“寒の季節も何のその”
日本という国は 結構めりはりのある四季が巡る風土であり。 お互いの境目こそ、 自然のことなればで 暑い寒いの行ったり来たりもあるけれど、 あるいは土地によってという 差異もあるけれど。 冬は見上げるほどに うずたかく雪が降り積もるものが、 夏には陽向の車のボンネットで 目玉焼きが焼けるぞ…というほどに、 途轍もなく差のある気候が めくるめく勢いで駆け巡る国であり。
「しかも、 随分と小さな島国なのにねぇ。」
「位置取りが絶妙だからだろうねぇ。」
南西アジアのように 赤道付近へ横に配置されてるでなし、 北極付近の諸々島のように 以下同文されているでなし。 その四隅が東西南北へ 絶妙な距離を保って広がっていることが、 こうまで小さな国だというに、 時節の折々につけ、 春は梅から桃に桜に 菜の花の黄色もいとけなく。 初夏には緑と木下闇、 秋は赤や黄の錦が散りばめられて、 冬は蒼氷白雪がきんとした空気とともに 景色を彩り。 空の青のみならず、 黄昏の色合いや夜陰の深みもまた、 それらに合わせるように 力や濃さを変えての千変万化をすることで、 四季七彩、様々な風情を 楽しむことが出来るのであり。 そんな一年の暦を“節季”というので区切り、 ああもうすぐ春だね、秋だねというの、 注意喚起するのも忘れていないところが、 やっぱりマメです、日本人。
「そういうところが、 勤勉な国民性を育んだのだろうねぇ。」
「まだ冬なのに春を想うほど、 何かと前倒しが好きでもあるしね。」
……う・う〜ん、 そこはちょっと…。(笑)
生まれも育ちも異邦であるうえ、 その後は後で “グローバルな”なんて一言じゃあ おっつかぬ “天界”という 極めて高くて遠いところから 見守って来られたせいだろか。 まだちょっと、 日本という国を 微妙に斜めに把握しておいでなのが、 微笑ましいやら 生暖かいやらな最聖のお二人なのは、 まま ご愛嬌かと。 そんな彼らが テレビの画面の中に見守っているのは、
【 会場となる大通り公園には、 大きな雪像の製作に当たり、 本格的な足場が組まれて…。】
暑い真夏には、 海水浴にと訪のうた砂浜で 砂の像を作るイベントがあると聞くが、 真冬には何と、厳寒の北海道で 大通り沿いに 大小様々な雪像を幾つも作って 展示するという催しが 毎年恒例で実施されているとの話題に、 おおうvvと それは素直に食いついてる二人だったりし。
「この豪雪を 逆手にとってのことだろうね。」
「ああでも、 本当の建物規模で作り上げるところが 物凄いじゃないの♪」
本格的に足場を組んでの大仕事、 実物大の遺跡や名勝を 固めた雪で それは精密に作り出す技術が素晴らしく。 その準備に今から大わらわだというニュース、 テレビ越しに観て わくわくと心弾ませておいでの イエス様とブッダ様。
「そういえば、 かまくらという雪の家を造って 汁粉や甘酒を用意して、 観光客をもてなす地方も あるっていうよ?」
ネットで見つけたのだろ、 イエスが楽しそうに告げれば、
「あ、それって テレビか何かで私も観たvv」
かわいい大きさの ドームみたいなお家でしょ?と、 同じようにほっこりとお顔をほころばせ、 ブッダもうんうんと頷いて見せる。
でもね、あのね?
沖縄に旅行したときとは違い、 テレビでの鑑賞で十分だとするお二人なのは、 さすがに… 横殴りの吹雪も襲うよな方面へまでは、 わざわざ出掛けようとは思えぬからであり。 中継先から レポートしている女性アナウンサーも、 ニット帽に耳当てに スキー用だろうジャケットやグローブという 見るからに 重装備といういでたちをしているし、
“寒いのがどうとか 言うんじゃなくて…。////////”
“此処から どっかへ 立ってく気が しないからかなぁ。////////”
今日もちょっぴり冷える都内だが、 なんの、お住まいはコタツやカーペット、 電気ストーブでぬっくぬくで、 小さなフラットだから、 これで十分 居心地はよし。 コタツの上には ブッダが淹れた 温かくて甘いミルクティーと お手製クッキーが運ばれていて。 天板の真ん中に敷かれたチラシの裏には、 月末の予定があれこれと、 それぞれの方向から書き連ねたのだろう、 斜め同士の寄せ書き状態になっていて。 ご町内やご近所で催されるイベントのほかに、 それぞれのスマホや イエスのノートPCからの 検索で拾った催しも、 赤鉛筆で星やら花丸つきで挙げられており。 これからそれを精査してこうネと、 二人でワクワクしていたところ。
「スマホと言えば、そろそろコンビニで たまった写真の何枚か、 プリントアウトしたいなぁ。」
「え? 何なに? いつの写真?」
大きめの手の中へ 自分のスマホを収めるイエスに、 ブッダがキョトンとしつつも訊いたれば。
「ほら、大寒マラソンの表彰式のとか。」
「あ……やだなぁ。//////// そんなの、写真に起こしてどうすんの。」
今年も頑張った如来様、 五等と相なり、商品券もゲット出来、 お餅もいただき、ほくほくな初春だったりし。 そりゃあまろやかな暖かさにくるまれた、 何とも幸せなこの居心地のよさには、 どんな楽しそうなイベントからの “おいでおいでvv”も 太刀打ち出来るはずもなく。
“それより何より、”
“すぐ間近に、 誰より愛しいお人が居てくれるのがvv”
同じコタツにあたりつつ、 視線は時折 テレビやスマホへ向きつつも、 相手の存在感への 意識が逸れるなんてことは まず無くて。
“えっとぉ。/////////”
いかにも大人の男性のという感の強い、
大きくて頼もしいイエスの手が
スマホを くるんとくるみ込んで持ってるだけで
男臭くて素敵だなぁって惚れ惚れするし。
“まだこっち見ちゃダメだよ、お願い。///////”
何か思いついたのか、チラシのうえに何か書き足し始めたブッダ、
伏し目がちになった目許へ淡い陰落とす、
長いまつげの悩ましさを、
こそりと盗み見ては ううう…vvと悶えてしまったり。
ああ、なんて幸せなのかな、と
ついついこぼれる幸せな笑みに突々かれ突々かれ、
我慢仕切れずお顔を上げて見やったなれば、
「………あ。/////////」 × 2
同じことを思ったらしいこと偲ばせる間合いで、
互いの眼差しがかち合うことで。
あわわvvと慌てつつも、
ドキドキする心持ちはますますの喜色に満たされて。
真っ赤になるのもお揃いの、
それは温かな
甘い甘い幸せにくるまれているのだもの。
春が来ていたって
なかなか気が付かないかも知れないお二人なのかもしれませんvv
〜Fine〜 15.01.25.
*そろそろ拍手お礼を差し替えなくちゃなぁと思っちゃいたんですが、
なにぶん忙しくて、
こんな時期まで放置になってましたすいません。
季節ものはやめた方がいんですがね。
懲りてなくって二月を前にという作品となっちゃいました。
春になってもこのままかも…ううう。(こらこら)
めーるふぉーむvv


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