随 清遠(商学部):「あり方懇」の愚劣きわまる財務分析 糾弾U ―"累積赤字1141億円"の本当の中身―(2003.2.21)

 

 

「あり方懇」の愚劣きわまる財務分析 U

随 清遠:

 

「あり方懇」の愚劣きわまる財務分析 糾弾U

 

"累積赤字1141億円"の本当の中身―

 

 

『「借金漬け体質」を出発点とした諸提案に対して、
この大学で数年、十数年あるいは数十年運命をともにしていた人たちは、
正面から考えなければならない。』

 

(タイトルは佐藤真彦による)

 


 

 

「借金漬け体質」に関する苦悶と検討

 

―より美しい市大のために

 

2003年2月21日

商学部 随 清遠

 

随 清遠ホームページより抜粋)

 

 

【抜粋】

 

 「横浜市大、累積赤字1141億円」と2003年1月17日付けの『神奈川新聞』の一面にで
かでかと出た。・・・

 

 資産評価なしの1141億円。・・・1141億円の支出の裏付けは大学病院棟の新設などがほ
とんどである。そうすると、市民サービス提供の一環として建設された立派な建築物、最新鋭
の医療設備は当然横浜市の資産の一部と考えなければならない。

 

 ところがなぜか、この部分の支出はまったく関係のない、地理的にもかなり離れていた
他学部を含めた全体の「廃校」の武器として使われている。


 
これはいったい、いつの時代、どこの国、いずれの流派の論理を援用したのであろう
か?・・・

 

 もし1141億円の大学関連債券の存在が不健全な財務体質を象徴しているのだというなら、
それは大学病院棟建設や医療設備購入等が間違った投資決定ということになる。


 したがってまず糾弾されなければならないのは、あの事業の予算案にハンコを押した責任者
である。


 
ところが、これだけ「横浜市立大学=借金漬け」という「常識」を全国民の間に流布させ
たのに、このような責任の所在はまったくはっきりしていない。

 

 そもそも、大学経営については、教員はあまり口を挟む余地が与えられていない。・・・

 

 つい最近まで、「大学予算書をみせて下さい」とどこに頼んでも応じてくれなかった。非公式に
知り合いの人に頼んだら、
「市大の教員にみせるじゃないと言われたので、是非この情
報提供を秘密裏にしてください」と。こちらも思わず涙が出たほどであった。・・・

 


 




 
そもそも「借金漬け」の公立大学はつくれるのか。・・・もし横浜市は市債の一部を使って
本当に累積赤字1141億円の大学を作ったとすれば、市の上層部に何人かの
逮捕者が出た
はず。

 というのは、 『地方財政法』 において地方債(もちろん市債はこの分類になる)はそもそも赤
字補填に使ってはならないことになっている。

 
要するに大学経営の赤字を補填するために、地方債(市債や大学債はそれに含まれ
る)を発行してそれに当てることは、そもそも違法行為なのである。

 
逮捕者が出なかったわけ。でも、心配無用。横浜市はちゃんと法律を守っている。

 横浜市役所のホームページに市民に向けて市債に関する説明の中に次のように約束してい
る。

○横浜市が支払いをお約束
横浜市債は横浜市が,市民利用施設・公園・道路など身近な公共施設の整備資金の一部を借り入れるために発行
する債券です。市債を購入していただいた皆様からのお金を,横浜市の街づくりのために有効に活用しています。利
子や,満期後の元本は横浜市がお支払いしますので安全確実です。

 
それでは、あなたは市の「お約束」を信じるのか、それとも「大学の累積赤字は1141億
円だ」と信じるのか?

 


 


 

 

 何が混乱の原因か。・・・市民に対する医療サービスを提供するための支出と大学に
おける研究教育するための支出が混在している。・・・

 

 社会の注意を促すためにあえて市民を混乱させる情報を出すことがしばしば見られ
る。あり方懇談会資料に基づく2003年1月17日の『神奈川新聞』報道はその典型的な
例である。・・・

 

 一部の改革案は、本当の問題が財政健全性にあると称しながら、大学予算の決定プロセス
や投資の施行過程を一切見ないでまったく関係のないところにメスをいれようとしている。

 

 もっとひどいのは、病気にかかった人に対して病因を一切聞かないで「患者を銃殺する
こと」(廃校)も選択肢の一つだという。

 

 美しい市大は、一人の教員だけでなく、真に市大のことを愛する人たちの共同努力によって
初めて実現されるものであろう。・・・

 

 あり方懇談会は今週木曜日に最終結論をまとめる予定である。でも、真実はどのよう
に伝えればよいであろうか?