部外秘資料1

 

 

部外秘資料1

(注:原文からスキャナーを用いて機械的に再現したもので,誤字等の不完全な点があるかも

知れません.)

 

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平成1518

 

大学改革戦略会議委員 各位

 

 本日の大学改革戦略会議で確認された資料を、以下の通りお送りします。

 

・「横浜市立大学改革の方向性について」

・「大学改革戦略会議

本学の主な問題点・課題について(幹事会の議論から)

 

 いずれも学内資料ですので、部外秘(注:原文には,さらに下線あり)の取り扱いをお願いします。

 

 今後は、会議で配布された資料ではなく、こちらの資料をご利用くださいますようお願いします。

 

大学改革戦略会議事務局

(研究交流課)

担当室谷・川嶋

電話787-2021

 

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学内資料 部外秘            大学改革戦略会議資料 平成1518

 

横浜市立大学改革の方向性について

 

 大学改革戦略会議幹事会では、これまで13回にわたって議論を重ね、本学の現状における問題点・課題を具体的に洗い出すとともに、それら課題を踏まえて、改革の方向性を議論し整理した。

 ここに、大学改革戦略会議は、国際港都横浜市が有する大学である本学は、横浜市民に広く寄与すべき大学であることを深く自覚し、大学の新しい趣旨を踏まえたあり方や改革の方向性を以下に示す。

 

1 横浜市立大学の存在意義の確立

 

 我々は、横浜市立大学の存在意義は、国立大学・私立大学の地域貢献とは異なり、公立大学として、本学の教育・研究・運営そのもの、換言すれば大学の存在そのものが、横浜市、横浜市民、市内産業界に寄与していること、また、大学の活動そのものが横浜市民に理解され、還元され、有意義と受け取れるよう運営していくことに求められているとの認識に立つべきである。

 この基本的認識を踏まえ、今回本学が策定する中期目標や中期計画において、大学に何ができるかでなく、今何をするかを示さなければならない。

 横浜市が持つ意義のある大学として、教育・研究が広く横浜市、横浜市民、市内産業界に寄与しているといえるような横浜市立大学を目指し、教育・研究体系の中で、市内産業・市内企業との連携、少子高齢化に対応した施策、市民活動の活性化、豊かな都市像の提示、国際貢献、地域医療の水準の向上などの分野において、横浜市などへの寄与を明確にできるよう、大学の教育・研究やカリキュラム、部局構成・運営形態を再構築することが不可欠である。

 なお、現在実施している生涯学習諸事業は、市立大学が果たすべき基本的責務であり、全教員の職務の一つとしてとらえ、抜本的に改善すべきである。

 

<指摘された課題>

・大学の設置理念としての地域貢献、戦略としての地域貢献という意識や議論が少なく、確立していない。

・教育目標、教員人事など、大学としての基本的方針が不明確である。

・具体的な地域貢献について議論していない。

・生涯学習講座についても、地域貢献の事業だと意識していない。

 

2 教育・研究体制の整備

 

 横浜市立大学は、その存在意義に沿った分野をコアの一つとして、大学としての教育・研究機能を確保すべきと考える。横浜市の大きな特色として、350万市民、工業都市、国際性の三つをあげることができ、この特色を見据えた教育・研究目標を設定することが、存在意義に沿うものと考える。

 公立大学としての特色は、地域にかかわる問題を発見し、これを教育・研究の中に位置づけ、有為な人材を育成することにおいて発揮される。つまり、無制限な大学の機能を前提とするのではなく、大学の教育・研究機能の中に地域の諸課題との接点を明確に意識した教育体系を、そして、これを支える研究体系を構築すべきである。即ち、昭和24年の建学の精神にもとづき、変革する社会の要請に応えうる実践的な学問・教育体系を再構築すべきである。

 また、教育・研究システムが、その目標に沿って機能しているかどうかについて監視・評価する評価システムを導入する。

 

 学部教育にあっては(注:原文には,下線あり)、

 横浜市が公立大学を有する意義を踏まえた教育方針を明確にする。例えば、教育・研究の中に、国際港都横浜、市民活動、中小企業に関する分野を取り入れたカリキュラムを構築し、カリキュラムの編成と執行責任を明確にするとともに、必要な学部統合・再編等を行って大学の教育理念の実現を可能にする体制を整える。

 専門教育・知識の修得のみならず、教養教育、語学教育、IT教育などに力点を置き、これからの社会人としての素養を身につけられる教育システムとする。

 文部科学省の示している飛び級制度や学生定員規制の緩和を踏まえ、進級管理を徹底するとともに、アドミッション・ポリシーに沿った教育成果をあげうる多様な人材を確保するために、入学試験を抜本的に改善する。

 

 大学院にあっては(注:原文には,下線あり)、

 本学の規模からすると、大学院教育は、高度な専門的知識を持つ職業人の養成を重視することを明確にするとともに、社会人を積極的に受け入れられるよう再構築を図る。新卒者のみならず社会人をターゲットとする修士課程(博士前期課程)を重視し、博士課程(博士後期課程)については、特定の分野を精選した構成とする。

 

 研究所にあっては(注:原文には,下線あり)、

 学部・大学院との相違を明確にするとともに、木原生物学研究所についてはライフサイエンス研究にかかわる他部局との関係を整理し、また、経済研究所は全学的な教育・研究活動を活性化できるようその研究機能を再構築し、それぞれ再編する。

 

 病院にあっては(注:原文には,下線あり)、

 医学部附属病院は、医学部と切り離し、大学附属病院として、両者が相補的な関係を築くべきである。

 このことにより、教育と診療それぞれの役割と責任を明確にし、質の向上を確保する。

 

<指摘された課題>,

・本学の特色がない。

・設置の趣旨、教育目標や今の社会経済情勢に合ったカリキュラムになっておらず、カリキュラムを適切に管理している責任ある機関も明確ではない。

・大学として十分な学生指導をしていると自信を持って言い切れない。

・中規模総合大学と言っているが、学部間に壁がある。

・大学院の教育の目的が不明確になっている。

・大学院と学部、研究所の関係の整理が必要である。

・病院の診療と教育それぞれの責任があいまいになっている。

 

3 人事制度と評価制度の確立

 

 大学教員の人事制度は、抜本的改善が必要である。具体的には、教員の人事は、原則として公募制で複数の侯補者の中から競争的選考を行うこととし、教特法の動向も踏まえ、大学に設置する「人事委員会」の承認制度を設ける。また、外国人の積極的採用をも視野に入れた制度・システムを導入する。

 さらに、横浜市立大学の教員としての資質に関する憲章を定め、人事の際の指標とする。

 人事の提案者は、カリキュラムを管理する権限を有する者とする(但し、当面は学部長等である)。附属病院にあっては、病院長が提案者となる。

 また、中規模である本学は、効率的運営や社会の二一ズに対応した教育を進めるために、教員人事のあり方を抜本的に検討する必要がある。教育目標を明確にし、それに即したカリキュラムを作成し、いわゆる主要科目を担当すべき教員の他に、主要科目以外のカリキュラムを実施するために必要な「契約制教員」を置き、任期制も視野に入れてカリキュラムに応じた適正な教員配置ができるように制度を改めるべきである。「契約制教員」とは、給与処遇等において自由度の高い非常勤の教員で、例えば、その領域で実績の高い実務家・研究者や、教育業績の優れた他大学の教員など、多様な人材の受け入れを可能とする。また、学部・大学院教員、研究所教員、病院教員間の積極的な人事交流を図ることが求められる。

 人事制度を有効に機能させるためには、教員の教育、研究、診療、大学への貢献、社会への貢献などを含めた総合的な評価制度を確立すべきである。なお、教員の職務内容については、明確にしておく必要がある。同時に、教員自身の自己評価、自己申告制を新設する。

 

<指摘された課題>

・人事の方針が不明確である。

・人事に関する権限及び責任が不明確となっている。

・旧来の学部自治が人事に関する無責任体制を生み出している面がある。

・人事に関する制度・システムを十分整える必要がある。

・評価制度がないため、やってもやらなくても同じ処遇であり、合理性に欠ける平等主義が浸透している。

 

4 教学と経営の分離と学長等の責任・権限の明確化

 

 公立大学の独立行政法人化に関する法律や、市立大学の今後のあり方懇談会の方向もあるが、現状の不明確な運営方法を改め、教育・研究を活性化させるため、教育・研究の系と経営の系を組織的に明確に分離する。

 教育・研究部門の責任と権限を明確にするとともに、教学に関することは教員組織が自らの責任・権限において行う。学長や部局長の責任・権限の明確化を図り、教育・研究の最高責任者は学長と位置付ける。

 経営者の責任・権限を明確にし、経営に関する事項については専門組織がこれを行うよう、大学の運営システムを再構築する。また、教学の意見が経営に反映できるシステムを構築する。教学と経営とはお互いにその専門性に立ち、その役割を全うできるよう、パートナーシップを確立すべきである。また、市民に期待される市立大学をめざし、情報公開を徹底する。

 

<指摘された課題>

・教職員が大学運営に対する課題を議論していない。

・大学に経営管理の視点や体制が欠如している。

・教員と事務職員との役割分担が不明確である。

・教員と事務職員とのコミュニケーションが不足している。

・教員の側に現状の認識が不足している。

・旧来の学部自治が強く、学長、学部長、評議会の権限と責任が不明確である。

・病院経営についての意識が十分でない。

・病院長の権限が十分発揮されていない。