横浜市立大学学長

小 川 惠 一 殿

横浜市立大学事務局長

高 井 禄 郎 殿

横浜市立大学教員組合

20021119

執行委員長 倉 持 和 雄

「教員組合声明」の提出

 この度、別紙のような「教員組合声明」を学内外に公表します。この声明は、この間の「機構改革」の進め方について学長及び事務局長に対する「遺憾と抗議」の表明でありますので、公式に学長及び事務局長に提出いたします。

またこの声明では、大学の最高決議機関である評議会での民主的な審議を要望し、このことを妨げる原因となった事務局途中退席の責任の明確化を要求するものです。

 これらについて学長及び事務局長の誠意ある対処を改めて切望いたします。

 

教員組合声明

 わたくしたち教員組合は、1112日に緊急集会を開いて、去る1030日の臨時評議会において「学長声明」という形で「機構改革問題」の決着が図られようとしたことについて、意見交換および協議をしました。これにもとづいて教員組合は、以下のようにわたしたちの意思を表明し、学長及び事務局長に適切な措置を採られることを要求します。

 

1 事実経過について

去る101日に臨時評議会が開かれ総務課から「機構改革」案が提案されました。その後、各教授会でこれについて議論されましたが、多くの危惧が出されました。商学部では教授会見解も出されました。こうしたことを踏まえてわたしたち教員組合も1010日に緊急集会を開いて評議会での慎重審議を要望しました。しかし、1016日の定例評議会で、この問題が議論されようとした時に、事務局の途中退席という異常事態が起こりました。事務局退席後に各部局の報告がおこなわれましたが、事務局不在のため危惧される問題について事務局側との質疑応答はできませんでした。その後、1030日、臨時評議会が開かれ、学長はここで、「学長声明」によって「機構改革」を進めると発表しました。この評議会には事務局側も出席していましたが、「学長声明」に先立って前回の評議会で各部局から出された危惧について事務局との質疑応答をしたわけでもなく、学長が一方的に「機構改革」の実施を宣言するというものでした。

 

2 「学長声明」について

評議会での慎重審議を切に要望してきた組合としては、結局、「機構改革」について教員側と事務局側で十分な質疑応答もなされないまま、「学長声明」という形で決着がつけられようとしたことをたいへん遺憾に考えます。それは議論を尽くして決するという民主主義のルールを放棄するものであり、今後の意志決定の方法においても危機感を覚えます。

「学長声明」はあくまでも学長の所信表明であり、去る評議会では「学長声明」について議決がなされたわけではなく、総務課提案の「機構改革」案が評議会で承認されたと理解することはできません。

わたしたち教員組合は「機構改革」そのものに反対しているのではありません。今回提案された「機構改革」案が実施された場合、予想されるさまざまな諸問題や混乱を危惧しているのです。教授会で出された具体的諸問題については1030日の臨時評議会で学長が添付資料2で示しています。また教員組合も1010日の組合集会で出された疑問や懸念について1030日発行の組合ニュースで示しました。このように教員側から出された諸問題について事務局側からなんら説明がなされないままに、「機構改革」を進めていくことは拙速と言わざるを得ません。

それ故、わたしたちは、すでに出された諸問題について事務局側がどのように対応し、措置されるのか、改めて評議会で質疑応答と十分な審議がなされるよう要求します。

 

3 総務部長・事務局長の責任について

「学長声明」では評議会における事務局の途中退席という異常事態の事実について言及していますが、その責任を明確にしていません。異常事態の直接的責任は、議事途中で一方的に退席し、しかも職権を利用して部下の事務職員までも退席させた総務部長にあることは明らかです。それ故、わたしたちはこの事態を引き起こした総務部長と彼を監督すべき地位にある事務局長がその責任を明確にすることを求めます。

異常事態を引き起こした総務部長は、職務上の責任が問われるべきです。彼の責任はそれにとどまりません。本来、一丸となって大学改革に協力すべき教職員の間の信頼関係を大きく損ねてしまったことの責任もきわめて大きいものです。

わたしたち教員組合は、すでに事務局長宛にこの事態について1024日に「遺憾表明と質問」書を提出しました。しかし、いまだなんの回答もありません。わたしたちは事務局長に対して先に組合が提出した「質問」に誠意ある回答をされることを再度要求します。

 

2002年11月19日

横浜市立大学教員組合

 

[付]学長声明

 

平成141030

要旨

 平成141016日評議会で発生した異常事態の再発防止を事務局長に要請するとともに、その発生を余儀なくした原因を明らかにし、大学改革推進の礎とします。

 私は平成1417日に学長候補者に義務づけられている意見表明を提出しました(添付資料1参照)。その冒頭で、1)教員と事務局員とが英知を結集すれば大学運営の変革が可能であること、2)そのためには普段から両者で質の高い情報を共有し、議論の密度を高め、コンセンサスを得やすくしておかなければならないことを明確に表明しました。大学改革に当たってはこの2項目が誠意をもって満たされるよう評議員、事務局員の皆さんに強く要請いたします。

 

経過

 平成141016日の評議会において「議題3その他」を取り上げようとしました。議題は前回評議会で申し合わせた通り機構改革についてであります。すなわち平成14101日の臨時評議会で評議員と事務局側とで質疑応答を交わすことにより、その内容の理解が一段と深まりました。その段階で一旦各教授会での意見を聴取し、再度評議員と事務局との間で質疑応答を行うことで臨時評議会は終了しました。それを踏まえた上で、1016日の評議会で機構改革について最終判断を下すという段取りになっていました。

 ところが、「議題3その他」に入る直前に事務局員が評議会を一方的に中途退席する事態が発生しました。

 今後このような事態が二度と発生しないように以下に述べる背景要因をお互いに乗り越え、評議員と事務局とは一丸となって今後の大学改革に取り組まなければならないと学長として痛感しております。

 

背景要因

 この事態に至った過程には二つの原因が考えられます。一つは評議会側に、もう一つは事務局側にあると判断いたします。

 大学はいま制度改革の真只中にあり、この限られた時間内でそれをいかに実現するかが問われています。本学の将来構想委員会は残念ながら答申を繰り返すばかりで、ここ数年を送ってきました。市民の要望に応える大学へと変革するため、全学をあげて大学改革に取り組めるよう各評議員は一学部代表という立場を乗り越え大所高所から大学運営を担ってくださるよう改めて注意を促したく思います。私、学長は自ら先頭に立って大学改革を全うする決意であります。

 事務局員の皆さん、大学改革を迅速に進めるためには制度の細部にわたる高度な専門知識と市役所との連携プレーが不可欠です。しかし、大学の改革のコンテンツは教員を抜きにして進められません。どうか、教員と事務局員が相互にrespectできる関係を築こうではありませんか。

 

今回の機構改革について

 平成141016日の評議会は休憩をはさんで再開されました。書記は学生部長沢田先生にお願いしました。そして各部局から意見をお聞きしました。その中には重複する部分も数多くありました。そして各部局から意見をお聞きしました。その中には重複する部分も数多くありました。それらを整理した議事録がお手元の資料です(添付資料2)。中途退場された事務局員の方はあとでご覧いただき、その意のあるところを十分汲んでいただきたく思います。

 平成14101日と16日の両評議会で機構改革についての意見はほぼ出尽くしました。私の決意も込めて、今回の機構改革を以下の3項目に総轄します。

 第1に今回の機構改革は推進し、来るべき大学改革に結び付けます。

 第2に学生サービスの低下を招かないよう、残された時間を十全に活用し教学組織との調整を行うよう事務局長に要請します。

 第3に副学長2名の役割、選考方法などについて検討を進めます。

 今後は学長と事務局長が相連携することにより本件の機構改革に取り組む決意を表明いたします。

 

                     横浜市立大学長 小川 惠一