“そこが奇跡?”
イエスは本当に歌が好きで、
流行のでも懐メロでも、どこかで聞いたらしい子供のでたらめな歌までも、
掃除しながら、PCの操作をしながら、
窓辺へ靴下や下着といった小物を干し出しながらといった
本当にちょっとした間合いにも、
歌詞のサビのところを口ずさんだり、最初っからをハミングしたり。
本人は無意識らしいそれであれ、気付いたブッダが
“ああ、ご機嫌なんだなぁvv”
苦笑するほどに判りやすく 歌ってくれるのが、
何とも微笑ましいたらありゃしなくって。
「? どうかした?ブッダ。」
今も自覚はない無意識のハミングだったか、
PCのキーを軽快に叩いていた手を止めて。
向かい側からいかにも微笑ましいというお顔を向けているブッダなのへ、
彼の側こそ不審がってるというようなお顔、
“なぁに?”と小首を傾げるイエスだったりし。
それを聞いて苦笑をなお濃くしつつ、
「うん。イエスってその歌好きなんだなぁって。」
「え? あ、また歌ってた?私。////////」
揶揄するような口調ではなかったものの、
余程の不意打ちになったものか、
口許へ手を添えてというおまけ付き、ありゃまあと困ったような笑いようをする。
というのも、
「…何か奇跡とか振り撒いてた?」
「いや、そこまでの事態にはなってないけど。」
ちょっとばかり猫背になって小声で訊くイエスなのへ、
ああ、そうかそういう心配かぁと。
訊かれたブッダも鼻歌レベルでそこまでは案じてなかった“あるある”に
今更ながらに感心したのは まま置くとして。(置くのか)
「その唄って、何の歌か判るほどはっきり歌ってたの?」
自分がやらかしたことなのに、
そこが無意識だったからこその由縁と言いますか。
恥ずかしいことなら
訊いて確かめるのって自虐にならないか?と思うよなことだろに。
まるで、何々どんな寝言言ってたって?と訊いてくるよな
そんな微妙な訊きようをされて。
まま、こういうところが無邪気なイエスならではなんだしなぁと、
ブッダの側でも余計なツッコミは省略し、
「うん。
よほど気に入っているものか、
いつもハミングしてたり、口ずさんでたりするしね。」
そうと言ってから、サビのところをほんのちょっぴり、
真似するように歌って見せれば、
「…っ////////、あ・ちょっと待って待ってっ!」
ぱぁっと赤くなってから、はっとし慌てて自分の周囲を見回して、
カーディガンのポッケからスマホを取り出すイエスだったのへ、
「ヤだからね、録音しないで。///////」
「何で何で?」
彼の思惑へ素早く察しがついたのは、
釈迦牟尼様がさすがは浄土の知慧の真珠様だったからか、
それとも…そのくらいは
付き合いの長さから 苦もなくお見通しだったか。(笑)
歌いませんと気真面目なお澄ましのお顔をわざとらしく作って頑としてお断りし、
イエスに“つまんなぁい”という落胆をさせてから。
ちょっとお茶目を装ってみただけだよと、
くすくす笑って本気で怒ってはないと示すのも忘れない。
ノートパソコンの画面表示の部分を立てているので、
俯かれるとお顔が見えにくくなるのが詰まらないものと、
そこもまた、ささやかながらもヲトメチックな機微をちらりと覗かせたものの、
「その歌、最近よく歌ってるよね。」
確か若い人向け恋愛ドラマの主題歌だったけど、
同じ時間帯にかぶってた情報バラエティを毎週観ていた聖さんチなので、
そこから入ったイエスではないはずで。
最近多い 今年の総決算系の
3時間4時間スペシャルとかいう体裁の歌番組は観ているから、
そこから覚えちゃったかなくらいに思ってはいたけれど。
“他の歌を全然歌わなくなったほどのお気に入りっぷりだものねぇ。”
歌い手さんは男の人で、
学生さんの恋の鞘当てっぽい歌じゃなく、
恋より愛を語るような歌っぽい。
でもでも、スマホにダウンロードするほどでもないのか、
ネットラジオみたいに聴いてる風でもないかなぁ…と。
既にそこまでの観察を行き届かさせるほどには、
ブッダに微妙な警戒心を起こさせ始めていもしたようで。
“…判ってるんですけどね。///////”
おおう、場外からの言い回しに何かしら気づいたらしい如来様。
目の縁をうっすら赤くしたのは、
恥ずかしい悋気がまた起きたように言われたと感じたからか。
だってだってともじもじしかかったそんな間合いへ、
「だって歌詞が素敵なんだ。」
イエスがにっこり微笑って応じてくる。
キミの声が聞きたいって、
世界を照らして僕を救ってくれるような声だって、
なんか、あのその、
「私の気持ちを、そのまま代わって言ってくれてるみたいで。///////」
「え…?」
これって歌ってる人が 歌詞も曲も作った歌なんだって。
もともとサビのところだけを聞いたときからして、
ノリのいい歌だなって思って
すぐにもお気に入りになっちゃったんだけど。
「初めてフルコーラス聞いたときはドキドキしちゃった。」
ふふーとちょっと照れたままに笑って見せて、
「何で私の気持ちが判るのって、
何でこうも上手に言えちゃうのって、
そんな風にびっくりしながらも、
胸の内がぱぁって晴れてくみたいな気持ちになっちゃってvv」
ニコニコ笑うイエスだが、
このお歌と言えばの思い当たりがなくもないブッダ様。
“そっか、先週の歌の祭典を観てた時のあれは…。”
もうすっかりと暗くなってた宵のこと、
窓の外、夾竹桃の生け垣がざわりと揺れてから、
聖家の腰高窓の桟の上で起こった異変。
確か昨年イエスから送られたそれは
ピンクのプリムラと紫のアネモネの鉢植えだったはずが、
小さいながらもちゃんと熟したスモモをば
ぽぽぽぽ・ポンっと実らせた奇跡が生じ。
濃い赤紫の実がいくつもいくつも、
畳の上へゴロゴロと落ちかかってびっくりさせられたのを思い出す。
あれはイエスが、ハミングの持ち歌に入れたばっかなお歌の
フルコーラスに感動して起きた奇跡だったらしく。
「あ、でも、説法を説く身だからっていうのじゃなくて、
これはあのその……。//////////」
そこでやっと、あわわ、なんか恥ずかしいこと口走ってないか私と、
我に返ったところが、いつものイエスらしいなぁと。
頬を手のひらで押さえて照れまくるヨシュア様を
和んだ眼差しで微笑ましく見守るブッダ様だったりするのだが、
“だってこの唄歌ってる人、
何かブッダと声が似てるし…。////////”
そんなことをば思われていようとは、
思いも拠らない釈迦牟尼様だったようで。
あとで歌の方を聞く機会が出来たとき、
歌詞の中に出てくる“キミ”をイエスったら私に置き換えてた?と
遅ればせながら気がついたら、またぞろひと騒ぎかもですね。(大笑)
〜Fine〜 15.11.27.
*誰のお歌がモチーフかは内緒。(しらじらしいかな?) 笑
ちなみに、私にはヨシュア様からのラブソングに聞こえてしょうがないですvv
それはともかく。
安心してください、セーブしてましたよ?
…なんていう自覚あってのこととは思えないのですが、
(流行語は風化して何のことだか判らなくなるから危険だってのに) 笑
そもそも、バカンスだからと下界へ降りて来た段階で、
ご自身のオーラとかも ある程度セーブしてらっしゃるはずですし。
くどいようだけど、そのまんまでいたらば
あっという間に敬虔な人たちに気付かれちゃうでしょうから、
余程に羽目を外すか桁違いの感動をしちゃったときでもないと
奇跡はいちいち起きない、と思いたいのですが。…う〜ん。
めーるふぉーむvv 


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