横浜市大《改学宣言》と市立保育園《民営化宣言》

に見られる中田市長の手法

 

2003年5月22日   総合理学研究科 佐藤真彦

 

(「市民の会」ホームページ,「議論の広場BBS」No.260参照)

 

 

5月7日の横浜市大の《改学宣言》に見られる中田市長と市大事務局の非民主的で強引な手法に関しては,「市民の会」ホームページの「議論の広場BBS」No.243の投稿記事,および,http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/giman030514.htm においてすでに,批判・指摘したところですが,去る4月23日の市立保育園の《民営化宣言》http://www.kanagawa-np.co.jp/news/nw03042451.html においても,記者会見で突然,一方的に,「市立保育園の民営化」を発表するという有無を言わさぬ強引な手法がとられています.

 

これに対して,横浜市従業員(市従)労働組合http://www.siju.or.jp/kenkai/hoiku.htm だけでなく一般市民からの強い批判の声が上がっていることが,神奈川新聞ホームページの投書欄(「週間ご意見箱」)http://www.kanagawa-np.co.jp/news/goiken_ichiran.html からも窺えます.

 

たとえば,【33歳男性】:「我々子供を預ける親に対して、決定前に何一つ説明や相談もなく計画を推し進める市政に対して強い憤りを感じます。市税を納税し高い保育料を払っている我々当事者をバカにしているとしか思えない。また、選挙後に発表することも、確信犯としか思えません。」

 

【43歳男性】:「まだまだ、横浜の保育所は足りずに入れないで待っている子も多いというのに、今ある公立保育園を民営にするというのは、まったくナンセンス!!質の向上と民営化とは全く関係がない。むしろ、営利優先の民営化では、親の収入による子供たちの処遇に差がでるばかりで質の低下すら予想される。なんでも民間のほうが良いという幻想にとらわれた市長のやり方はおかしい。また、事前の話し合いもなく、勝手に自分で決めて発表するというやり方は本当に子どもたちのことを考えているのか非常に疑問だ。子供たちの健やかな成長をどう確保するかという観点からの検討ではなく、いかに費用がかからないかという観点でしかみれないというのは、発想の貧困としか考えられない。きちんと、市が保育に責任を持つ意味で、公立で運営し、質の向上をはかるべきだと思う。」

 

これらの,非民主的で強引な手法は,中田市長が模範としている《ニュージーランドの改革》http://www.nakada.net/yokohama/book/book06.html の際に,時の政権が用いた手法と酷似しています.

 

たとえば,『橋本首相が1997年4月にニュージーランドを訪問して改革を「成功」させた秘密は何かと尋ねたところ、ボルジャー首相は「国民にとって何が何だかわからないうちに急速に改革を押し進めたことです」と答えたことに象徴されるように、改革が非民主主義的に行われたところに特徴がある。』(河内洋祐:『草の根から見たニュージーランドの行政改革』http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page069.html

 

また,『1984年、労働党が政権をとるや、一気に行革が行われた。それは多くの場合、政府内部でも秘密裏に、ヒトラ−の「電撃戦(Blitzkrieg)」に比せられる速度で推し進められた。行革の内容は広範にわたり、根本的であり、国の規模の小ささと強力な行政権が結合した時に初めて可能であることを思わせる。』(大井玄,大塚柳太郎:『ニュージーランドの行政改革と高等教育および科学研究への影響』http://ac-net.org/doc/00c/nz.shtml

 

ちなみに,ニュージーランドの人口は横浜市の人口とほぼ同じです.

 

しかも現在では,“ニュージーランドの改革”が完全な失敗であったことは,広く知れ渡っています.(http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page065.htmlhttp://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page069.html 参照)

 

中田市長は,一方で,“市民の求める”・“市民のための”・“市民と一緒に”などのキャッチフレーズ(http://www.nakada.net/yokohama/change.htm )で“市民派市長”の幻想を振りまき,他方で,市民が真実に気づかぬうちに一挙に事を進めようとしていると思われます.

 

これも,中田市長自らが“ニュージーランド詣で”をして学んだ “市民にとって何が何だかわからないうちに急速に改革を押し進める”という手法を忠実に実行しているということなのでしょう.

 

このような市民を愚弄するやり方がいつまでも通用するはずがなく,中田市長の手法や政策にはすでにほころびが目立ち始めています.

 

実際,各所で上がっている中田市政批判の火の手,たとえば,

上記の市従労働組合http://www.siju.or.jp/kenkai/images/nakatashisei.pdf

「中田市政を考える会(準備会)」http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page070.html

小林貞雄氏http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/kobayashi03419.pdf

荻原昭英氏http://yoogi53.hp.infoseek.co.jp/essay266.htm などなどがあります.

 

つい最近では,昨春の市長選挙で中田市長誕生の旗振り役を演じた“中田与党幹部”である佐藤信行市議が公職選挙法違反容疑で逮捕された事件があります(毎日新聞5月21日付http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/877991/8db293a18ds90M-0-1.html 参照).

 

なお,本日(5月22日)付の神奈川新聞報道によれば,「横浜市議の公選法違反事件で、送検された旭区選出の同市議佐藤行信容疑者(48)に違法な寄付をしていた土木工事会社2社が今年2月、ともに同市発注の下水道工事の入札に参加し、最低制限価格に極めて近い同一の金額を提示していたことが、21日分かった。」とあり,政官業癒着の談合疑惑の存在が窺われ,事件はさらなる広がりを見せています.

 

今後も,真実を発信・暴露する戦術により,中田市政批判の包囲網を構築していく必要があると思われます.