あた〜らしい春が来た♪
 

 “油断も嬉しvv” 



そろそろ朝晩もさほど寒いという気温でもなくなって来て。
お天気の良い日の昼間なんて
外に出ていると随分と暑く、
半袖になりたくなったり
冷たいものが欲しくなるほどのお日和になりつつあって。

 “コタツや毛布はそろそろ片づけた方がいいかなぁ”

やるべきことは気がついた時にちゃっちゃと片づけたい派。
大掃除や模様替えという“一日仕事”級の家事などなど、
特に理由もないのに日延べしたり先送りしたりするなんて、
気になって気になって落ち着けず、
結果、億劫がるイエスの尻を叩いてでも そのまま手をつけちゃって
大仕事を黙々と片づけてののち、
“やれやれすっきりvv”と充足感に浸るのがセオリーなブッダ様。
季節の変わり目になり、花粉症が収まるこの時分ともなると、
さて、いつコタツを片づけてやろうか とか、
押し入れの中に据えている整理ダンスの
中身の位置の置き換えにいつ手をつけてやろうかとか。
そういう一大家事への段取りやプランニングを
ああでもないこうでもないと考え込むのも実はちょみっと楽しい、
それもやはり春恒例の思案にふける頃合いでもあったりし。
その折の一番の苦労というのが、
冬用の毛布や布団を
クルクルとロール状に丸めて縛り上げる作業でもなければ、
衣装の差し替えをする際に、
春秋の新柄をプリントした シルクスクリーンTシャツを
どうやって紛れ込ませるかに狡知を巡らせることでもなく。

 “イエスをどうやって乗り気にさせるか、なんだよねぇ。”

どうせいつかは手をつけることなんだからと尻を叩けば、
ブッダの言うことが間違ってはないからか、
こ、恋人からのお願いだからか///////、(ひゅーひゅーvv)
それとも 目が座ってしまっての仏の顔になられては怖いからか、(……)
え〜〜っとか もぉ〜〜とか言いつつも、
最終的には腰を上げ、一緒に手をつけてくれる彼だけど。

 “毎度毎度 それっていうのはちょっと何だか…。”

それじゃあまるで 私って口うるさいお母さんみたいじゃないかとか、
もう尻に敷かれてるんすか?なんてペドロさん辺りから揶揄されるんじゃなかろかとか、
イエスもまた一大宗教の開祖だというに、
睨まれると逆らえないだなんて風評が広まるのは
彼の威厳というか格というかが台無しになるんじゃなかろかとか。
それもまた物事の後先を忘れぬ周到さが招く先読みか、
それにしては…微妙にヲトメチックな代物ばかりだったれど。(苦笑)
新たに加わった要素も含め、どうしたもんかと考え始めたその矢先、

 「……あ。」

今日も昼間は気温が上がりそうとの話だが、
日頃の習慣からだろう、こたつ布団に足を突っ込み、
天板の上に開いたPCを眺めているという、いつものスタイルでいたイエス。
カチューシャ代わりの茨の冠をいただいた、
裾へ降りるにつれてうねる深色の髪を
背中とそれから、ややこけた頬に沿ったまま胸元へと垂らした様子が、

 「…。/////」

身内にはお行儀の良い結髪か剃髪しか見回せぬお立場には
この身だしなみは新鮮だったか。
時々“面倒なんならキミも螺髪にしたら?”なんて言うこともありながら、
その身に受けた凄惨な試練を思うか、それとも人の子らの未来を憂うるか、
伏し目がちとなった静謐な横顔には
やっぱりこの髪型で、この長さじゃないとと、
そんな納得のままに頬が知らず赤くなる如来様だったりもして。

 「…っ。」

とはいえ、こちらだとて解脱をなした敬虔な身。
この痩躯の光の御子が好きだと思う気持ちに嘘はないけど、
だからって日頃の始終、ぼんやりさんでいるのはどうか。
我に返るとぶんぶんとかぶりを振って、
ついでに“んんんっ”と咳払い。

 「イエス、お茶でも淹れよっか?」

いくら温かくなりつつあるとはいえ、まだアイスティーには早いから、
いつものミルクティーを淹れようねと、
押入れ前から歩み寄ったコタツの傍らだったが。
そうまで寄ってみて気がついたのが、

 「え?」

PCの画面に集中しているものかと思ったその玻璃色の双眸が、
ようよう見やれば 深い眼窩の奥で閉ざされており。
キーが並ぶところを避けて
端末の上へ載せられた手も動く気配はないままで。
……早い話、まだ午前中だというに、
うとうとと舟をこぎつつ転寝中でいる模様。
ありゃまあと呆れかかったブッダが、だが、

 「……。」

その場へすとんと、
出来るだけ音もなく膝を落としてから、
そのまま畳の上へ手をついて。
お行儀がいいとは到底思えぬ恰好ながら、
そそそっと極力静かに傍へ寄る。
もうすっかりと明るい時間帯だから、
壁の向こうや窓の外からの生活音もあれこれ聞こえるが、
不思議なもので、それがあるからこそ この空間の静けさが強調されており。
そんな中に、耳をそばだててやっと聞こえる小さな寝息が

 「〜〜〜。/////////」

ああ、どうしよう、間違いなく変な人かもしれないが、
こんなささやかなことが うわぁっと声が出そうになるほどに嬉しくてしょうがない
そんな想いを現すように、ほおがますますと赤くなり、
声を出してはイエスを起こすからか、清らかな白い手が両手掛かりでその口許を覆う。

 油断してる?
 いやいや、安心しきってるからだよね?
 でもね、あのね、キミって割とカッコつけたがる人だから、
 うっかり気を抜いてる寝顔を晒してたなんて
 はっと我に返ったら “恥ずかし〜///////”ってならない?

だとしたら、気がつかなかったよって振りをした方がいいのかな。
ああでも、こんな無防備な寝顔、明るい中で観られるなんて
知らん顔して背中を向けるとかして 逃してしまうのも惜しい気がするし。

 「……。/////////」

どうしようどうしたらと、
こんなささやかなことでさえ、胸躍る出来事として拾えてしまえる、
頼もしいのだか純情可憐なのだか、
相変わらず奥が深い釈迦牟尼様であるようでございますvv





    〜Fine〜  16.04.27.


 *ブッダ様のモノローグだらけですね。
  これでイエス様が、実は狸寝入りしてましたということだったら、
  何だよそれ〜っとますます真っ赤になるのか、
  恥ずかしさの反動から拗ねてしまうのか…。
  そういう話しか浮かばない、困った頭のおばさんです。

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