「市大を考える市民の会」第3回シンポジウム声明 (2003.3.28)

 

 

「市大を考える市民の会」

第3回シンポジウム声明

 


「市立大学の今後のあり方懇談会」答申は、その前提となる財務分析で、病院建設等資産形成のために市が起債した市債を大学の負債であるとして、横浜市立大学の市財政への負担が過大であるかのように見せかけています。

また答申は、市民が大学に何を望むかの意識調査もせずに、独断で「横浜市が公立大学を有する意義」を規定しており、その「意義」には横浜市民が世界に対し貢献するという視点が抜け落ちているため、横浜市立大学が横浜市のみならず世界に対して果たしてきた貢献を正当に評価できていません。

答申に示された改革案は、現在の横浜市立大学の問題点を充分に分析した上でのものとはいえず、「大学の目標」では「プラクティカルなリベラルアーツカレッジ」といった不明瞭な大学像を示すにとどまり、改革が必要だとする説得力を欠いています。

さらに答申の「大学の組織、人事について」および「財政改善について」で箇条書きされた項目の中には、教育基本法第10条(教育行政)(教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。 2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。)あるいは第6条(2 法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚しその職責の遂行に努めなければならない。このために、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。)、さらには日本国憲法第23条(学問の自由)(学問の自由は、これを保障する)に掲げられた理念までをもないがしろにしかねないものが含まれています。

このような答申にたいし中田宏横浜市長は「私も認識は同じ、答申をもとに改革に着手したい」と発言し、小川惠一学長は「答申に掲げられた改革の具体的内容を『中期計画・中期目標』に反映させる」旨の発言を行いました。「市大を考える市民の会」は、こうした発言が、日本国憲法までをもないがしろにしかねない答申を容認するものではないかと危惧します。市長には、広く市民の声を反映し、横浜市民のみならず人類の未来に責任をもてる真の大学改革とはどのようなものか再考することをお願いし、学長には、大学の歴史と本質に根ざし、現在の世界の諸問題に対応し、広く人類の未来に貢献できる大学を作り上げるために、横浜市立大学の真の改革案を提示することを求めます。

また「市大を考える市民の会」は横浜市立大学の改革に際して、市民がそのリーダーシップをとるために声をあげるよう期待するとともに、市民の声を反映すべき市議会議員および来るべき市議会議員選挙に立候補するすべての候補者の方々に、市立大学改革についてみずからの意見を表明したうえで、市民に信を問うよう求めます。

さらに「市大を考える市民の会」は横浜市立大学学生および教職員に、市立大学で学び、あるいは働く者として、市民さらには人類全体に貢献できるような人材となるよう、学業、教育、研究に励むだけでなく、大学の現状と問題点を正しく認識し、それを公表し、つねに市民の声に耳を傾けながら横浜市立大学の改善に力を尽くすよう求めます。

最後に「市大を考える市民の会」は、横浜市民、日本国民、世界の市民に対し、教育基本法、日本国憲法、ユネスコ高等教育世界宣言の理念にもとづいた真の大学改革が横浜で行われることを願って活動を始めた我々に対し、ご賛同くださり、ご支援いただけるよう呼びかけま
す。

2003年3月29日

市大を考える市民の会