キミとならいつだって お出かけ日和

  “さも似たり?” 



一年の始まりは一月からだが、
日本の様々な“年度初め”は四月からとなっていて。
春先というのは例えば農耕の手順の初めだったりもするので、
古来からのそれを依然として順守してのことなのかなと思いきや、
それで数える旧の暦は別にあり、
そっちだと“立春”が一年の始まりだったとか。
しかもしかも、今の二月の頭にある立春ではなく、
もう少し遅い三月の頭くらいになるというから、

 「???」
 「ま、まあ、今はそれも使ってはない訳なんだし。」

把握と理解がごちゃまぜになったか、
小首を傾げつつ眉根を寄せたイエスが、
そのまま口許まで“むむむ…”とひん曲げるに至ったのへ。
そうまで深く追及しないでいいんだよと、
見かねたブッダが ついつい助け舟を出したほど。

  と、とにかく、心機一転の年度初めであり

学生さんには新しい学年も始まるし、新社会人になった人もあろう。
新しい税制に改正されるものも多々あるし、それへ連動しての値上げも多数。
たまには下がればいいのにねとも思うのだが、
それはそれで“デフレ・スパイラル”とかいうのが吹き荒れもして、
あんまり度を超すと結局は消費者のお財布へも
大いなる反発が来るだけなので……とか何とかいう小難しいお話は、
またぞろ イエス様の眉間がコイルになるだけなので
ここまでにしておくとして。(苦笑)

 「アニメは とうとう深夜が主流になっちゃったのかなぁ。」

春と言えば、TVの新番組も続々と始まっており。
全局 24時間 総てのドラマを網羅し、
それぞれへのレビューをUPし続けているという、
驚異の…というか、いかに平和かの象徴でもあるイエスのブログも、
番組改編に合わせての“入れ替え”が激しかったようで。

 「四月の半ばまでは、番組紹介を兼ねた特番が続くんだよねぇ。」

内容はモノによっちゃあ脳内視聴で把握出来もするので、
いちいち全部を通して観ているわけじゃあないとはいえ。
どんなラインナップかが 枠によってはまだ出揃っていないとかで、
早いとこ落ち着いてくれないかなぁと、ややヤキモキしておいで。
そんなブログ用の資料ででもあるものか、
俳優さんたちなのだろう、
カラフルな全身スーツをそれぞれにまとった顔触れのスナップを、
コタツにあたりつつ つくもんのモニターに幾つも展開しているのが。
丁度 裁縫セットを押し入れへ仕舞って振り返ったところだった
ブッダの視野にちらりと入った。

 「それって春から始まる“戦隊もの”なの?」
 「え?」

カンフーの型よろしく、
いかにもなポージングで決めている集合写真が何枚もあるし、
どのお人も、フルフェイスタイプのマスクで
顔から頭から覆い隠しているとあって。
あんまり詳しくはないブッダでも、
日曜 朝のヒーロータイムに登場する
ライダーか戦隊ものかのどちらかだろうと察しはついたらしいのだが、

 「う〜ん、ちょっと違うんだな。」

半分当たりだよというお顔、
イエスは ふふーとやや自慢げに微笑って見せると、
そっちは変身前の姿なのだろう、やはり集合写真風のスナップを引っ張り出し、

 「地方のご当地ヒーローってやつでね。」

▽▽県の○○○レンジャーっていうんだけど、
一昨年の戦隊もののスーツアクターさんが時々助っ人していてねと、
そりゃあ嬉しそうに説明してくれて。
地方のということは全国ネットでの放送はされていないのだろうに、
そんなコアなことまで御存知なのは…まま今更な話。
まるで十代の子ででもあるかのように、
キラキラした眸になり 相好崩してしまうのも、
これまたいつものことだけれど、

 “…おや。”

そもそもの絶対数がそうなのか、
何人かで一組の“戦隊”なのだろに、
単独のスナップの枚数がやや偏っているような。

 「決め技を繰り出すときの決め台詞が
  時々 方言だったりするのが…って、ブッダ?」

押し入れの前に立ったままで見下ろしていたものが、
不意に すとんと膝をついてまでしてイエスの傍らへ座り込み、
わざわざ間近になって、じいっとモニターに見入るものだから。
さすがのイエスも様子が変だと気がついて、
どうかしたの?という声を掛ける。
妙に真摯なお顔になってしまったブッダが、
いやにしっかとした一点集中で見つめているのは、
柔らかな茶色に染めた髪を肩を覆うほどの長さにし、
くりんくりんと巻き髪にした、ちょっぴり大人な雰囲気のお姉さんで。

 「ねえ、イエス。」
 「なぁに?」
 「この人の写真がやたら多いのはどうして?」
 「あ、やだなぁ、気がついた?/////////」

ずばり指摘されちゃったぁvvと、照れ臭そうに ふにゃんと微笑う。
照れはしても焦ることはないのは、
彼が アガペーという普遍の愛の申し子だからなのだろうけれど。
他でもない、このシチュエーションでという場合だけは……

  学習能力ないのか、あんたわ、と

見守るこちらを、やたらと ハラハラさせる
相変わらず、何とも困ったメシア様でもあったりし。(苦笑)
場外からもこうまで案じているというに、
同じお嬢さんの別の画像をぞろぞろと広げ始め、

 「この役でしか露出はしてないらしい新人さんでネ。
  何でも“ミス▽▽県”になった縁で出演が決まったとかで…」

ご本人様のプロフィールにまで、
通じておいでらしいことが明かされるに至り、

 「…そう。かわいい人だものね。」

ややもすると単調な、それは静かなお声でブッダが褒めれば、

 「でしょーvv」

やだブッダにも判る?と、声も弾んでの上機嫌。
同じものを一緒に見て楽しんでいるという感覚なのか、
あまり傍らの伴侶様のほうを見ないままなのがこの際は祟っており。
可愛いものを愛でてる人は、
そうまで堅い顔にはならないと思うのだけれどというところ、
まるきり気がつきもしないまま、

 「何が可愛いって、
  周りのメンバーのやんちゃに“こらぁっ”て怒って、
  でも、しょうがないなぁって苦笑しちゃうときのお顔がサ、」

そんな細かいシチュエーションつきで、どっぷり好きなんだねと。
お膝にそろえた両の手を
ふるるっと震わせ始めていた釈迦牟尼様だったのだけれども。

 「含羞んで微笑うときのブッダにそっくりなんだな。/////////」

  ……っ、…………はい?

さすがにテレビタレントさんが相手とあって、
今回は哀しくなるパターンではなかったらしく。
何かしら苦々しいもの咬みしめたようなお顔を、
敢然と上げかけたブッダが、だが。
思いもかけぬ言い回しと出合い頭に衝突しかかり、
そんなお顔を 中途半端に空中分解させてしまったのは、
ある意味、素晴らしい反射だったとも言えて。

 「…わ、たしに、そっくり?」
 「うんっ♪」

ほら、動画を静止させたんでちょっと画面が粗いけど、
ちょっとプックリしてる唇を
もうもうって尖らせかけて途中から微笑ってしまうところがサ、と。
説明どおりの表情の変化を何とか捉えんとしたらしい、
連続画像をわざわざ引っ張り出すに至り、
これはどうやら本気の言であるらしく。

 「……このお嬢さんが? 私に似てるって?」
 「うんっ♪」

今にもお怒りを爆発させ掛けていたのはどこのどなたやら。
言われてみれば、やや口許が福々しいかも知れない、
なのに、セクシーと言うよりは やはりお姉さんポジションなのだろう、
清楚な笑顔のお嬢さんを、再びまじまじと見やり、

  に、似てるかなぁ?、と

暦のお話をしていたときのイエス様よろしく、
眉間にコイルを巻きながら、小首を傾げておいでのブッダ様だったりし。
そんな彼なのをどう解釈したのやら、

 「あとねぇvv
  こっちの、春からのアニメに出て来る魔法学園の理事長さんは、
  微笑ったときに眸を細める感じが、やっぱりブッダに凄く似てるし。
  それから、この生保のCMに出てる若いお母さんはね、
  赤ちゃんを抱えてる手のやわらかそうな安定感が…vv」

 「………お〜い。////////」

しっかりとフォルダー作って、
彼なりにそうと感じた範疇での“ブッダに似た人”の画像ばかりを
色々と収めておいでだったらしいイエス様であり。

 「あ、心配しないで。ブッダの写真とごっちゃにはしてないよ?」

幾らなんでも本人の画像はまた別格なんだしィと、
見当違いもはなはだしいところを案じて下さったのへ。

 「〜〜〜。///////」

それって“ありがとうvv”なことなのかな、
並み居る美人さんたちの中、
私をこそと特別扱いをしてくれているのは正直嬉しいのだけれど(←あ)
でもでも、こういう場合は何て言えばいいんだろうかと。
仏界が誇る 知慧の宝珠たる釈迦牟尼様が、
困惑のあまり 返す言葉に窮しておれば、

 「ぶっだ?」

戸惑いから言葉は発せず、だがだが、
潤みの強い深瑠璃の双眸にて、
じいっと見つめてくるブッダであること、
一体どうと解釈したイエス様だったやら。
間近になってた すべらかな頬に、
やや身をよじりつつ そおと手を伸ばし、

 ……いぃい?///////

やや小首を傾げつつ、そうとしか聞こえない(ブッダ様 談)
罪な切なさに満ちた玻璃の眼差しを向けられては。

 「あ……。////////」

困惑も戸惑いも何処へやら、
あ・いやいや、別口のそれへと塗り替わったというべきか。
その縁へ赤みを染ませた目許を覗き込まれ、
愛しいお人の甘い眼差しで“いぃい?”と念を押されては、
もうもう逆らえやしないというもので。
やわらかいまま ほのかに熱い、そんな唇が触れたと同時、
慕わしい香りと温みにくるまれて。
ちらり持ち上がりかかった悋気の虫も何処へやら、
すっかりと夢心地な中へ取り込まれてしまった
ブッダ様だったそうでございますvv




     〜Fine〜  14.04.10.


  *特徴のある人を好きになってしまうと、
   ほんのちょっぴり似た人まで無性に気になるから不思議ですよね。
   某お侍様の惣領様に転んだおりは、
   癖のあるロン毛キャラには
   片っ端から“イカス…vv”とうっとりしちゃったものですよ。
   当時、海賊映画で一世を風靡していたジョ○デ様まで、
   シルエットが カ○ベエ様に似ているからという奇天烈な理由で、
   お気に入りにしておりましたしね。(笑)

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