横浜市長・「あり方懇」の赤字攻撃に対する私達の考え――横浜市大昭和40年卒 村瀬弘明
T.横浜市大の関連機関の累積赤字に対する考え方
累積赤字1141億円。(内訳、大学部門320億円、市大付属病院204億円、医療センター617億円)
1141億円の累積赤字中、(1)1月17日付神奈川新聞によれば、医療センター、鶴見区の大学院などの建設費で407億円支出したとある。(2)「あり方懇」資料によれば、医療センターの建設費用として(ア)556億円、(イ)583億円支出したとある。
[推測]他に、市大付属病院と大学部門の建築費を上記2部門の建設費と合せると、累積赤字の合計額に近い数字になると思う。そうすると、市大関連の施設の資産としては、1141億円相当のものが現存するということになる。
[他の例]ところで、中田市長流の考え方では、市大関連機関に累積赤字が1141億円あるということであるが、他の国公立大学の場合、大学施設を建設する際の費用は、赤字と考えるのかという点について調査してみた。東京工業大学の経理課職員に、同大学施設建設について質問をところ、国(文部科学省)が、その施設用の特別予算を組み、同大学には赤字としては残らないという説明であり、他の国公立大学でも、同様の処理をしているということである。
[私達の考え]上記の考え方に倣えば、市大関連施設の建設にあたっては、市の起債で賄ったようであるが、横浜市には、累積赤字1141億円は残るが、市大関連機関には、赤字はないということになる。
U.毎年、市大関連機関で、200億円程度の歳出超過額が出ることに対する考え方
「あり方懇」の資料によれば、平成14年度の消費収支上、大学部門で100億円、付属病院で53億円、医療センターで37億円の歳出超過額があるという。
[参考資料]次の参考資料をご覧頂きたい。
A.東京工業大学平成13年度の収支では、歳出超過額は52億円である。
B.東大付属病院平成13年度の収支では、歳出超過額は80億円である。
そしてその歳出超過額の処理は、東京工業大学の場合には、文部科学省から経常費として52億円が歳入の部に組み込まれていることである。つまり、同大学には赤字は残っていないということである。同様に、東大付属病院にも、歳出超過額は赤字としては残っていない。
[推測と考察]東工大の歳出超過額52億円と市大の大学部門の超過額100億円の差額については、市大の場合、医学部・理学部のあることが要因なのではないか。また、東大付属病院と市大の付属病院、医療センターの歳出超過額は80億円と90億円で似ている。
[私達の考え方]市大関連機関の200億円の歳出超過額に関する考え方であるが、東工大や東大付属病院における歳出超過額の処理の仕方に倣えば、横浜市が経常費として市大関連機関に200億円を予算として組み入れればよいということになる。また、これまで横浜市としても、同様の処理をしてきたものである。
V.結論
横浜市長と「市大のあり方懇談会」の赤字攻撃の中、
(1)施設を建設した場合の経費は、市大の赤字として処理する、という考え方は、他の国公立大学や東大付属病院等の処理方式(特別予算をつくり、処理をして経費は、大学や病院の赤字としては処理しないという、現在も採用されている考え方)に比べて、特異な考え方であり、無理がある。
(2)毎年計上される大学関連機関の歳出超過額は、赤字として扱うという横浜市長「あり方懇」の考え方は、現在までのところ、他の国公立大学や国公立病院で採用されている考え(歳出超過額は、文部科学省や都や市・府が経常費として組み込むという形で処理する考え方)に比べると、特異なものであり、無理がある。
横浜市長としては、何とかして、市の予算を切り詰めて、他への運用を考えて、考案した論理なのであろうが、それは現在のところ、木に竹を接ぐ観があり、妥当なものとは言えない。
参考資料:A 平成13年度歳入歳出決算額(東京工業大学)
区分 |
決算額(単位百万円) |
歳入 |
8959 |
授業料及入学検定料 |
5472 |
外部資金関係収入 |
3342 |
雑収入 |
145 |
歳出 |
34,952 |
国立学校 |
24,501 |
研究所 |
2,911 |
産学提携等研究費 |
2,310 |
施設整備費 |
5,177 |
改革推進公共投資施設整備費 |
53 |
参考資料:B 平成13年度歳入歳出決算額(東京大学付属病院)
区分 |
決算額(単位百万円) |
歳入 |
|
付属病院収入 |
22,455 |
歳出 |
|
大学付属病院 |
30,463 |