キミが隣にいる奇跡
      〜かぐわしきは 君の…

 “愛のキセキ?”



ご飯担当のブッダが献立を考える関係で、
どうしても白米中心の食生活になるものの、
イエスのリクエストがあれば、
朝食がパンになることもあるらしいお二人で。
ブッダは ヤマギワパンのパン祭りシールを集めている
…というネタが出て来るところを見るに、
イエスが奇跡で転変させた“元は食器”を食べるということは稀なよう。
(コミクスで陶芸セットの粘土が転変したのを食べてましたが
 その他の例は見たことがないような…)
恐らく、元は食器と判っているから
パンには違いなくとも“食べる物”という感覚にならないんでしょうね。
後は、

  ―― だって、機会があれば戻せるかもしれないのに

という辺りが、その理由じゃなかろうかと思われます。
食べた後で皿へ戻ったら怖いじゃないですか…とは
さすがに思わないんでしょうが。(おいおい)
でも、ということは、
あのパンって日保ちするんだろうなぁ。(元が皿だけに。)

  イエス様のパンの話をするのは微妙に自滅ネタなので、
  そろそろ本筋へ戻りましょう。(うう〜ん)


すべての人がそうと決めつけては いけないことかもしれないが、
どうも日本人は“パン食”というと、
トーストなり菓子パンや総菜パンと、
あとは紅茶なりジュースなり飲み物を付け足せば、
それで出来上がりという感覚がある。
それではご飯とお茶だけの食事も同然で、
忙しいビジネスマンが自己責任でやってるならともかく、
育ち盛りの子供がいるなら、働き盛りのお父さんへ出すならば、
せめてハムエッグくらい焼いたげて、
サラダかフルーツ、
チーズかヨーグルトも付けなきゃあバランスが悪すぎる。
(本格的なコンチネンタルブレックファストは、
 旅館の朝の和風御膳も顔負けの品揃えだそうです。)

 ※余談だが、某ゲームのお茶の間ヴァーチャルで、
  牛乳をかけたシリアルだけの朝ご飯だった日があったのに
  ギョッとしたことがある。
  せめてスクランブルエッグとかつけないか?

とはいえ、
お忙しいご家庭では、お弁当の支度とかもおありでしょうから、
お母さんにそこまで要求するのは無理な話なのかなぁ。

 「だろうねぇ。」
 「お子さんが小さいと目が離せないし、
  保育園に通ってるなら通ってるで、
  身支度の世話もしなきゃいけないものね。」

朝食を食べつつ観ていたテレビのモーニングショーで、
“バランスのとれた朝食を取りましょう”という
タイムリーな(?)特集をしていたのへ、
今時の朝食事情と、パン食の落とし穴というのを紹介され、
ふ〜んと感慨深げな声を出しておいでな最聖のお二人。

 「ああでも、」

ブッダが何か思い出したらしく、
何なに?とイエスがお顔を向けるのへ、

 本川さんチが丁度それで、
 洗濯機回しながらご飯とお弁当の支度して、
 子供たちを起こして髪や服装整えてやって。
 ご主人のネクタイ結んであげて、
 いってらっしゃいと送り出して。
 ゴミ出しして洗濯物を干したら、
 下の坊やを自転車で保育園まで送ってって…と、
 朝は毎日が大戦争だって。

慈愛の如来様でも同情しちゃう話であるものか、
ホント大変だよねぇと、
目許をたわめ、困ったように苦笑する彼だったが、

 「…ブッダって本当にご近所の奥さんたちと仲いいよね。」
 「?? うん。」

さすがにというか、今のところはまだ、
井戸端会議にまでは加わってないらしいが、
あんまり家を留守にすると
そういう方向での交流も深まる恐れは大きいぞ、イエス様。(笑)

 「あ、紅茶、淹れ直そうか。」

今日は特に予定もなくて、
それでと のんびりとしたペースの朝食になっており、
食事自体はそろそろ終わろうかというところ。
寒い朝なせいか温かい飲み物が美味しいものの、
冷めるのも早いのが難であり。
ティーバッグだから手間はかからぬと、
言うが早いかキッチンまで すたすたと立ってゆき、
湯沸かしポットへ水を足し、
ミルクパンへも牛乳をそそぐブッダ様。
何とも手慣れた手際のよさなので、
一応は訊かれたイエスにしても、
うんとも いいやとも応じることもなく、
ひょいと持ち上げられたマグカップ、
すんなりと見送るのもいつもの流れ。
猫舌なイエスだということは勿論、
ちょっぴり多めな砂糖の割合もきっちりと把握しておいでで。
少しでも早く飲みごろになるようにということか、
牛乳は沸騰手前で火から降ろし。
ティーバッグを投入したマグカップ二つ、
こちらは沸騰させた湯をそそいで、
ちょっぴり待ってからティーバッグを取り出すと、
そのままコタツへ戻っておいで。
このタイミングで火から降ろしたそのまま、
目の前でミルクをそそぐのが、
イエスにはベストな…ちょっと ふうふうのいる、
でも猛烈には熱くない
飲みごろの美味しいミルクティーになるのだそうで。

 「はい、お待たせしました。」

木地のくるみ色があたたかな、
小ぶりなトレイに載せて運んで来た一式のうち、
マグカップだけを天板へ降ろし。
膝こそ降ろしたが、かかとを立てての
座り切らない やや中腰のまま。
ミルクパンを掲げ、
温かい紅茶の中へミルクをそそぎ足してゆく
ここまでのお手並みのよさは、まさに満点お母さん。(こらこら)
グラニュー糖の容器に手を伸ばし、
スプーンに掬った一匙目を さあと投入しかかったその手が、だが、

 「……あ。」

ここで何とも不自然に止まってしまい、

 「? どうしたの?」

何だなんだとイエスが首を延ばし、
ブッダの見つめる、そう2つのマグカップを覗き込めば、

 「あ…vv」

コーヒーへのポーションのようなそそぎ方こそしなかったのだが、
それでもそおと静かな足し方をしたからだろう、
ミルクが紅茶と混じり合いつつ、ややマーブル状になっていたのだが、

 「両方ともハート型だねぇvv」
 「うん。////////」

さすがに…グッズなどにデザインされたそれのような、
きちんとしたシンメトリーな形ではなかったものの。
丸みのある渦の片やが尖っていて、
反対側は内側に窪んでという、
愛の象徴だったり友愛のマークに使われるハート型。
そもそも混ぜ込む意図からそそいだせいもあり、
かわいらしい模様の渦は、たちまち消えてしまったけれど。
彼ら二人には、印象的な模様であり現象でもあって。

 「えとあのっ、別にわたし何もしてないよ?////////」

ブッダが少々わたわたっと言い出せば、
その照れながらの狼狽へこそ、
可愛いなぁと思ってのこと くすすと鷹揚に笑い、

 「うん。わたしも何もしてないしvv」

イエスも楽しそうに言い返す。
何せ最聖人たるお二人なので、
何もないところへ紅ばらやハスの花を大量に開花させたり、
ワインを涌かしたり、風雅な姿の尾の長い瑞鳥を招いたり、
どうかすれば意図せずとも
感情の起伏に合わせてというノリで、様々な奇跡を起こせる身。
ゆえに、このような偶然の産物も、
一般のかたがた以上の頻度にて、
期せずして招くことが可能…であるものの。
天に誓って、わざわざ何かをと念じた訳ではないと、
まずはの弁解を繰り出したブッダ様だったのは。
言葉よりも明白な“好き”や“愛してる”を示すマークの、
直情すぎるインパクトの強さへ、
思わず“うわぁっ///////”と素直に慌てたせいだろう。
そんな彼と同様に、
自分にも覚えはないよと微笑ったイエス様の方はといえば、

 「何もしてはないけれど、
  心持ちが届いてのものならば、
  それはもう 何ともし難い奇跡だからしょうがないよねvv」

やだなあ、わたしの心持ちってだだ漏れ?と、
今にも“きゃあvv”とか言い出しそうなほど、
ただ照れているにしては
異様に嬉しそうな笑顔を見せるヨシュア様で。

 ここでブッダ様が、
 普通一般の人でも持つだろう 用心深さや疑り深さ、
 はたまた聖人ならではの慧眼を発揮してのこと

ホトケたるもの、
そうそう人を疑うものではないながら。
ここは過去に学習したものを引っ張り出し、
ちょっぴりお遊び心の豊かすぎるメシアゆえと考慮した上で、

 キミ、実は何かしたんじゃあないの?と

重ね訊いた方が良かったのかも知れない…とするところだが。

 「心持ちが届いてって…。///////」

ハートという形が表すところ。
好きだよという想いを常に、心持ちの内へと抱いているからこそ、
こんな形で…奇跡として現れ出ちゃったのかなぁ?と。
だったら参ったなぁもうと、照れているイエスからの

  間接的な“好きvv”という告白なのかも…なんて

こんな何でもないところへまで溢れるほどの気持ちを、
常に抱いてるイエスだって言うの?
それが選りにも選って、
わたしの目に留まるなんて あからさますぎて参ったなぁと、
そうと感じて照れているというの?と、

  それは率直にも、そうと解釈された日にゃあ。

 「〜〜〜〜〜っっvvv//////////」

うあ・そんな、だってあのその。
狼狽とか ときめきとかが一緒くたになったまま、
感情としての波長が揺れ過ぎて、ぎゅうぅんとその身の中へなだれ込み、
やさしい稜線を描く肩が、ふるるっと震えた次の瞬間、
螺髪という形を保てなくなってのこと、
釈迦牟尼様の豊かな濃色の髪が

  ぱさりと一気に弾けて、さらさらとこぼれる

日ごろイエスがそれは誉めそやするように、端正な面立ちのブッダ様。
そこへこれほどまで麗しい髪が現れて、
すべらかで白い頬に添い、まろやかな肩や背を覆ってしまうと、
その清楚清廉な慎ましき美しさが、
瑞々しい潤いを得ての、微妙に濃厚で艶冶な佇まいとなるから不思議で。

 「…あ、何かごめん。」
 「いやあの、これはその。//////////」

揃えたお膝へ きゅうと握り込んだ拳を見下ろし、
修行が足りないだけだからとかどうとか、
真っ赤になって含羞んでおいでの如来様が、
見栄えに増した華美さと裏腹、あんまり朴訥で可愛らしいものだから。

 「……。////」

わざわざ立ち上がったイエス様。
コタツの周縁を回り込むと、
すぐの傍らへと膝をつき、愛しい人のお顔を覗き込む。
そんな顔しちゃあダメだよと、
混乱しておいでの伴侶を抱きすくめ……



  あとは内緒の、ハートの奇跡………vv









   〜Fine〜  13.11.28.


  *……失礼しましたぁ。(う〜ん//////)
   Hさんが言ってましたが、投げつけるクッションよりも
   吐き出す砂を受け止めるバケツを
   各自でご用意いただくほうがいいのかもしれん。(笑)

   お題2の“ハートマーク”は最初こっちにするつもりでしたが、
   バリスタが絵を描くのってカプチーノでしたよね。
   エスプレッソの小さなカップを大きめの手で持ついえっさとか
   ギャルソンの黒地のロングエプロンを腰に巻いてるぶだ様とか、
   カッコいいかもとは思うのですが…
   でも、こちらの二人って紅茶派じゃないかと思ったんで、
   (スタバの マキアートはともかく)
   それじゃあ使えんと ボツになったのですが、
   でもまあ、それらしい形なら…と思い直しましてvv
   別な意味合いから寒くなったかもですが、どかどかご容赦です。

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