恋でも愛でも 理由なんて あとからでvv

  “おやすみの前に…” 



窓の外では、夾竹桃の生け垣が風に揺すぶられてだろう、
大きなさざ波みたいな音がして。
不意に振り出した雨の音にも似てるけど、
夜中に雨が降るかも知れないと聞いてもいたけど、
まだその気配はないみたい。

  …あめ?//////
  ううん、違うみたい。

懐ろからもブッダに聞かれて。
そういう気配、私より敏感なはずが、
大変だったんで尚更判らないのかなと。
そうと思えば何だか微笑ましくなってしまい、
口許をほころばせつつ答えれば、

 …なによ。///////

何を笑っているものかと。
そういうのには敏感に むうと口許曲げるのが、
ますます可愛くてたまらないのだけれど。

 何でもないvv////////

ちょっぴりごそもそと、
二人 お互いしか見えてなかった
甘くてくすぐったい ひとときを過ごしていたから。
雨が近くて気温が高いのか、
それとも そのせいで暑いのか
微妙に判らない私たちだったりして。

 …はぁ、と

ずっと息を殺していたものだから、
胸がせつなかったらしいブッダが、
深呼吸にしては甘い吐息をこぼしつつ
ころんと仰向けに寝返りを打つ。
すっかりと解けていた長い髪、
背中で踏まぬようにと
慣れた手際で器用に追いやるのが見えて。

 「いつものキミも綺麗だけど、
  髪がほどけたブッダはね、なんか可愛いね。」

 可愛い?

 うん。

そおかなぁと、キミは眉を顰めてしまい、

 「だってこの頭って、王子時代の髪形だし、
  微妙に顔にも険が出てよろしくないって梵天さんは言ってたけど。」

うん、意識して解いたときは、
見ようによってはちょっと凛々しくなるよね。


 “でも、それが危うく見えもするのはどうしてだろう。”


イエスが初めて天界で見たブッダは、
広大な湖の湖面で瞑想していて、
その折も、どういう加減か…無我の境地にあったからだろうか、
螺髪はすっかりと解けた姿であったのだが。
ただただ静かに座していただけだというに、
圧倒的な存在感を持つ、
それこそ特別で神聖な尊だった。

 知性と品格をたたえた泰然とした姿は、
 人の形をした森羅万象の如く 壮大で重厚

忍耐により築かれた人性は、
奥行きも深く、風格さえ感じられて。
されど、あふれんばかりの温かさが、
そのやわらかな風貌をおおうオーラとなって現れてもいて。
接する人を別け隔てなくくるむように包み込む、
慈愛の人とはこういう存在を言うのかと、
何も聞かぬうちからそれが判った素晴らしい尊格で。

 そんな彼が、だが 本当に稀に
 戸惑って見せたり、不安定になると、
 不安そうなお顔を縁取るのもまた、
 さらさらとほどけた深色の長い髪だったから。

 “それで、なのかなぁ…。”

今はまた別、
自分とだけ過ごす
たいそう密なひとときにだけ見せてくれる、
甘えたなお顔に似合いの、
ちょっぴり柔らかい印象がする風雅な髪が、
こよなく愛しいヨシュア様だったのでありました。





   〜Fine〜  14.05.12.


  *年下攻めは 初めて書くなぁ。
   でもって、ウチのブッダ様って、
   微妙に誘い受けぽいしなぁ…って。
   拍手お礼なのに こんな内容ですみません。///////

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