“天使たちには内緒だよ?”
まだ含羞みの強いキミだけど、
気づいてないの? いろいろ筒抜けだったこと…。
口元や頬、デコルテ周りの肌などなど。
しっとりと瑞々しいやわらかさは、
触れずとも判るやさしき見栄えとして、
彼の高貴な風貌に風雅にまとわれていて。
内へ淡い光を呑んでいるかのような、
奥深い白をたたえる綺麗なその肌には、
いけないと思いつつ、それでも触れずにはおれないから、
これはもうある種の魔性と呼んでいいのかも。
「仏を相手に何てこと言いますか。///////」
宵がひたひた、静かに寄せる頃合いのひととき。
調子に乗っての絶賛がついつい脱線したものだから、
それへはさすがに、
むむうと上目遣いになったキミから睨まれちゃったけれど。
あ、あ、ごめんよ〜とやさしい肩へすがれば、
本気ではなかったか、くすすと吹き出してしまう笑顔がまた、
軽やかで甘くて何とも可愛いかったもんだからvv
「…ブッダ。」
「え? ………あ。///////」
まずはのご挨拶で おでこへ小さな ちうを落とせば。
不意を突かれた格好になったからか、
苦笑していたお顔が ほんの少しだけ引きつってのそれから。
居心地悪そうに固まりかけたそのまま、
じわりじわりと真っ赤に熟れてゆくのもいつものことで。
どんなお顔をすればいいのかと戸惑うキミを、
壊れやすい砂糖菓子みたいに、そおっとそっと掻い込んで。
こめかみへと触れるだけのキスを落とせば、
さぁあっ、と
一気に視野をおおうのは、濡らしたみたいな絹の海。
頑ななまでに生真面目な彼の、そんな気概の象徴でもある螺髪が解けて。
陽の匂いがしそうなほど誠実清廉な実直さが、
あっと言う間に、
ほのかな艶冶を匂わせながらも凛然とした、深色の海へと入れ替わる。
以前は、ただただ恥ずかしさが耐え切れずに弾けたそれだったけれど。
堅い意志を自ら解いての、甘えたくて…という意思表示でもあるんだと。
やさしいキミ、いつだったか そんなことも話してくれたっけね。
そのまま頬へ耳元へと唇すべらせ、
ねぇ…、と
大切な人を抱いたまま、
額を囲む茨の飾り、片手で剥がして微笑いかければ。
見上げて来た深瑠璃の瞳が、心なしか泳いでしまうけど。
そんな戸惑いも刹那の震えと擦り替えて、
甘い潤みの中で待っててくれるようになったよね。
やさしい愛しいキミのこと、
これ以上はなく大好きだよって告げるよなキスなのに。
覆い隠すよに双腕の中へくるみ込むのは、
…ほんのちょっぴり後ろめたいからなのかなぁ。////////
◇◇
まだまだ無邪気で、朗らかなキミだけど。
ねえ気づいているの? それともそれってもしかして確信犯?
日頃は何かとすがってくるようなところが多いキミなのに。
こういうときだけ無性に頼もしいって、何だよそれ。////////
突然のキスを額へ落とされ ハッとしておれば、
身長にもそんなに差はないはずなのに、
ゆらめく気持ちのたゆとうまま、
見上げた彼の目の高さが微妙に違くて。(…あ・いけない伝染った)
そんなささやかなことでさえ、それはたやすく鼓動が高まる。
そう、螺髪がするするとほどけたのは、
こめかみへの温かいキスのせいじゃあない。
でもね、なんか癪だから、今はまだ内緒にしておくの。
「ねぇ…。」
「……。//////」
額の冠を外すキミの、
切れ長の双眸、淡い色合いの玻璃の瞳が、
ちょっぴりたわめられると もういけない。
あの低く響いて悩ましい声を、
掻い込まれた腕の中、胸元からも聞かずにはおれなくて。
誘われずとも、こちらからそこへと頬を伏せたくなる。
いつか教わった通り、堅くて広い背中に腕を伸ばして、
かいがら骨のところへ掴まれば。
最初からそう誂えたみたいに この身が収まって。
頼もしいまでに肩幅も広く、
余裕で迎えてくれた懐ろの深さにやっと何とか落ち着けて。
仄かに届くのは、オレンジに似たイエスの香り。
横を向いた格好になったせいで目に入った窓からは、
乾いた西陽の残照が、
斜向かいのお宅の漆喰の壁を茜色に染めているのが見える。
その上へ開けた空には、
まだ明るいのにそれでもくっきり輪郭が冴えた月が、
意外な大きさで佇んでいて。
「……よそ見?」
「え?///////」
その唐突な声は、吐息とともに髪の中をくぐって届いて。
この身をくるむ腕の輪が少し狭まってたことに気づくと同時、
見上げたキミの静かな表情が、甘くて切ない魔法を音もなくかけて。
少しずつ、でも競うように
近づき合った眼差しがそのまま伏せられてゆき。
互いの唇にそおと触れ合えば、
まるで吐息を分け合うように、
もどかしげな口づけ交わす影が、
畳の上へ すうと絞られ、密に一つに……
〜Fine〜 13.10.03
*天使には内緒でも、Jr.やカンダタさんは見ているぞ。(笑)
つくもがみ設定、無しって訳には行きませんかね、困ったもんだ。
そ〜れはともかく。
こういうのが臆面もなく書けるようになりましたよ、ええ。
威張っちゃいけないけど、R指定ものの裏は結構書いてた私でして、
それでもあのあの、
こうまで甘いのはこのジャンルが初めてかもという、
しかも日を置かない連射ぶりが我ながら凄まじい。
これも聖なる御力の御加護か、単なるすけべえ心の発露か。
ちなみに、
最初に考えてたネタはもっとキャピキャピしてました。
秋の夜長の恐ろしさよ。(笑) コチラ → ■
めーるふぉーむvv 

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