月夜見 puppy's tail 〜その11
 

  “冬が始まるよ♪”



 そろそろ吐く息が昼間でも白くなって来た。それが面白くて、わざとお口を開けて たかたかと駆けていると、尖った鼻の頭が冷えてツツンとしてくる。辺りの森やお山を彩っていた紅葉も今は盛りを過ぎてしまって。舗道の隅っこにかさこそと、落ち葉が寂しげに囁く音が耳につく。
「お帰りなさいませ。」
 ちょっとズボラして、こちらは枯れ葉ひとつ落ちてない綺麗な芝生を突っ切るようにお庭から帰って来たら、居間の窓辺にいたツタさんがにっこり笑ってお出迎えしてくれて、
「お足の方は? きれいですか?」
 泥を拾って来てはいないかと、一応訊いてくれる。大人ばかりじゃない、小さな赤ちゃんがいるからね。衛生面では気をつけなきゃいけませんよと、いつもきっちりと言われてる。でも、ここんとこはまとまった雨も降ってなくって。道もからからに乾いてたし、落ち葉に飛び込んで遊んだりもしてないから、足も体もちっとも汚れてはいない。ポーチに出てたマットで"えいえい"って拭って来たし、大丈夫だよって"ぷるぷるっ"てかぶりを振ると、分かりましたと笑って会釈してくれる。ツタさんとはツーカーだもんねvv そのままリビングへ上がると、ソファーでゾロが新聞を広げていた。
「よお、お帰り。」
 トコトコと近づいてって、前脚をひょいっと上げてお膝に掛けると、新聞をどけて、大きな両手で頭や首ををもしゃもしゃって撫で繰り回してくれる。
「ああ、毛並みが冷たいな。外は随分冷えて来たみたいだな。」
 ふかふかの毛の手触りが気持ち良いのかな。頑丈で頼もしい手で何度も何度も撫でてくれるのが、こっちも嬉しいんだけれど…何だかちょっと、えと・うんと。
"う〜〜〜。"
 何でなのかな。顎の下とか耳の周りとかは平気なのに、お胸の柔らかいトコとかは、ゾロってば あんまり撫でてくれないの。
「…お。」
 顔を上げて"くうぅ〜ん・きゅ〜ん"って、ちょこっと甘えたお声を出しながら。ゾロのお顔をじって見つめると、
「………。」
 ゾロの方からも、こっちをじっと見つめてくれて。何だか奇妙な睨めっこ。そいでね、ふわんと微笑ってくれて、


  「なんだ? おやつか?」

  ――― 違ーがーうーってば。
(笑)


 この二人での意志の疎通は、今だになかなかに難しいらしいです。
(笑) まま、それもまた仕方がないこと。種族が違うのだし、殊に…ゾロは"人間"でしかないのだから、犬の姿のルフィの意図を単なる見つめ合いで読めという方が、そもそも無理な相談で。
"んもぉ〜〜〜。"
 心の中で牛さんみたいに唸りつつ、ぷぷいと膨れて見せても気がつかないんだもんと、ちょっとばかし上目使いのお顔になったのは。白地をベースに、背中や頭に黒や濃い茶の載った配色の毛並みが、つやつやふかふかと健やかな、小さな小さなシェットランド・シープドッグくん。こんな風に"ご不満モリモリなんだぞ"なんて、心の中でどんなに思っていたっても。そのふさふさのお尻尾を休みなくパタパタと振っているのだもの。これで微妙な憤懣を読めと言われても、そりゃあ…無理な相談かもだぞ?
"ま・しょうがないかな。"
 やれやれ、ゾロったらと。伴侶の鈍感さを嘆くような言いようをしつつ、
"着替えて来ようっと。"
 旦那様のお膝から手を降ろし、ふかふかのカーペットの上、トコトコと居間を突っ切って。ふと…立ち止まって見上げたのは、やわらかな陽射しの降りそそぐ陽溜まりの中に据えられたベビーベッドだ。シェルティの"るうちゃん"の小さな体では視線の高さに限度があるので、ゾロやツタさんに抱っっこしてもらわねば中を覗き込むことは出来ないが、
"…あvv"
 あのね、この頃やっと寝返りを打てるようになった海
カイくんなので、ベッドの周りの転落防止用の柵の隙間から、こっちを見下ろすように覗いてくれるようにもなったんだよ? 今朝もね、あ〜う・う"〜っていうお声を掛けてくれて、ママお帰りってご挨拶してくれた。
"…そだよな。"
 俺、ママなんだもんな。ゾロの構い方に拗ねてる"ばーい"じゃないっての。早く着替えて来て、朝ご飯あげなきゃねvv






            ◇



 今回は冒頭から延々と"るうちゃん"ビジョンでお届け致しました。あらためまして、こんにちは。相変わらずのんびりとお過ごしの、某・山野辺のロロノアさんチの朝の風景でございまして。
「あれって何か会話してるのかなぁ。」
 お外は随分と冷え込んで来たものの、ちゃんと窓を閉めて微暖房をかけた光あふれるリビングは、ほかほかと春のように暖かい。そんな窓辺で、ふと立ち止まってベビーベッドの方を見上げた"るう"と、ちょうど直前にころんとばかり、丸ぁるい体を転がして寝返りを打っていた愛息カイくんとの見つめ合いを遠目に眺めやってたゾロが、熱い煎茶を淹れてくれたツタさんへと訊いている。柔らかそうな手で小さなお盆を抱えたベテラン家政婦さんは、
「ええ、ちゃんとお話しになられてるそうですよ?」
 ほっこり微笑って応じてくれて、
「坊っちゃまが仰有るには、ちゃんと"お母さん"って判ってるカイちゃんなんだそうですよ。」
「…え?」
 これはちょっと意外だったらしく、その大きな手から渋い色合いの手びねりの湯飲みを危うく取り落としかけたゾロだった。
「だって…あの姿なのに?」
 というか、るうを指して"ママだよ"と教えたことはないのに…どうして?と。その辻褄の合わなさに合点が行かないお父さんらしいのだが、
「だから"判る"んですよ。」
 教えられて"知っている"のではなくて、自分の感覚で"判る"カイちゃんであるらしく、
「るうちゃんの姿の時にも、傍にいてじっと見つめ合ってらっしゃいますからね。」
「…そか。」
 そして、それを"そう"だとゾロが全く知らなかったのは、彼が週に何度か仕事に出掛けている間の話だからだろう。
"ま、それは仕方のないことなんだがな。"
 ゾロがいないとあって手持ち無沙汰になるルフィと、こちらもやはりあやしてくれる人が減るカイとが、二人で遊ぶのは自然なことだし、その時にルフィが散歩からの帰りだとかで るうの姿でいることもあるのだろう。
"そういえば…。"
 ゾロを交えてカイをあやしている時は、大概ルフィはルフィの姿でいる。るうとカイとゾロとという"顔合わせ"になったことは滅多にない。

  "………まさか、な。"

 はい? 何が"まさか"なんです?
"いや。二人の間では会話出来るけど、それだと俺一人だけが仲間外れされてるみたいになるからって、気を遣ってくれてるとか。"
 ああ、それは有り得るかもですね。…っていうか、何でそれを"まさかだよな"と否定なさるか、ご主人。
(笑) 思わず筆者まで加わってた居間での談話の中へ、
「ぞ〜ろvv
 ルフィの姿に戻った奥方がひょこりと姿を現した。パッと見は小柄な高校生くらいだろうか。腕も足も胸板も細くて薄く、女の子のように小さな肢体がそれはそれは幼
いとけない男の子。真っ黒な髪は ちょっとばかりまとまりが悪くて、だが。指通りはビックリするほどしっとりとつややか。手は後ろ手に、上体だけ ちょこっと斜めにしてお顔を伺う仕草が何とも愛らしく、大きな琥珀色の瞳とふかふかの頬や小鼻を据えた童顔が"にひゃっvv"と笑って見せると、
「………。////////
 こ〜の野郎〜が〜〜〜vvと、浮き立つ思いのままにガバチョと抱きしめて、そのままグリグリと撫で繰り回したくなるほどに可愛い奥方だそうで。………気持ちは判るが、危ないご亭主であることよ。
(笑)
「可愛いでしょ?」
 うんうん、言われなくとも可愛いぞと頷き返しかけ、
"…おっと☆"
 ルフィが訊いているのが、ご本人のことではなく、着替えて
来たお洋服の話だと気が付いて、慌ててパパパっと見回して、
「どしたんだ? それ。」
 玉子色のアンゴラモヘヤのセーターとベージュ色の木綿のパンツには見覚えがあるが、その上へと羽織っていたフードつきの手編み風のカーディガンには覚えがないゾロで。よその人間のことならいざ知らず、この愛妻のお洋服ならば殆ど把握してらっしゃるという辺りにも、それだけの注意を払って大切に思っていることが忍ばれよう。それへと"よくぞ聞いて下さいましたvv"という ますますの笑顔になり、
「あのね、ナミさんが送って来てくれたの。お古っていうほども着てないし、俺になら似合うと思ってって。」
 ルフィは"うふふvv"と御機嫌そうに笑う。言われてみると、成程、着丈と肩幅のバランスは婦人向けという観がある。
「これって"フィッシャーマンズ"っていうんだって。」
 生なり色のしっかりとしたカーディガン。身頃や袖には縄編みやアーガイル風の四角など、複雑な幾何学模様が幾つも編み出されており、
「俺だって知ってるさ。」
 ゾロも負けじとルフィのお声を遮った。
「その模様は、家ごとに決まってて、海の事故で遭難しても家紋の代わりになってくれるそうだ。」
「………え?」
 キョトンとする奥方へ、
「だから、発見が遅れても………、と。」
 も少し噛み砕いた説明をしかかって、だが、旦那様はようやくハッと我に返って言葉を飲んだ。せっかく"可愛いでしょvv"なんて喜んで着ていたものの由来が、何だか悲しい目印なんだと聞かされて、尚も喜び続けられるようなルフィではない。
"あ〜っと…。"
 こりゃあ迂闊だったなと、言葉を途切らせたまま困り顔になったゾロへ、
「だから、その家その家のお母さんが代々伝えて編んで来られた、それは由緒のある柄だということですよ。」
 ツタさんが助け舟を出して下さる。
「代々?」
 やっぱり少々意味が分かりかねたらしい小さな奥方へ、
「そ、そうだぞ。」
 何とか気を取り直したらしき旦那様、
「お母さんが息子さんへ編んでやり、やがては嫁いで来たお嫁さんへ教えてやって。で、そのお嫁さんが夫とか息子に編んで…って、家ごとに違う模様を教えて伝えて、昔から今までずっと引き継いで来たって事だ。」
 出来るだけ優しい言い方で続けると、
「うわぁっ、凄いっ!」
 ルフィは無邪気に笑って見せた。そんな彼の頭越し、
"………はあ、助かった。"
 どうもすみません。いいえ、どういたしましてと。大人二人が目線をやり取り。無邪気で愛らしい奥方は、その見かけに見合うだけ、本当に幼い部分を色濃く残している人なものだから、大人げない物言いはそのまま彼のナイーブなところを傷つけかねない。そして、この…いかにも精悍で凛々しいお顔と、鍛え上げたる頼もしい肢体をなさった旦那様は。都会で暮らしていた折も、何だか人付き合いはとんと苦手で…必要最低限の愛想しか出来ないような不器用なまんまに過ごしていた人。だけどね、この幼
いとけない奥方のこと、それはそれは大事に思って宝物みたいにしている彼としては、そんなままではいけないと、日々なんとか頑張っていらっしゃる。そんな彼らを毎日間近に見ているツタさんにしてみれば、
"ホント、睦まじい方々でvv"
 何とも微笑ましいご夫婦であるそうな。
(笑) 確かにな〜。毎日何かしら微笑ましくて楽しいだろうねぇvv
「カイに、ご飯あげて来るね。」
 ふふふんvvと嬉しそうな笑顔での、はしゃぎ半分。さっき眸と眸でお話ししたカイくんのところへ向かいかけるルフィだったが。
「あ、ちょっと待て、ルフィ。」
 スキップで踏み出しかけていた奥方の、ふわりと舞いかけた手を素早く掴んで引き留める。
「え? なぁに?」
 そのまま軽々、引き戻されて。ぽそんて、お膝に抱え込まれての懐ろの中。なぁにと見上げるお顔を見下ろし、

  「その…さっき、カイとは何を話してたんだ?」

 おおう。一応は検証ですかね、旦那様。ツタさんがこっそり"くすくす"と微笑いながら台所へと席を外して、
「んとね…。」
 無邪気な奥方、口許に人差し指を添え、
「おはようって。それとお腹空いたようって言ってた。」
 おおう。だから朝ご飯なんですね。
「それとね、なんかお口を見てって ゆってたよ?」
「"お口"?」
 うん、と頷いて、もう良い?と小首を傾げる仕草。会話は判るが、
"お口って…。"
 そんな具体的な言葉を載せた意志まで通じるのもなのかなと、立ち上がったルフィに従うように、ゾロも立ち上がって…ベビーベッドの傍らへと向かう。晩秋の朝の、薄氷のように澄んだ光をふんだんに取り入れたリビングの窓辺。眩しすぎない程度に、また、窓に近すぎて寒くないようにと絹張りの衝立
ついたてを立てた脇の、ふかふかな毛布に温められた白木のベッド。まだ少しふわふわだが真っ黒な髪に、青みをおびた深色が琥珀に潤んだ大きな瞳。お母さんによく似て来つつある愛らしい坊やが、柔らかそうな腕や足を宙へと伸ばし、小さな手をわきわきと開けたり握ったり。あーとか むむうとか、まだまだ覚束無い声を上げて、機嫌よさげに横になっている。7月生まれで、5カ月目。最近になって寝返りを打てるようになったその途端、時たまゴツンなんて音まで立てるほどあっち向いたりこっち向いたり、そりゃあ賑やかなほどのお元気ぶりで。
「ほーら、カイくん。ご飯にしましょうねvv
 こちらもまだまだ小さな体つきの奥方だが、不思議なもので…カイくんを抱き上げる時のお顔はちゃんと"お母さん"している。しかもしかも、小さな両手で、でもがっちりと。優しく、力強く、赤ちゃんを抱きかかえる腕の頼もしさよ。首が据わっていればこその、足を抱えて腕の上へと座らせる"子供抱き"をし、背中に片方の腕を回してやって胸元へと凭れさせ、そのまま一番陽当たりのいいソファーへ移動。
「お腹空いてますよねぇ。」
 んんん〜と やわく頬擦りすると、小さく小さく笑う形にお口が開く。そんな"お口"を横合いからじっと見やっていたゾロが、

  「あ…っ。」

 弾かれたような声を上げた。
「え?」
 何がどうしたのやら、こちらはまだ気づいていないらしき奥方へ、すぐ傍らまで寄ってゆき、
「ほら。見てみな、口の中。」
「何なに? …あっ!」
 二人して、小さなお口を覗き込む図というのも何だか妙なもの。
「どうされましたか?」
 まさかカイちゃんが何か飲み込んでしまったのだろうかと、大人たちの朝ご飯を告げに来たツタさんが、怪訝そうな、心配そうなお顔をして寄って来たのへ、
「ほら、ツタさんも見て見てvv
 ルフィが"おいでおいで"と手招きし、ゾロが身を譲った正面に少ぉし屈んで見てみれば。

  「………あら。」

 ぴちぴちピンクの小さなお口のその中の、手前のすぐ縁の辺り。2つ並んで小さな白い何かが見える。何か入ったゴミかしら?とも思えるくらいに小さいけれど、それは紛れもなく。
「歯だよね? これvv
「ええ。下の前歯ですね♪」
「こんな時期に生えてくるんだなぁ。」
 これってこれって、結構大きい節目だよねぇvv ええ、ええ、そうですとも。お赤飯を炊かなくては、ですよ。両手が空いていればパパンと"ハイタッチ"したくなるくらいの大人たちの興奮をよそに、ご本人のカイくんは"あーう・むむう"と至ってマイペースなお喋り中。
「そうか、これを見てって言ってたんだ、さっき。」
 るうの姿だった"お母さん"へ、朝のご挨拶とともに話しかけたメッセージ。何だかむずむずするから見て下さいと、そういう意味だったんだとルフィがはしゃぐ。
「これからは色々とあっと言う間ですよ。」
「色々?」
「ええ。離乳食も始められますし、そうなれば発育にも弾みがつきます。じきに這い這いだって始まりますし、腰が据われば抱っこされなくても自分で すとんて座れるようにもなります。」
 春には"立っち"が始まってるかも知れませんねと、嬉しい先行きを説明してくれるツタさんに、ルフィはワクワクと瞳の輝きが只事ではなくて。
「うわぁ〜〜〜、早く春にならないかなぁ〜vv
「おいおい。」
 まだ冬前だのに気の早いことを。それに、
「ツクシや桜が暖かくなったからって芽吹くのとは訳が違うんだぞ?」
 ゾロの進言へ、
「え? そうなの?」
 またまたキョトンとしてしまう奥方へ、ツタさんが優しいフォロー。
「ご飯をたくさん食べて、一杯遊んで、陽にもほどほどにあたって。それから、お母さんやお父さんと、一杯いっぱいお話しやスキンシップをして。そうやって元気に育った結果として、這い這いや立っちが出来るようになるんです。」
 皆で見守ることもまた、大事な栄養なんですよ? そうやって幸せに健やかに、大きくなってくものですよという、ツタさんからの有り難いお言葉に、
「そか。」
 小さな奥方、小さなぐうを胸に掴んで、
「俺、頑張るから。」
 一生懸命な"子育て"への意志表明。そしてそして、
「ゾロも、ツタさんも、手伝ってよね?」
 頼もしきパートナーたちへの"お願い"も忘れないところが…しっかりしてはる。
(笑) 勿論ですともと頷いたツタさんの傍らから、

  「それも良いけど、今のことも忘れずにな。」
  「え?」

 旦那様からの唐突なご指摘へ、大きな瞳が点になった奥様だったが、
「カイのご飯だよ。早くって さっきからねだってんじゃないのか?」
 言われて懐ろを見下ろせば…確かに。ルフィの着ているアンゴラセーターを、小さなお手々できゅううと掴んで"じ〜〜〜っ"と見上げる大きな瞳。
「あっ、あっ、ごめんねっ。」
 小さな赤ちゃんご本人には、来年のことなど遥か未来の先のお話らしいです。何はともあれ、これから始まる冬もまた、こんな風に賑やかなお家であるらしき、とある山野辺のロロノアさんのお宅のひとコマでした。







   aniaqua.gif おまけ aniaqua.gif

    ――― ねぇ、ゾロ

        んん?

    ――― なんで"るう"になった時、お胸は撫でてくれなくなったの?

        ああ…。

    ――― 前はお胸とかお腹とかも、いっぱい撫でてくれたのに。
        今は頭とか背中とかだけだもん。

        だから、だな。

    ――― うん。

        ……………。

    ――― ゾロ?

        だから。胸とか腹とかってのは…その。

    ――― なに?

        るうのじゃなく、ルフィの姿んなった時は、
        ここってどこなのかってつい考えちまったもんだから。
        それ以来、昼間の、ツタさんも居るトコで撫で回すのは…ちょっとな。/////

    ――― えと? …………あ。//////

        …だろ?

    ――― やだなぁもうっ///// ゾロのすけべっ////////



         やってなさい。
    (笑)





   〜Fine〜  03.12.3.〜12.7.


  *タイトルは槙原敬之さんのちょっと古いお歌から。
   "8月の君のお誕生日に長袖シャツを贈ったのは、
    冬も一緒に居られますようにという おまじない…"
   この人はどうして こんな風な、
   小癪で切ない詩をいっぱい紡げるんでしょうか。
   実は渡辺美里さんの、やっぱり古めの歌も好きです。
   (『天使に咬まれる』とか『夏が来た』とか)

  *カイくんの発育に関しては、
   実は…全然判らなくってお手上げ状態だったのですが、
   ヘルプを発したところへ暖かいご指導をいただきまして。
   個人差がありますよとのことでしたが、
   全く判らないままだった私には
   物凄い有り難い"救いの手"でございました。
   某様、本当にありがとうございましたvv


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