キミが隣にいる奇跡
      〜かぐわしきは 君の…

     “お手柔らかに…”



さてとて、
こちら、毎度お馴染み 立川市某所のとあるアパートの一室でも。
無事に年を越し、
清々しくも新しい年を迎えておいでの最聖人のお二人が、
いつも通りにまったりと、
ほのぼの朗らかに過ごしておいで…のはずなのですが。

 “……う〜ん。”

おやおやおや?
口許のお髭も相変わらずに ジョニデ似のイエス様が、
気のせいでなければ、
お気に入りのこたつの いつもの席におりながら、
だっていうのに ちょっぴり浮かないお顔になっているような。
口許がはっきりと、
顎に小じわが盛り上がるくらいの勢いで
くっきり“への字”に曲がっているし、
眉の方は方で、
苦渋の表情に付きものの
鹿爪らしい“逆への字”になっておいで。
ちょうどお昼ご飯を食べたばかりで、
磯辺にしたお餅と、三つ葉と焼き麩のお吸いものに、
箸やすめには刻んだたくわんという取り合わせを
存分に美味しくいただき、

 “う〜ん…。”

今はすっきりと片付けられているコタツの上には、
イエスの愛用のPCが開かれているばかり。
食器と言っても少しなのでと、
一人、流しの前に立って片付け物をしているブッダ様の、
実はずんと豊かに長い髪、螺髪にきゅうとまとめているがため
すっきりとあらわになっているうなじや、
それを支える格好のまろやかな肩や背中を
やや正面になる位置に見やりつつ、
ほこほこ まったりとした午後を迎えておいでのはずが、

 “う〜〜〜ん。”

何ともかんとも収まりがつかないらしい様子で
ひじをついたその先の、大ぶりな作りの手のひらの上へ
肉付きの薄い頬から顎を乗っける格好、
いわゆる“頬杖”をついた態勢となったまま。
少しほど俯いては やや歪んでいる口許を隠してみたり、
そうかと思えば小首を傾げてみたりと、
悩んでおりまするという様相を存分にご披露した挙句、

 「…もうもうもう。」

とうとうそんなお声まで飛び出たものだから。

 「? イエス?」

こちらは、丁度 洗い物を終えたブッダ様。
キュキュッと小気味のいい音を立てて水道を止め、
柔らかそうな造作の手をタオルで拭う所作も嫋やかに、
流しの前から居室のほうを振り返ると。
穏やかな笑みを浮かべたお顔も麗しく、
何なに、どうしたのと、
相棒さんの愚図りっぷりへの相手をしようと
コタツの差し向かいへ、ついて下さったのだけれど。

 「ブッダが自慢の恋人さんなのが複雑なの。」
 「…よかったらそこへ至った途中経過も話してくれないかな。」

特に出発点とか、と。
もしかしてO型かもしれないイエス様の性格・性分を
ご本人よりも ようよう把握しておいでの、
ウチではA型だろうブッダ様。
眉を下げて やや困惑しつつ、
それでも要領を得た訊きようで問いただして下さったところ、

 「あのね、ブログに“今年の抱負”を書こうと思ったんだ。」

まだそれほど複雑にこんがらがってもない段階だったか、
口調はやや籠もりがちなそれながら、
そこは素直に語り始めるイエスであり。

 「抱負って目標とかのことでしょ?」

偉いなぁ、年頭にそういうことを考えるなんて、と。
ブッダが何とも微笑ましいというお顔になったところが、

 「だから、それがどうにも見つからなくて。」
 「ありゃ…。」

何が出来るようになったら良いのかなって思って、
考えながら巡らせた視線の先では、
ブッダが楽しそうにお片付けをしていて。

 「ああ、きれいだな、可愛いなvv
  うんうん、自慢の恋人だもんねって
  鼻高々な気分になったのは良いけど。」

 「…そ、そりゃどうも。/////////」

相変わらず刹那的というか、
鼻先でヒラリしたものに釣られては、
いきなり目的や話題が変わるイエスなのも把握済み。
とはいえ、
そのいきなりが他でもないこちらへ向いてたらしいと聞いて、
何を言い出すかなと赤面しつつも 一応はとお礼を言えば、

 「だからさ、
  ブッダって、
  美人でかわいくてってだけに留まらないじゃない。」

 「はい?」

やっぱりブッダを褒めつつも
ちょっぴり口許とがらせて、
憂鬱でございますというお顔をして見せるヨシュア様いわく。

 だから、器量好しっていうだけじゃあなくて。
 努力家で辛抱強くて、運動神経も発達してるし力持ちだし、
 何でもすぐこなせる“三日坊主”で(…)スポーツ万能で。
 そうかと思えば手先も器用でお料理や裁縫も得意だし、
 きれい好きだから掃除もお洗濯も整頓も苦と思わないし。
 いろいろなことを知ってるし、誰からも頼りにされてて、

 「ああそうだ、
  私 ブッダみたいな頼もしい人になりたいって
  いつも思ってたのにね。」

 「…そ、そうなの?////////」

口許を押さえつつの“ありゃ”と、
イエスの十八番の口癖を、今日はブッダ様が連発なさる始末。
そういえば いつだったか、
長きにわたっての片思いを抱えてたこと
実はと吐露してくれたイエスは、
天界でいつも優しく構ってくれたブッダの、
鷹揚で朗らかな頼もしさを参考にしているんだと言ってたような。

 「そうと思っていたのに、なのに。
  いつまで経っても、私、頼りないままだよなぁって。」

腕力が足りないなら鍛えりゃいいのに根気が続かぬ。
体力方面がダメならば…と視点を転じさせても、
関心の向く方向がよほどに偏っているものか、
今時のサブカルチャーや、ゲーム方面のPCスペックには強いけど、
普通一般の時事はちんぷんかんぷんだし、
奇跡を起こせる身なせいか、家庭の医学系雑学にも疎いまま。
大工仕事はお任せと こぶし握って言えるけど、
細かい作業はやっぱり苦手で、要領も悪くて。
結果として、家事一切はおろか
ファスナーが髪を咬んだとかいう ちょっとしたことまでも、

 「ブッダに頼ってばっかのまんまだしー。」

そんなこんなを今更ながらに思い当たったイエス様。
それでのこと、新年早々“はぁあ…”と
遣る瀬なさげに溜息をついてしまった彼だったらしい。
今年の抱負どころか
旧年中の反省事を思い起こしてしまっているところが、
楽天家なイエスには 珍しいほどの後ろ向き。

 “意外性の男ってことでは、想定内なのかもだけれども…。”

  おいおい、ブッダ様。
(苦笑)

まま、釈迦牟尼様にしてみれば、
このままもっとネガティブに向かう恐れはないとの
確信あっての感慨なのであり。

 “何たって、褒められて伸びる子ですから♪”

切っ掛けさえ与えれば…と、
その内心にて“おっ母様スマイル”が炸裂のブッダ様。
(こらこら・笑)
つまりは あっと言う間に持ち直すこと請け合いと、
そうなるようきっちり励ます自信もおありな模様。

  そして、
  そんな揺るがぬ安堵があってのことだろう。

大きな手の中に頬を埋もれさせてるイエス様の横顔が、
がぁっかりと意気消沈しているにも関わらず、

 「〜〜〜。//////////」

伏し目がちとなった目許は薄い瞼が彫の深さを強調し、
頬の縁にはまつげの陰が淡く落ちていて。
何とも言えない翳りの色香が 仄かに匂い立っており。

 あ、あ、どうしよう。/////////
 アンニュイなイエスも何かカッコいいかもvv、なんて

相変わらず母性の強いブッダ様。
苦悩の重さに折れそうな風情なのへ、
一瞬とはいえ、ときめいてしまい、

 「…っ。」

憂えておいでのヨシュア様だというに、
それへ萌えてどうするか、いかんいかんと。
福耳がふるふるスィングするほど
かぶりを振ってまでして気概の姿勢を正してから、

 「イエスったら そんなこと言わないでよ。」

薄い肩をがっくりと落とし込み、
ふしゅうと萎み切っておいでの伴侶様なのへ。
柔らかな苦笑つきの優しいお声をかけると、
ちょっぴり上目遣いになったブッダ様、
メッという表情を作って、あらたまったように言い聞かせる。

 いわく、

 「私がどれほどのこと
  君へ頼ってばかりなのかを知らないの?」

意外な発言だったか、え?とお顔を上げる彼なのへ、

 「下界へ来てからこっち、
  毎日がそりゃあ楽しいのも、
  思えば 君に引っ張り回されてのことなんだし、それに…。」

それって ちょっとあんまりなんじゃあありませんかと聞こえそうな、
天然無自覚なのだろが、
もっと呵責を与えてどうするか発言をしたそのままの流れから、

 「君を好きだと意識した途端、
  新しい想いを色々と毎日いっぱい体験してる。」

わざわざ言うなんて恥ずかしいなぁと、
頬を染めて含羞みながらも ふふふと甘く微笑ったブッダ様、

 「ドキドキしたり、ハラハラしたり、
  焼き餅だって、実はいっぱい焼いたかな?」

 「え?//////////」

泰然自若、どんなことにも揺るがぬ、
鷹揚で寛容な態度を常に持てるよな。
そうまでの心持ちを当然とする、至上の悟りを開いたはずなのに。
恋心という甘い蜜欲を生まれて初めて抱いたその途端、
まあまあ 心が揺れたこと揺れたこと。

 でもね、あのね、
 イエスがちゃんと見ていてくれるから、支えてくれているから
 だから全然大丈夫と…

ブッダ様、それ“大丈夫”の使い方 間違ってますが。(苦笑)

 「イエスを好きになってよかったって、
  そこからの元気も
  いっぱいいっぱい貰っているんだもの。//////」

 「えっと?/////////」

ちょっと抽象的だったので、
実をいや まだちょっと判らなかったイエス様だったけれど。
こんなことをわざわざ言うなんて恥ずかしい…ということか、
いやぁんvvと真っ赤になったブッダ様は
得も言われず可憐で 何とも可愛いらしかったし。
そのまろやかな肩を覆って、
はさりと螺髪がほどけてしまったところからして、
ラブラブな方面のやつやんか…と いうのは何とか察せられたので。


  「……………ま・いっかvv/////////」



  ● いえっさの今年の抱負 ●

    同居人をあんまり怒らせないようにすること、です




 「……イエス、
  これでは、私が随分と
  怒りっぽい人なように解釈されかねないんですが。」

 「……………………あ。///////」



   お後がよろしいようで。(おいおい)




      〜Fine〜  14.01.01.


  *ジョニデにも似ているイエス様ですが、
   シーツにくるまってベッドにアンニュイに座しておいでの
   芳香消臭スプレーのCMに出て来る
   お髭のガイジンのお兄さんも
   なんか似てるなぁと気づいてしまったもんだから。
   ……最近流れてないのが ちょっと不満です。
   (シチュエーションがそれなのに、
    ドリフの“いい湯だな”の節を口ずさんでるアレ。)

   それはともかく。(あはは)

   確か、世界で一番恐ろしいものも、
   同居人を怒らせることと書いてた“いえっさ”さんなので、
   ブログの常連さんたちからは、
   般若か阿修羅のようにおっかない人なのかとか
   思われているかもですね。

   「せめて ドSなVer.の檀蜜さんとか…。」
   「おや、そういうのがお好みなのですか?」
   「…っ☆」

   話をややこしくしない。(う〜ん)

めーるふぉーむvv ご感想はこちらへvv

拍手レスもこちらvv


戻る