***** 体感温泉リポート ]U *****

(熊本県)湯の鶴温泉(古い湯治場)

  あさひ荘(外来入浴)・・・展望風呂:pH 8.5、岩風呂:pH 8.5 (単純硫化水素泉)
  永野温泉(宿泊)・・・男女別内風呂:pH 8.8
、男女別露天風呂:8.7 (単純硫化水素泉)
  きくの湯(共同浴場)・・・男女別内風呂:pH 8.95 (単純硫化水素泉)
      入湯日・・・03年12月29・30日 (各温泉のpHは当日の実測値です) 

熊本県水俣市湯出   

「 共同浴場 きくの湯内風呂 」 

素朴で簡素な地元の共同浴場。ここが湯の鶴で一番の湯質だった(きくの湯 男子浴室)。


■チッソの公害ですっかりイメージを落とした水俣市だが、有名な温泉地が2ヶ所ある事を最近知った。ひとつは眺めの良い海辺にある「湯の児(ゆのこ)温泉」(かっては新婚旅行客に盛んに利用されていた)、と山間にあるこの「湯の鶴温泉」である。立地が好対照のこの2つの温泉は、海の温泉、山の温泉、として宣伝されている。

■今回、湯の鶴の旅館が予約を取れず、仕方なしに1軒だけ残っている自炊の宿
(ここ湯の鶴温泉も湯平温泉同様、自炊の宿は1軒しか残ってない、営業してない)に宿泊し、湯の鶴の温泉情緒を楽しんだ。 

水俣市から9km程山あいへ入った湯出(ゆで)川沿いの両岸に湯宿が並んでいる。湯出川は夏になるとカジカが鳴き、ホタルが群舞する仙境だ。(資料:全国温泉大事典、野口冬人、旅行読売出版社、97.12.18発行)


■左図の案内図は、温泉街の入口や街中に同じものが4ヶ所位にあったが、いずれもふるびたものだった。(画像クリックで拡大)

■右は湯出川の橋より湯の鶴の旅館街を眺めたものです。最初からリポートするのは気が引けるのですが、ここに写っている4〜5軒の旅館はすべて廃業しているのです。

■ここ湯の鶴温泉はさびれてしまっているのでした。現在営業中は、4つの旅館と私の泊まった自炊の宿1軒のみです。


■今回湯の鶴温泉訪問のきっかけとなった、日経新聞連載の「新・日本百名湯」の湯の鶴で紹介されていた(03.2.8掲載)の「あさひ荘」前の橋と正面です。この宿も宿泊を断られました(年末の1人客だから?)。

■玄関を入ると、ありました、掲載された記事(カラー刷)をそのまま額に入れて飾ってありました。新聞、それも全国紙に掲載は大きな宣伝効果となるのでしょう。

■中図は4階くらいにある展望風呂への階段です。木造旅館のようですが、山の斜面に建っているため4階位にもなっているのです。(拡大なし)

 



■左図が展望露天風呂。前の湯出川の向こうに広がる風景、これが棚田になっているのです。見晴らしは抜群です。泉温は43℃。

■右図は展望内風呂。入ってみると湯質はやわらかく、アルカリ泉の特性を示している。しかし、前出記事に書かれた「一級の湯、青石造りの内風呂(右図)からふんだんにあふれる澄明な山の湯は、分析書のままの鮮度抜群のアルカリ度を保つ」にひかれて来たのだが、入ってみてそれほどの泉質でもなかった。旅行作家はやはり読者に期待をもたせるようにうまく書いてようだ。

■内風呂のpHは8.5、泉温42℃。


■1軒だけ残っている自炊の宿。建物のペンキは剥げ落ち、もう何年も改装してない。当日宿泊は、私と、ここをビジネスホテル代わりに何ヶ月か泊まっているという30代くらいの男性1人だけだった。正月の話を女将に聞くと、1組だけある、と言っていた。

■部屋は昔の造作で、隣部屋とふすま1枚、廊下とも擦りガラス戸1枚である。隣室に宿泊客がいなくて良かった。

■館内や部屋はとてもかびクサかった。

■夕方入浴時に分かったのだが、近所の人たちの銭湯として利用されているようで、かなりの入浴客が見られた。それで、宿名が永野温泉となっているのだ。

■男女別内風呂と混浴露天風呂がある。露天風呂は誰も入らず、周りは錆びた有刺鉄線でよそ者の侵入を防いでいる。内風呂は、あがり湯との2槽に分かれており、あがり湯は45℃、主浴槽は43℃とかなり熱め。pH8.8、熱いのと入浴客の多さで、温泉を味わえなかった。また、脱衣室もかびクサかったので、すいている夜も入らなかった。

 

■左図、当地で部屋数最大の喜久屋旅館。玄関に通じる橋から撮っている。向こうに見える鉄橋は通行止めになっていた。


■右図は木造3階建のきれいな旅館、湯の鶴旅館と書いてある。名前からして老舗なのだろうが、入り口に白いカーテンがかかっており、もう営業していない。

 

当地は、700年前平家の落人によって発見されたが、その時鶴の湯あみするのを見て湯の存在を知り、湯の鶴温泉の名前が付けられた(動物や鳥の湯あみにまつる伝説は各地の温泉にあるが)。

■それを記念して夫婦鶴の像が街中にある。(拡大なし)

■右図は水俣市の南、鹿児島県出水(いずみ)市に飛来している鶴(マナヅル)です。同地に「ツル観察センター」が建てられており、その屋上から撮ったものです。(拡大なし)

■夕方、湯の鶴の街中を散策してみました。その時発見したのがこの共同浴場「きくの湯」です。

■狭い路地の階段を下りていくと湯出川にかかる簡易な造りの橋がかかっています。

■(中図)橋の向こうに浴舎があり、その左の建物は、きくの湯の休憩所です。

■入り口に小さな管理人部屋があり、小型のテレビがつけっぱなしになっていましたが、管理人は不在でした。

 

■看板には8:00-19:00とあったが、実際は8:30-18:00(冬季)、大人100円。

■早速宿にタオルを取りに戻り、入浴してみた。男子浴室には2人入っていた。その人に聞いてみると、共同浴場は(永野温泉以外に)上の方にもう一軒あるらしい。すいているのはこちらの方だ、と言っていた。

■左図の写真は翌朝もう一度入った時のもの。この時は誰も来ていなかった。浴槽は簡素な造りだが、とても清潔で、洗面器などもきれいに整頓されて置いてある。

■中図、源泉が勢いよく大量に注がれている。泉温は源泉で40.5℃、湯尻で38.0℃、他の温泉と比べるとやや低めだが、これくらいの温度がこの真冬でも私にはちょうど良い。

■泉質は、ここも単純硫化水素泉、あさひ荘、永野温泉より硫化水素臭がやや強い。まったりとした肌にスベスベする上質のアルカリ性泉だ。このなみなみとあふれる湯量とともにたいへん気に入った温泉だ。

■pHは8.95、ここ湯の鶴温泉では一番高い。


■浴室内に”犬・猫の入浴をさせないで”というおもしろい看板がかかっていた。

■きくの湯の夜景。


■きくの湯は川の向い側に自宅のある坂口さんが管理されている。源泉はきくの湯のすぐ横、湯出川の左岸沿いにある。飲泉もできる。


■きくの湯に掛かる簡易木製の橋より湯出川下流を望む。

                                                         以 上