浅島 誠 大学院総合文化研究科長・教養学部長は
5月27日の学部長会議において、以下の報告をいたしました。


「国立大学法人法案」をめぐって東京大学大学院総合文化研究科・
教養学部教授会で表明された意見について

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授会は、現在国会で審議中の「国立大学法人法案」について、4月24日および5月22日に討議を行いましたが、その際教授会構成員の多くから、教育・研究の責任を担う者として、主として以下の点をめぐり同法案に対して強い懸念が表明されました。
 
1) 教育・研究にかかわる「中期目標」の最終決定権が文部科学大臣にあり、教育・研究についての知的資源を保持している大学自身が「中期目標」を自主的に決定できる形になっていない点。

2) 学長の選考が、学長自身の指名する学外者を多く含む「学長選考会議」で行われることになっており、教育・研究の現場の意見を直接反映する選考方法になっていない点。

3) 教授会など大学本来の任務である教育・研究を教員が自律的に担う制度の尊重についての言及がなく、経営が教育・研究の質の保持や向上を第一の目標として行われるべきであることが示されていない点。

4) 経営面が重視されることによって、利益や応用に直結しない基礎的研究が軽視される懸念がある点。

5) 社会からの公正な大学評価が行われる上で、「国立大学法人評価委員会」が文部科学省に設置されるという仕組みの妥当性に問題がある点。

さらに、法人化に伴って適用される労働基準法、労働安全衛生法等に適合する体制が準備できていない点についても懸念が表明されました。

私は、大学院総合文化研究科長・教養学部長として、以上の教授会の意見を重く受け止めましたので、ここに報告いたします。

平成15年5月26日 大学院総合文化研究科長・教養学部長 浅島 誠