ごはん…イノシシ、地鳥に、長ネギ&シシトウ、味噌を塗ったナスや豆腐、イワナにアユに、ギンナンやキノコなどなどという、大きな皿や平ざるに山盛りの串焼き各種と、押麦を足した麦ごはんに山芋のおろし。それから、イワシのつみれに白髪ネギを添えたお味噌汁。陽が落ちるとまだ少し涼しい頃合いなので、囲炉裏端にてのんびりと焼きつつの夕食をとって。しばしの食休みの後、手際のいい旦那様が沸かしてくれたお風呂に入って、さてさてと。戸締まりと寝間の用意があるからと、湯から上がるとさっさと部屋の方へ行ってしまったご亭主に少し遅れて、お廊下の板張りをとたとた鳴らしながら、奥の間、寝間へと欠伸混じりに足を運んだルフィだったが、

  「…あ。」

 雨戸を立てた縁側廊下から障子を隔てた茶の間を通って、襖を開くと奥の寝所。その奥にももう一つ、濡れ縁を裏庭へと向けた座敷があるが、それはさておき。
「ゾロ、着替えちゃったのか?」
 畳敷きの広い寝間に延べられた夜具。初夏を迎え、冬の重いものではなくなっているものの、それでも綿入りのふかふかとした布団一式を並べて敷いて。その片方の、掛け布団を足元へと折って避けたところに胡座をかいてゆったりと座っていたご亭主は、昼間の"海賊"の衣装ではなく、いつもの単衣の夜着姿。着るものが戻ると心持ちも戻るのか、夕餉までは少々背中を丸めたような、ゆったりした恰好で胡座をかいていたものが、今はその背条もピンと伸び、すっかりといつもの"師範殿"へ戻ってしまっている。
「ああ。」
 後はもう寝るだけなのだし、あの恰好はちょっとしたおふざけだったのだから、もう"終しまい"としたって良かろうと思ってのことだったのだが、
「むう、詰まんねぇの。」
 奥方はどこかご不満な様子。というのも、彼の側は相変わらずにぺらぺらなシャツと膝丈のジーンズといういで立ちのままだったからで。ゾロの正面へ膝から"ぱふん"と、ふくよかな布団の中の空気を四方に追い出すような、勢いのある座り方をすると、
「海にいた頃は、ほとんど このカッコのままだったのによ。」
 どこか不平っぽい言いようをする。この一張羅で寝て起きて、無人島に上陸もし、町を歩いて。よほどのこと、壮絶な戦いやら騒動やらを掻いくぐった後に、破れたり焦げたりでもしない限り、わざわざの衣装替えというもの、しなかったような気がする。服なんていう"装備"じゃなくて、既に肌の一部みたいなもの。紛れもなく、かつての"自分自身"の一部だと思えた。十四年振りにご対面したの、とっても懐かしかったし、だんだんと着心地への勘みたいなものも戻って来て。なのに、ゾロにはそうではないのだろうか。口許を尖らせて見やった緑髪の伴侶は、だが、特にたじろぐこともなく。実に落ち着いた表情でいて。
「此処は海でもないし船の上でもないだろう。」
 軽快なその姿はどうしても、海上の"旅人"だった自分たちを彷彿とさせるから。奔放で勝手気儘で、強い者たちだけが先へと進める、波乱と無秩序な世界を見事に踏破した、破天荒な王者がまとっていたもの。深く染みついた潮の香、裾をはためかせた風の香。もうすっかり抜けている筈な、それらをまざまざと想起させる。溌剌とした童顔も、伸び伸びとした姿態も舌っ足らずな声音も、あの頃と全く変わらないルフィだというのが、尚更に眩しくて。ともすれば眇めるように、その目許を細めたゾロを見て、

   「海賊が目障りなんか?」

 ルフィが真っ向から返して来たのは、どこか、挑むような眸。彼のお顔の尖りようには…それはそうだろうなと、ゾロも胸中で察することが出来るものがあった。ルフィにとっての"海"や"海賊"は、言い方に多少の語弊があるかも知れないが、一種の"聖域"のようなものだ。確かに褒められるような生業ではない。他人のお宝を狙い、信頼さえも嘲笑して踏みにじる無頼の輩。どんな手を使ってでも勝った者が正義なんだ、生き残った者が正義なんだと、まるで獣の世界よろしく、そんな道理が大手を振ってまかり通る場所。侠気
おとこぎにあふれる者なら者で、不確かな夢や野望を追いかけるような、文字通り"地に足がつかない"ような輩たちでもあって。どっちにしたところで、堅実とか勤勉とかいう言葉からは一番遠いところに生きる者たちには違いない。そんなことは分かっているし、誰からどう思われたって関係ない。要は当人の信念であり心構えだ。そのくらいは重々解っていた彼だったけれど…だからこそ。ゾロには、彼にだけは、理解していてほしいこと。他のどんな誰からの無理解や反発・拒絶を受けても丸きり構わないけれど。ゾロにだけは、この、自分の半身とも呼べる存在にだけは。堅実ではないが誠実だということ、勤勉ではないけれど真剣だということ。誇りや誓いに一つしかない命を懸ける大馬鹿者だが、その分、命の価値をその肌身でよくよく知っていること。
「………。」
 そうと信じて疑わない、それらが"言うまでもないこと"であるルフィが、目障りなのかと問いながらキツい眸をして見据えて来た、過敏な反応を見せたことこそ、ゾロには逆に"ちり…"と来た。自分がそういう信念の持ち主だということを熟知しているゾロな筈だと、そう思って来たのは思い違いだったのかと問われているみたいで。訴えるような眼差しにあっては、こっちからこそ反駁を唱えたくもなったが、
"………。"
 ここで激高しても始まらないと、あくまでも静かな態度のままに、
「そうじゃねえさ。」
 部屋の隅に灯された有明行灯の柔らかな光の中、静かな声で、淡々と敢
えて言って、
「…ただ、此処には似合わねぇ。」
 鮮明な存在。激しい自己主張をしなければ波に風に飲まれる場所だから、強烈な個性、揺るがない信念を持たねばならないのが"海"だったから。
「海にいた頃は、こっちから新しい海域に向いの、島へ向いのって生活だったからな。何が起こるか分からない世界だったし、ほんの一瞬でも油断して、呑まれたり負けたりしちゃあいけなかった。けど、此処は違う。静かで安定しているからこそ、こっちも落ち着いてないと、大切なことを見落としかねない。季節や環境の方へ、こっちが合わせるってのがたまには必要なのが陸なんだよ。」
 昔の人から伝えられて来た知識や、長い歳月に渡って練り上げられて来た知恵が重宝がられるのは海も陸も同じだが、土地々々のしきたりや伝説という、もっと細かいことが大事にされてもいる。実際の話、そういうものにも実は立派な裏付けや意味があって、人々の連帯や絆に強固な効果を与えている場合も少なくはない。
「ん〜。」
 こちらが言ってる理屈は分かるのか、ルフィもむうと黙り込む。冒険を前にした興奮状態へは例外だったが、何でもない時の説教には、相変わらずに弱い船長さん。あの、彼と海賊団のトレードマークだった麦ワラ帽子こそないが、薄い胸板の前に腕を組んで考え込む姿は、やはり…曾ての彼そのままであり、
"………。"
 擦り切れてみっともない、だが、自分には妙に生き生きとして見えるルフィのいで立ちは、そんなでいられた命懸けな世界へ還ろうと、しきりと囁きかけて来るような姿にも見えて。
"それを否定してるってのは…。"
 この地での穏やかな生活の方をこそ、失いたくはない乱されたくはないと、そんな風に強く思っている自分なのだろうか。
"守りに入ったってことかよ、おい。"
 さっき説得しておいて何だが、今頃に初めて"そうなのかな?"と気がついて、自分を相手に"おいおい"と感じた。そこまで錆びついたのかねぇと、小さな小さな苦笑が洩れた。そんなゾロをどう見たか、ルフィは"ぷく〜っ"と頬を膨らませ、
「そんな言うなら、剥ぎ取りゃいいだろう?」
 小難しいお説教をし、くすくす笑える余裕さえあるゾロなのが、やはり多少はカチンと来たらしいが、そんな子供っぽい言いようへ、
「そうか。なら、遠慮はしねぇ。」
 すいっと。身を起こしがてら伸ばされたゾロの手が、あっと言う間にルフィの右の肩と左の二の腕を掴まえていて。
"…え?"
 それから…どこをどうしたのだか。少し長い目のショートカット、やわらかい黒髪を散らすようにして、ぱふんと布団の上。それはそれは手際よく、軽〜く引き倒されているルフィだった。そう。背後へ突き飛ばされたのではなく、背中に回された腕で、彼の懐ろの中へと抱え込まれる格好に引っ張り込まれていて、
「剥ぎ取っていいんだよな。」
 大きく開いたシャツの合わせに、するりとすべり込んだ手の熱さに、
「…っ。」
 思わずのこと、唇が大きく震えた。何か言い返したげな動きにも似ていたが、そうではなくて。
「…ぞろ。」
 見上げるは、短く刈った髪形の似合う、頬骨の少し立った、いかにも男臭い面差し。耳元にはゆらゆらと揺れている三連の棒ピアス。冴えた目許には涼やかな光が、だが、どこか悪戯っぽい笑みに細められ、ドキドキするほどに大人っぽくて。直に触れて来た大きな手の感触も、別段久し振りな訳でもないのに、何故だかそこからドキドキして来る。もう一方の腕は…気がつけば、ルフィの顔の横手へと肘をついていて。鼻先すぐの真上に顔があり、天蓋みたいに覆いかぶさっている上体は、その角度のせいで夜着の懐ろが大きくくつろいでいて。そこから覗く雄々しい胸板の張りと引き締まりようが、何とも言えず…。
"こんな迫り方、ズルイぞ。/////"
 日頃、本当に大事にされている証し、荒々しくもワイルドに攻められた覚えがあんまりないから、これだけのことでもドキドキが止まらない奥方であるらしい。…お熱いことで。
(笑) 片や、
"隙だらけじゃねぇかよな。"
 こんな恰好で人前をうろついていたのかと、今頃になって危機感にも似た想いに胸の底を少々煮えさせるご亭主で。肌の露出も凄まじければ、ただ黙って見やって来る琥珀の瞳の、真っ直ぐなところといい懐っこいところといい、何と無防備なことか。
"そういや、見え見えなことにしょっちゅう引っ掛かっとったもんな。"
 簡単に口車に乗り、いかにも怪しげな仕掛けに実に素直に手を伸ばすタイプ。そんなせいで…色んな意味で気が気じゃあなかったのまで思い出す。今頃になってというよりも、分別とか落ち着きとかいう言葉の方に、思っていたよりもずっと馴染んでいたゾロであるらしく。その分、昔いかに破天荒だったかという片鱗と向かい合って、思わず…息を呑んでしまったという順番なのかも。だが今は。この愛しい人は、守り通せた勝者のみの宝物。しっとりとしたその触感を、見ただけでも感じられる口許に、視線は既に奪われていて。その蠱惑に惹き寄せられるまま、
「………。」
 そっと唇を重ね、柔らかな甘さを幾度も喰(は)んで。少し荒っぽく押しつけながら口唇を開かせると、硬い感触の歯列の向こう、薄い舌先に触れることが出来、
「…ん。」
 反射的に逃げを打つのを搦め捕って吸い上げると、苦しいのか短い息を小刻みに吐き出す。どちらの頬が熱いのか、間近から放射されてくる熱に、それはあっさりと取り込まれてしまい、
「んんっ。」
 しゃにむにしがみついて来た細い腕。それで夜具から浮いた背中へこちらからも雄々しい腕を突っ込んで、ぎゅうと抱き締め、やっと満足したように唇を離した。ルフィの顔はもう真っ赤に熟れていて、より間近になった男の顔の不敵な笑みに、陶然とした表情のまま見とれていたが、
「あ…。」
 有明の明るさに今頃気づいたか、何となく落ち着かない顔になって、そちらの方へと目線を向ける。昼間のように隅々まで克明に照らし出すほど明るい訳ではない。やわらかい光が、照らされる範囲も限られた代物であるのに、それでも…何となく恥ずかしいらしくって。お互いに夜目が利くせいもあるのかもしれないが、こちらから見えている同じだけ、相手からもあちこち見通せるのだと思うと、何だか照れが出てしようがないらしい。初心(うぶ)な令嬢の初夜でもあるまいにと、ゾロの側ではそんなことには一切構わず、おとがいを唇の先で掠めるように辿り、そのまま首条へ顔を埋めかかると、
「や…ぞろ、なぁ…。」
 もぞもぞと身を捩っての抵抗を見せる。首や肩口へとしがみついてた手を離し、シャツのボタンを外しにかかった大きな手へ、両手がかりにて妨害に入った彼であり、
「お前ね。」
 呆れたような声をかけたものの、
「………。/////」
 真っ赤になっての"お願い"という意を含んだ凝視には逆らえず、
「ほら、明かりに掛けんだ。手ぇ離しな。」
「…っ。」
 夜具から身を浮かさせて腕を引き抜いた、ルフィのぺらぺらの袖なしシャツ。それを"ぽいっ"と、さして意志も込めずに放り投げたように見えたのに、
「…あ。」
 お見事な角度にて、有明行灯の灯囲いの枠にかぶさった。下手な引っかけ方をすると、灯火の熱が籠もったり、灯火そのものが引火して危ないが、そもそもこういう方法で照度を調節する明かり。気に入ってたシャツをこんな扱いにされたのは、ちょこっと不満だったけれど、
「ルフィ…。」
 半分くらいの明るさになった寝間の中、男の重みがそっと体にのしかかって来て、再びの口づけをと唇に触れた熱い感触にあって…。
「ん…。」


   そんなことは、もうどうでも良くなったルフィだった。










        ――― あんな、ゾロ。

            んん?

        ――― 俺、いつだって海に帰る気、満々なんだぜ?

            …? ルフィ?

        ――― しししっvv ビックリしたか?

           まあな。

        ――― でも、今は此処で暮らしてたいんだな。

           ………ふ〜ん。

        ――― あ、真面目に聞いてねぇだろ。

           聞いてるさ。…もう おやすみな。

        ――― こら、ゾロっ! ………もうっ!





            ◇



 さてさて、翌日。子供たちが登校前のドタバタをやらかす足音のない朝は、それは静かで…まるで一足早い夏休みのようだったが。いつもと変わりなく朝の鍛練をこなしたご亭主が部屋に戻って来ると、何故だかルフィの姿は夜具の中にはなく、
「???」
 昨夜脱がせた例の衣装は、そのまま部屋の隅や枕元にあった。事後にはいつものパジャマを着せたから、素っ裸ではない筈だが、それにしたって…と、起きた時に消した有明行灯の傍、畳みにすべり落ちていたシャツを拾いあげつつ小首を傾げていると、

  「ゾロっ! 大変だっ!」

 表側からばったんと。濡れ縁側の雨戸が内側へ蹴破られて、そちらの座敷への襖を開いたご亭主は、
「おいおい。」
 自分チを崩壊してどうすんだと、ちょこっと眉を寄せたのだったが、
「…その子たちはどっから攫って来たのかな?」
 飛び込んで来たパジャマ姿のルフィが、小脇に数人、小さなお子様たちを抱えていたものだから。訊き方は少々ふざけてもいたが、表情は大真面目なそれ。いえ、勿論、ルフィが"攫う"なんてことをしたと思っている訳でなく、ルフィの側はもっとそれどころではない。背後を顎先でしゃくって見せながら、
「あんな。この子たち、タチバナから帰って来たからって、表彰されたからって、そこの裏まで、朝一番にってメダルを見せに来てくれたんだ。そしたら。」
 皆でもらったんだよと、含羞
はにかみながらも自慢げに、リボンのついたきれいなメダルを見せに来てくれた小さなお友達。一人はルフィの首っ玉にしがみついていて、あと二人を左右の腕で小脇に抱えて来た彼であり、
「妙な奴が Chihiroちゃんに掴みかかろうとしたからさ、俺、思い切り蹴り飛ばしてやったんだけど。」
 そんな事情の元に飛び込んで来たらしき異様な状態だったから、こちらもちょいと身構えたが、
「この子たち、此処で見ててくんないかな。」
 そんな風に言って、畳の上へお子たちを降ろした彼が…その足元を微妙に踏み変えたのを見逃さず、

  「………こら。どこへ行くつもりかな?」
  「え? だって、あいつら…。」

 物凄い勢いで駆け戻ったから追いつかれてはいないけど、きっと裏庭か、それか村の中へと躍り込んでくるに違いない。自分たちの正体を知っていての襲撃なのか、それとも呑気ながら潤っている村だということへ目をつけられたのか。どっちにしてもこれは食い止めねばならず、そこへ駆けつけようというルフィだと…。こちらも分かっていてわざわざ訊いたご亭主で。ざっと勢いよく立ち上がり、
「ツタさん、この子たちを任せたぞ。」
「はい。」
 お茶を運んで来ていたツタさんも、状況は既に把握済みという雰囲気。小さな子供たちを招き寄せ、屋敷の奥向き、子供部屋へと連れてゆく。それを見送りながら、昨日、残りの"雪走"と"三代鬼鉄"を蔵から出しておいたため、普段使いの"和道一文字"と合わせて久々に三本を揃った刀たちを腰に装備したゾロが、
「さあ、行こうか。」
 にんまり笑って奥方を促す。不敵そうな笑みが何とも頼もしくって、
「おうっっ!」
 ルフィもまた、元気よく、右腕を天へと突き上げて見せた。どんな賊かは知らないが、選りにも選ってこんなタイミングにやって来るとは………ご愁傷様である。
(笑)



  〜Fine〜 03.6.24.〜6.28.


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    Chihiro様『ロロノア家シリーズで、久し振りの二人きり』

   …の"夜の部"篇でございます。おいおい
   Chihiro様からのご希望はなかった先走り…というか暴走。
(笑)
   久々なんで随分と錆びついてます。
   そんでも書きたくなったのは、某アンソロ本の影響ですvv
   いやぁ、色っぽくってvv
 

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